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マクドナルドとコミュニティ

「〇〇とコミュニティ」というタイトルで、既存の概念や存在をコミュニティと紐づけて考察しています。今回は、通称「マック」又は「マクド」と呼ばれ親しまれている「マクドナルド」がコミュニティであると感じたことからの考察です。

システム障害の発生

2024年3月15日の夕方、多くのメディアや個人のSNSなどでシステム障害の発生について報じられ(共有され)ました。

「頑張れ」の投稿

このニュースに対し、X上でどのような投稿がなされているかを調べてみました。すると、端的に事実を告げる内容のものや「困る」という感情の入ったものに並び、「頑張れ」という単語の入った投稿も複数みられました。そこで、Xの検索機能で単語を「マクドナルド」「頑張れ」と2つ指定すると数多くの投稿があることが判明しました(「マック」「マクド」でも同様)。

このような「ベンダー・メーカー」「製品・商品」「運営主体者」等に対する同情を個人のSNS上で表現する行為は、コミュニティにおける(共同体としての)「帰属意識」「一体感」「ギブ(他者貢献)の対象」として捉えた場合に同じ状況であると感じました。

言うまでもなく、カテゴリー世界最大の存在です。資本力を背景にしたマスマーケティングによる認知度や好立地への出店などの要素があるにせよ、なぜこのように客の「懐に入る」ことに成功をしているのか?の要因をあるYouTuberの動画で見出しました。

ローカライズ

懐に入るための要因、それは「ローカライズ」です。ハシダ(大阪グルメ×簡単レシピ)氏のある動画は再生390万、いいね6.6万、コメント1,410。

この動画1本で、

ベンダー:マクドナルド
製(商)品:ハンバーガー
テーマ:N.Y.バーガーズ(新作)
主催者:ハシダ氏
登壇者:ハシダ氏("LT"49秒)
参加者:コメント者

という「コミュニティ」イベント(非同期型)が成立しています。日本人の多様な食の嗜好性を「ローカライズ」により十分にコミュニティ化している事例ではないでしょうか。これはコミュニティの運営主体を担ってきた自分自身にとっても、自分の価値観・やり方・想いなどを押し付けた

「オレオレ」コミュニティ

になっていなかったか?という自戒を込めた気づきでもありました。マーケティングは「相手が重要」です。つまり、マクドナルドの現在の地位は日本人の嗜好・思考に合わせローカライズした結果、導かれたといえるでしょう。

関係性づくりの「ローカライズ」

これは自身の例ですが、日本の各地域で新規にコミュニティの運営メンバーや参加者との関係性づくりを行う際はこの「ローカライズ」を行います。

・前日(前々日)に現地入りする
・ご当地グルメを楽しむ

特に事前に重要だと認識している人物と会う前には、更に工数をかける場合があります。

その人の
・出身地に行く
・出身地グルメを楽しむ
・出身地と現居住地を移動する
(例:富山が出身地の現京都在住者と会う前に、富山に行き、白えび天丼を食べ、特急サンダーバードで京都へ移動)

こうすることで、初対面であっても「共通の話題」ができることで「懐に入れる」可能性が高くなります。先述の「N.Y.バーガーズ」とは、予算や規模のレベルは違いますが「懐に入る」ための本質は同じです。いち消費者として「当たり前」のように新作ハンバーガーを食べるとき「ここまでしてくれたのか」という驚きを感じることはありませんが、1対1の密でウェットなコミュニケーションの世界であるコミュニティづくり初期には、このような工数をかける取り組みも時には必要であると考えています。

「マック」「マクド」

最後にコミュニティが成立・成長している要素として「分化」「地域性」をマクドナルドでみてみます。以前コミュニティの定量化を考察した際、広がり(成長)の尺度として「地域数」(初回開催地以外への広がり)と「分化数」(初心者向け・上級者向けなど)を挙げています。

つまり、コミュニティが広がり成長すると大分類としては同じことを扱っていても「分化」が起き「地域性」が出るということです。それをマクドナルドの地域ごとの「呼び方」に見出しました。

ある調べによると、マクドナルドの呼び名には「マック」「マクド」があり、その「境界線」があるということです。

呼び方が分かれている原因を分析した記事もありました。

もともと関西の人は3拍で真ん中の音にアクセントを置く言葉を好みます。省略語にはなじみ深く安心できるこの音節がよく使われます

マクドナルド、関西ではなぜ「マクド」?

このような「分化」と「地域性」は、コミュニティの初期段階では生じません。それは、最初にコミュニティをが生じた(または生じさせようと意図した)場所に限定されており、主体者(メーカー・ベンダー・有志の発起人など)がほぼすべての「意思決定」を「内」から行うためです。いっぽう、呼び名はあくまで「外から」「自由に」つけられるもの。コミュニティは、すべてが誰かの意志で生まれるものとは限らず、地域コミュニティのように「生まれたときから」存在している場合もあります。「ローカライズ(能動態)」が主体者の意志によって行われるとすれば、呼び名はいわば「ローカライズド(受動態)」だといえます。

イジられ(愛され)

コミュニティが何かの製品やテーマに基づきそれが好きな人たちが「愛」を語る場だとすれば、その製品やテーマにユーモアや「イジられ」も存在します。マクドナルドがコミュニティとして愛され、(先述のように)同情・心配され、イジられることを表したX投稿がありました。

ブランディングの観点からコミュニティ施策を行っているケースでは、このような「不祥事」の際に「イジられ」投稿や先の「頑張れ」投稿はありがたい存在となります。顧客(ユーザー)のなかに「愛」が存在し、製品・商品を応援したい、それが更には企業そのものを応援してくれる「ファン」によるブランディング効果を生む出すわけです。

そのコミュニティは、愛されていますか?
そのコミュニティは、イジられますか?

#コミュニティデザイナー
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