ニッチなテーマの仮説検証を行う方法
先日、コミュニティイベント不参加の人に焦点を当てた考察:「行けなかった人」の理由をアウトプットしたところ、お悩みが寄せられました。
この「お悩み」を自分なりに解釈すると、
イベントを「話題のテーマ」にすることで参加者の「行きたい」欲をかきたて集客に寄与、ひいては自社のビジネスに活かしたい。しかし、大人数は集まらないと予想されながらも、「ニーズは把握しているがニッチだと認識しているテーマ」のイベントも行いたい。しかし、コミュマネとして「数値指標」の結果を出すために板挟みになる
と捉えて考えてみることにしました。「自分だったらこうする」というアイデアから先に言うと、
・「自分コミュニティ」をつくる(個人活動)
・そこで「ニッチなテーマ」のイベントを実施
という「仮説検証」を「業務外」で行うと良いと考えました。つまり、〇〇会社の〇〇、という属性を離れて「個人」として行ってみては?ということです。この「自分コミュニティ」はコミュマネ業務としての「数値指標」にはならないので、いくらでも「苦戦」や「失敗」ができます。また、自分自身でゼロから立ち上げてコミュニティを運営すると「企業としてのコミュニティ」とは全く異なった視点・観点が得られるのでお勧めです(すでに個人コミュニティを立ち上げ・運営されていたら、偉そうにすみません!)。
カケハシさんの事業
「ニッチなテーマ」の仮説は後ほど立てるとして、まずはカケハシさんのウェブサイトを参照してみました。そのMissionの項目には「医療をアップデートしてサステイナブルな医療の前提をつくりたい」とありました。
次に、カケハシさんのサービス内容を調べてみました。「医療をアップデートするサービス」を数多く展開されていました。
・薬局体験アシスタント「Musubi」
・薬局経営“見える化”クラウド「Musubi Insight」
・おくすり連絡帳「Pocket Musubi」
・医薬品在庫管理・発注システム「Musubi AI在庫管理」
・医薬品二次流通サービス「Pharmarket」
そして、コミュニティ。薬局・薬剤師コミュニティとして「MusuViva!」を運営されています。2023年8月にコミュニティ設立2周年を迎え、コミュニティの成果として医薬連携の進展やノウハウの蓄積、薬剤師さんの「“気持ち”と“行動”の変容」があった等の報告がなされています。
そこで本題にもどり、トレンドではないけれど「ニーズは把握しているがニッチだと認識しているテーマ」を仮定して考えてみることにします。
医療の「受け⼿」の体験アップデート
前提をある程度把握できたところで、「ニッチなテーマ」のコミュニティイベントについて実体験をもとにアイデアを考えてみました。
(実体験)
2024年1月、胃腸の調子が悪くなり内科に行った。診療所から最も近い処方箋薬局を案内されたので入店すると狭い店内にぎっしりと高齢者が座っていた。高齢者はキャッシュレス、スマホ、タッチパネル等の「デジタルな体験」は難しい。薬剤師の方も多忙を極めているので、高齢者の「雑談」に応じる余裕はなさそうだが「早く帰って」とも言えないだろう…
カケハシさんのミッションには「医療の受け⼿と担い⼿、その両者の体験をアップデートする」とありました。そこで、
医療の「受け手」をアップデートする
ためのコミュニティイベントの必要性を特に感じました(すでに行っていたら、すいません!)。医療の「担い手」は現在、人材不足でとても逼迫している状況であり「受け手」側がそれを意識することは稀であると考えています。つまり、医療の「受け手」は「何の苦労もなく」医療を受けているのです。それに対して「担い手」は困り続けている。
そこで、薬局におけるキャッシュレス支払の比率を増やし「レジ締め時間」や「会計業務時間」などを短縮、薬局の業務効率化を推進するコミュニティ(イベント)を考えてみました。
例)〇〇町 キャッシュレス勉強会
運営:地域コミュニティ主宰者、マンション管理人、町内会・自治会など
場所:地域コミュニティ施設、自治施設、マンション会議室など
内容:キャッシュレスが軽減するお店の負担について
以前、高齢者がセルフレジに対応できないことについてアウトプットしましたが、加齢によって思考に柔軟性が欠如することは科学的に解明されています。敵(高齢者)・味方(それ以外の世代)で考えるのではなく、高齢者の特性を理解したうえで「包摂する」という姿勢を持つべきだと考えています。
この「医療の『受け手』をアップデートする」をSaaSなどのサービスで「ソリューション」として提供することも可能ですが、先述のとおり「受け手」は「あたりまえ」のようにそのサービスを享受するので「担い手」の負担を理解することは難しいと考えています。新幹線に乗るとき、時速約300kmで走ることのできる線路を「人が寝ている深夜に作業する保線の人」への感謝を噛み締めて乗る人はまずいないでしょう(自分も含めて)。
まとめ
「ニーズは把握しているがニッチだと認識しているテーマ」を、会社として実施することが難しいなら、個人としての人格で世の中に提唱してみる。そして仮説検証をまわしてみる。個人としてなら、苦戦も失敗も責められることはありません。そしてこの個人活動で得られたデータや知見をもとに、会社側に提案してみることで利害関係者の理解も得られやすくなるのでは?と考えました。コミュニティは「これが正解」がないからこそ楽しいものですが、業務としての成果が求められる場合においては【個人】<->【会社人】の「行き来」を行うことで、相乗効果があると思います。なんだか、先ほどの「高齢者向けデジタル体験アップデート」コミュニティ、本当にやりたくなってきました(笑)。これから高齢化はますます進行するので、これが「ニッチ」から「メジャー」になる日も近いのでは、と考えました。
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【告知】2024年5月7日、文中でも触れた「コミュマネ」の評価指標「コミュニティのKPI」をテーマにしたイベントを行います。
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