ダートグレード牝馬路線定点観測(2023年10月号)
10月号はいよいよ!とうとう!やってきましたこの路線の総決算、JBCレディスクラシックの展望と、クイーン賞を見据えた賞金順の整理の2本立てでお送りします。
今年のJBCレディスクラシックは、最重要ステップレースであるレディスプレリュードに出走したJRA勢5頭が勢ぞろいし、別路線からはシリウスS2着と牡馬の強豪相手に渡り合える新興勢力アイコンテーラー、そして南部杯3着をステップにここに臨むレディバグという、非常に豪華なメンバーとなりました。
その3レースについて、過去記事にて回顧しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。
▼レディスプレリュードと南部杯
▼アイコンテーラー2着のシリウスS
今回のJBCレディスクラシックの枠順が出たわけですが、ペースを左右する存在であるテリオスベルが外目の7枠10番を引き、スタートが遅いが先頭に立たなくてはいけないこの馬にとっては、比較的レースがやりやすい枠となりました。レディスプレリュードで逃げたノーブルシルエットはいますが、その前走ほどハナに立つことに苦労することはなさそうで、ペースを考える上での大きなカギとなりそうです。
レディスプレリュードよりも落ち着きそうな条件となりましたが、今回は強力な先行馬、アイコンテーラーの存在が加わります。初ダートとなった前々走のBSN賞で牡馬を完封し、シリウスSではハギノアレグリアス相手に勝負を挑める先行力。4角外から進出して直線で引き離す形がスタイルなだけに、この馬がテリオスベルにどこで並びかけれるか、そして直線で先頭に立つことができるのか、ここに注目したいです。鞍上を予定している武豊騎手が天皇賞デーに負傷してしまっており、当日乗れるのかは気がかりですが、誰が乗ってもやるべき戦術もわかりやすい馬ではないでしょうか。(追記:武豊騎手は松山騎手に乗り替わりになりましたが、前走の団野騎手もテン乗りで上手く乗れていましたので、大きな影響はないと見ています)
有力馬ではその後ろに昨年の覇者ヴァレーデラルナとギリギリゲートインにこぎ着けた3歳代表ライオットガール、そして実績最有力のグランブリッジと南関東代表スピーディキック、後方からは距離延長も自分のスタイルで勝負するレディバグと大外一気で腹をくくったアーテルアストレアという並びになるでしょうか。いつものテリオスベルではなく、アイコンテーラーを目標にいつ誰が動くのか。早めにアクセルを踏んでいく馬がいるようであれば、またもアーテルアストレアがハマるペースになる可能性もありそうです。
個人的な予想としては、この路線をずっと見続けているからこそ、新興勢力であるアイコンテーラーに期待しています。牝馬ダートグレード競争は、牡馬と準オープンでやりあえる馬の活躍の舞台から、牡馬とオープンで互角にやりあえる馬の舞台へと変わり始めています。その中で、牡馬のオープンクラスの安定勢力であるヴァンヤールを二度負かし、シリウスSのパフォーマンスでは牡馬の中でも一線級であるハギノアレグリアスに迫りました。この走りは牝馬限定に舞台を移した際に通用しないわけがない、と思います。初めての地方のダートがどうかという点はありますが、先行抜け出しという型がある点も強みであり、ここで一気に勢力図を塗り替える可能性は十分だと思います。
もう一点、結果を左右するかもしれないのが、直前に大井競馬場に導入された白い砂の影響がどれほどのものかです。西オーストラリアのアルバニー産の白い砂…ということなのですが、馬場プロフェッショナルのコジトモさんの記事を見ると、最近では2022年11月の船橋、2023年4月の門別と導入が進んでいます。
船橋、門別となるとクイーン賞とブリーダーズゴールドCなのですが、砂を入れ替えた直後にこの両レースを勝っている馬、どちらもテリオスベルです。スタート直後の直線が長めな距離設定であったこともありスムーズにハナを取ったり、牡馬混合の船橋のダイオライト記念では一周目ホームストレッチでまくり切っての2着と、非常にレースの内容も良いです。湿らずに乾いたダートという条件であれば、白い砂巧者のテリオスベルの立ち回りが良くなり直線も粘りこんでしまう、今回は外目の枠を引いたこともありそんなシーンも警戒が必要ではないでしょうか。そんなテリオスベルがもっと好きになるnetkeibaの江田照男インタビュー記事も合わせてどうぞ。
以上二つ私見を展開しましたが、近年にない超ハイレベルボーダー、そしてハイレベルな戦いが繰り広げられてきた2023年のダートグレード牝馬路線を締めくくるに相応しいレースになることを期待しております。
そしてそんなJBCレディスクラシックが終わると、すぐにクイーン賞が今年はやってきます。レース間隔が中3週と詰まることもあり、レディスクラシック組以外が参戦の中心となるかもしれません。選出馬の発表は11/12になると思われます。現時点でのボーダーを記載しておきます。出走枠は4頭です。
ペルアアと出走叶えばキャリックアリードあたりが中心になる構図でしょうか。来年からはダートグレード競争の再編に併せまして、牝馬路線のレースの並びも大きく変わりまして、この後は2024年2月にまたもクイーン賞がやってくるカレンダーとなります。三か月後の連覇に向けた権利を得る馬はどの馬になるでしょうか。それぞれのレース選択にも注目です。