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佐賀で川田将雅が男泣き!の渾身の騎乗からダートグレード牝馬路線2024のフィナーレまで(JBCクラシック・レディスクラシック・スプリント回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.11.09 21:00~からの文字起こしです。


JBCレディスクラシック2024

こひ:
佐賀での初めての開催となりましたが、1.5万人の観客を、帰りの渋滞以外はわりとうまくさばいていたように見えます。九州産グランプリネクストスター佐賀といった前後のレースの勝利ジョッキーが、場内の盛り上がりに感動していたのが印象的でしたし、まずはやってよかったといえる開催だったのではないかと思います。謎のトラッキングシステムも導入され、疑惑の36秒台上がりが連発されたのも、お祭りなのでまあ良しとしましょうか。ただし、ラップタイムがまともに残らないのは残念でした。

まずはJBCレディスクラシックですが、ここはオーサムリザルト以外のこの路線の最強馬が集結しました。ダート路線の整備もあり、3歳からテンカジョウアンモシエラが出走しているのも大きな特徴ですね。

スタートから注目の先手争いでしたが、外からアンモシエラがしっかりと主張し、インからの主張もあり得たライオットガールは自重。アンモシエラが単騎で行く形になりました。外からアイコンテーラーが番手につけ、控えたライオットガールが外に出したところで隊列が固まります。1周目の直線ではかなりペースが落ち着き、外からテンカジョウがポジションを上げ、グランブリッジは内に潜り込む形になりました。2番手のアイコンテーラーが右回りの小回りであまりスムーズに進まないところがポイントで、1コーナーから2コーナーで逃げたライオットガールとの差がついてしまったのが大きなポイントだったと思います。3コーナーから内に切れ込んで距離を稼ぐ選択をしたアンモシエラ、横山武史ジョッキーの選択がお見事で、直線では既にセーフティリード。4馬身差の逃げ切り勝ちで、インから押し上げたグランブリッジ、外から押し上げたテンカジョウは及びませんでした。

アンモシエラは牡馬相手の3冠路線で揉まれた力が、スムーズな競馬では抜けていましたね。今回はペース的に恵まれたとはいえ差は大きく、マリーンカップのような絡まれ方がなければ、なかなか牝馬で正攻法で負かしに行くのは大変かもしれません。今後はこの馬の逃げを意識して、後ろの騎手がどう乗って仕掛けていくかが、牝馬路線の見どころになるのではないかと思います。グランブリッジアイコンテーラーがあそこにいては動けず、今年も2着で、なんと3年連続の2着。5歳秋ですし、悲願のJpn1勝ちは牡馬相手のレース選択になるでしょうか。

3着のテンカジョウは小回りの大外を回しながらよく追いすがりましたし、やはり3歳世代は強いですね。違う舞台設定であれば前との差は縮めることができると思います。ライオットガールはベスト条件で3歳に完敗の形になり、今年は難しい競馬が続きます。キャリックアリードは出遅れから流れに乗れず、アイコンテーラーは戦前の不安通り、佐賀のコース形態や馬場が合わなかった結果かなと思います。

来年の牝馬ダート路線は、オーサムリザルトが牡馬相手を選ぶようであれば、アンモシエラテンカジョウの現3歳を中心に運ぶことになるのかなと思います。他にもこの世代には素質馬が多いですので、アンデスビエントクラヴィコードに加えて新興勢力の台頭も期待できるのではないでしょうか。

JBCスプリント2024

こひ:
2戦目のスプリントは、こちらもダート路線の整備によって無事にここまでコマを進めた3歳のチカッパが一番人気。かしわ記念勝ちのシャマル、去年のJBCスプリント勝ち馬、兵庫のイグナイターが人気として続き、大井のマックス、兵庫のアラジンバローズも含めて、レモンポップを除くダートグレード短距離路線で結果を残してきた馬たちはしっかり揃ったメンバーでした。

スタートからは、シャマルが先手を主張しました。しかし、外からヘリオスがしっかりプレッシャーをかけてきて、淀みのない流れで進んでいきます。外の三番手にイグナイターがいて、その後ろにチカッパバスラットレオンが続きます。少し落ち着いた向こう正面から早めに動いていったのがタガノビューティーでした。外から一気にまくって行って、4コーナー先頭の勢いです。これにより、前に壁ができたチカッパの武豊騎手はインを選択して直線へ。イグナイターシャマルと前を一気に飲み込んで先頭に立ったタガノビューティーと、インをすくって伸びるチカッパのマッチレースになりました。最後までタガノビューティーが止まらず押し切り、悲願の重賞制覇、それがJpn1制覇となりました。

