「出来上がってる感」のバリア
「出来上がってる感」があって、一歩を踏み出せない
ある人から実際に聞いた言葉です。会話のコンテキスト(文脈)を補足すると、以下になります。あるコミュニティイベントに参加したいとは考えているが、
「主催者・運営者・登壇者陣が強すぎる」
「自分なんて入り込めないのではないか」
「初心者がマウントを取られそうで怖い」
などの理由で参加を躊躇してしまうということです。以前、コミュニティ参加者の多様性をアウトプットした際に多くの共感の声が寄せられました。
実は、参加者のなかには「かなりの勇気を振り絞って」「ビクビクしながら」過ごしている人がいることにスポットライトを当てた内容でした。では、冒頭の「出来上がってる感」を肯定的・否定的それぞれ2つの観点で改めて考えてみたいと思います。
「出来上がってる感」は良いことである
参加者の経験レベルやコミットメント(意識)が高いので、コミュニティ全体のレベルが上がる。懇親会やオンラインメッセージツール等でのコミュニケーションにおいて、コンテキストの合った会話ができる。おのずと活動のレベルも高くなる。
「出来上がってる感」は良くないことである
参加者の経験レベルやコミットメント(意識)が高いので、自分のことを「初心者」と位置づけている人は参加を躊躇してしまう。参加のハードルが上がる。一度も参加できていない人にとっては、毎回イベントの告知を見るたびに「自分ごと化」できず永遠に「最初の一歩」が踏み出せない。
オールドパワーとニューパワー
この対照的な観点を改めて書き出してみて、以前に読み印象に残っている本を思い出しました。
世の中にある実際の例をふまえながら、
オールドパワー
(例)大資本メディア
【リーダー主導型】
【ダウンロード型】
【閉鎖的】
ニューパワー
(例)SNS
【仲間主導型】
【アップロード型】
【開放的】
という各要素の違いについて述べられた本です。
Amazon【本書の主な内容】から引用
◎人が社会に参加したり、人を動かしたりする方法が変わった。
◎オールドパワーは「少数が独占」「競争」「プロ」などが特徴。
◎ニューパワーは「多数でシェア」「コラボ」「アマ」などが特徴。
◎上から「投下」するメッセージは、もはや通用しない。
◎セレブより「仲間の意見」のほうが重要になっている。
先述の「出来上がってる感」とは、まさにこの「オールドパワー」的な考えのもとで行われているのではないか。「出来上がってる感」は良くないことである、と考えている人たちの参加の機会を奪っているのではないか。
「ご新規さん」の重要性
コミュニティにおいて、よく課題に挙げられるのが「集客」にまつわる問題。多くのコミュニティ主催・運営者から共通して寄せられる悩みが
・いつも同じ人しか来ない
・参加者が徐々に減っている
・メンバーの熱量が保てない
などといった「ご新規さん」枯渇問題です。仮に今回のテーマである「出来上がってる感」は良くないと考えている人たちの参加機会を奪っているとすれば、そのコミュニティについて「まわりからどう見えているのか」を検証することで対策を打つことができます。その結果をもとに、改めてコミュニティの目的「誰に」「何を」「どんな形で」提供するのかを見つめ直す良い機会にしてはどうでしょうか。
#コミュニティデザイナー
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【告知】2024年5月7日、文中でも触れた「コミュマネ」の評価指標「コミュニティのKPI」をテーマにしたイベントを行います。