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【物語】星のごちそうタマゴ #6 ヤシス星
オヤッサンと娘は、イセイジンに案内されるまま、後をついて歩いていた。
ヤシス星は草、花、木など、どこを見渡しても自然の景色が続く。それらはよく見ると、見たことのない珍しい葉や実をつけている。やはり異星なんだなと思った。それに不思議と人工物が見当たらない。川など水辺も今のところ無いようだ。そう言えば、動物の気配も無い。はたして、こんな星で料理ができるのだろうか・・・そんな事を思いながら歩いていると、行き止まりのような場所にたどり着いた。イセイジンが突き当たりの岩に手をかざすと、岩の一部がドアのように切り取られ入口が出てきた。
「さあ、ここが私達の暮らしている場所です。」
中へ入ると、さっきまでの景色とは打って変わって、人工的な街が現れた。イセイジンの仲間と思われる生物もちらほらと見える。
「すっごーい!まるで映画の世界ね!」
「外の世界はダミーで、ここが本来のヤシス星の核となる部分です。今私たちがいるところは”ヤシス星の玄関”ということになります。これから、お客様をおもてなしする場所へとご案内します。」
オヤッサンは見たこともない世界を目の当たりにし、ただただ口を開けたままキョロキョロとあたりを見回していた。街は、人工物のようではあるが、何でできているのかよくわからない素材である。変わった形の建物も、それが家なのか店なのか、はたまた何か別の施設なのか、一見しただけでは全く想像がつかなかった。そこからさらに奥へ向かい歩いていくと、半分地面に埋まったような小さな丸い建物が現れた。
「ここです。」イセイジンがそう言いながら進むと、自動でドアが開いた。