勝ったタガノビューティーは積極策が良かったですね。佐賀のトラッキングシステム、スピードが上がると加速エフェクトがついていて面白かったのですが、向こう正面から加速するタガノビューティーがよくわかります。思い返すと、序盤シャマルに競りかけていったヘリオスも同じ星型メンコの西園厩舎。厩舎としてのプランもうまくいったのかもしれません。元々左回りのワンターンがベストのタイプの馬で、南部杯が案外だったので疑問符はあったのですが、地方遠征でのキャリアを重ねてきて、馬の適性も少し変わってきているのかもしれません。時計のかかる一周コースで自ら動いて押し切るのは、個人的には想像を超えたパフォーマンスでしたし、長らくダートのマイル路線で石橋脩ジョッキーとのコンビも含めて味のある名脇役でしたが、一つタイトルを獲得できたことは、ヘニーヒューズの産駒であることも含めて、この先も楽しみが広がるかもしれません。

2着のチカッパは今後この路線の中心ですね。前の動きを見てインを選んだ武豊ジョッキーの選択も見事でしたし、脚の使いどころ、立ち回りの器用さが光ります。1400m以下のレース選択、兵庫CS、北海道スプリントカップと3歳短距離路線の王道からの2着は、番組整備の賜物かと思います。小回りなら距離を伸ばしても対応できそうですね。兵庫の2頭については、力をしっかり発揮できたのではないでしょうか。あとはシャマル、ラチを頼れない環境で目標にされてがっつり競られると、さすがに厳しかったのかなという印象です。ここは西園厩舎の執念に屈しました。

JBCクラシック2024

こひ:
どうしてもチャンピオンズカップが後ろに控えることもあり、少し手薄になるメンバーですが、今年は東京大賞典帝王賞コリアカップと2着が続くウィルソンテソーロが中心。ムラはあるものの重賞2勝で、前走でウシュバテソーロを下したウィリアムバローズが2番人気、続いて春の佐賀記念圧勝のノットゥルノ、実績馬メイショウハリオの構図となりました。

ウィリアムバローズがスムーズに先手を取っていく展開になりましたが、2番手にヒロイックテイルガルボマンボの高知勢が入り、やや緩いペースでのスタートに。ノットゥルノが外目を進め、その外からプレッシャーをかけていったのがメイショウハリオウィルソンテソーロは内目を選択する形となりました。向こう正面で高知の2頭が脱落するところで、鮮やかにインからすくって先頭に立ったのがウィルソンテソーロ。外から脚色が良いメイショウハリオが追いかけましたが、通ったコースが違い過ぎて直線は独走。川田ジョッキーが最後に決めた地元でのJpn1勝ち。ノットゥルノは競られていつもの脚がなく、最後は兵庫のキリンジ、道営の雄シルトプレに差される形となりました。

ウィルソンテソーロについては、Jpn1、G1級のレースを勝つのも順番待ちといった印象でしたが、ようやくここで勝ち切ることができました。今日は積極的にインを選択して勝ち切った川田ジョッキーの勝負手も見事でしたが、能力的にも一枚上だった印象です。どの競馬場、砂の条件でもコンスタントに能力を出し切れるタイプですし、ウシュバテソーロ不在のチャンピオンズカップでも川田ジョッキー続投を含めて楽しみです。何より、めったにやらないガッツポーズをして、勝利ジョッキーインタビューで感極まる川田ジョッキーの姿は、今回の佐賀のJBCを象徴する良い絵でした。

2着のメイショウハリオはダートの質が合っていましたね。大井などで導入されているいわゆる白い砂では結果が出なくなっており、体調の良化も含めて、ここはしっかり巻き返しました。今後も主に砂の条件次第で取捨選択したい馬です。キリンジジャパンダートダービーの2着賞金が効かなくなったところでの兵庫への移籍が良かったですね。JRAのままだと出走すら叶わなかったと思いますし、遠征実績豊富な新子厩舎で今後も人気薄ではケアしたい馬ですね。シルトプレもそろそろダートグレードレースでもハマれば勝ち切れるのではと思わされます。ノットゥルノはスムーズに運べない脆さが出た印象、ウィリアムバローズはラチが頼れるか、砂の質、小回りといった要素に不得手なところがあったなと思います。

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