2023年第28回エルムS・第15回レパードS・新馬戦回顧
第28回エルムS
蒼山サグ(以下、蒼):まずは札幌11レースエルムステークスですが、こちらがゆたさんからエルムステークスの方をお願いいたします。
くらみゆた(以下、ゆ):はいよろしくお願いします。エルムステークスは函館のマリーンステークスの上位馬が好走するレースというところで、今年も一番人気はペイシャエスという形になってました。ただですね、ペイシャエスは良馬場で勝ち上がってきた馬というところ、今回馬場が不良、そして騎手が意外とパラパラ変わっていて富田暁騎手が今回騎乗という形になりまして、ちょっと鞍上に不安があるというような形だったので、馬券的に面白いレースかなと思ってました。
レースに関してはワールドタキオンが好スタートからハナを伺ったところタイセイサムソンが1コーナー手前から強く主張していて、2コーナーの外からハナを取ったという流れになっています。一番人気のペイシャエスが主張しないで好位のインにハマってしまっているような形でレース追走していく形になりました。外からワールドタキオンがアシャカトブも突っついていく形というところもありましたので、前に行きたい馬が多かったというところもあって結構ごちゃっとした展開。不良馬場で、前半1000メートル1分ちょっとというのはタイム的にはすごく速いまで言わなかったかもしれないんですけども結構前はプレッシャーがきつい展開だったのかなと。3コーナーからは各馬仕掛け合戦という流れでワールドタキオンが抜け出すところ他の先行馬が崩れて、抜け出したかなというところ。外からが鮮やかな末脚でセキフウが差し切るという結果。2着が粘ったワールドタキオン、3着が中団から早めに動いたロッシュローブという形になりました。
個別に見ていきたいんですけど、まず勝ち馬のセキフウこちら最初にこのレース1番人気が怪しいなというような言い方をしたんですけど、実は馬券的に私は本命で勝ってまして。バッチリ当たったので言うわけではないんですけどが、本当に武豊が上手く乗っていわゆる天才武豊案件だったかなと思いました。スタート直後、レース後のコメントでも前が速くなりそうというところで、ゆったり出したというコメントが出てましたけれども、本当にそろっと出すと最後方からじっくり進路を選択して本当ストレスのかからない走りですよね。外を追走していって先に動いたロッシュローブの後ろからスーッと上がっていって、4コーナー回ったところで大外に振っていってそのまま差し切るという形でヘニーヒューズ産駒で内枠に近い枠だったんですけども完璧な乗り方というところでした。もう本当に札幌のダート1700mの後半速い流れのスピード勝負というところにきっちり乗せていくような走りで。もうスタートからゴールまで完全に読み切ったところかなというところで、今日は人気上位が経験の浅い騎手だったり、ちょっと馬に不安があったりというところもあったので本当にハマったレースだと思います。 新馬も良い馬で勝てましたし、きっと今週は武豊日記が更新されるのかなと(笑)。
2着のワールドタキオンは先行馬の中から唯一残った形で非常に強い内容だったと思います。連勝もこれ本物と見た方がいいと思いますし、齋藤新騎手、2着にはなりましたが好位の外を走って、悪いレースではなく、今日はちょっと相手が悪かったというしかないのかなと思います。あと3着ロッシュローブですね。この馬は重不良で3勝している馬で、今日は馬場も展開に向いた形というところでいい穴馬だったのかなと思っております。
1番人気のペプチドナイル。こちらは前走マリーンSは結構楽な競馬で鞍上も重賞バンバン勝ってというのは騎手ではなかったので、レース前から怪しい雰囲気ありましたし、内枠だったんですけども、1コーナーで先手取りながらポジション主張しなかったんですよね。勝ち筋としてはあそこ突っ張らないとダメだったと思いますので、あそこでペースを考えて日和っちゃうあたり、やっぱり経験不足が出たのかなという形で。その後も砂を被る競馬になっちゃったので、まだまだ馬も騎手もちょっと雑巾がけが足りないというパターンだったかなと思います。あと2番人気のオーソリティはレース後に跛行が出てしまったみたいなので、ダート使ってきたのはその辺が脚元の話もあったと思うんですけども、これ以上はもしかしたら走らせるの難しいのかなと思いました。以上になります。
蒼:ではエルムステークスについて、こひさんの方から補足や付け足しなどございますでしょうか?
こひ(以下、こ):はい、今回先ほどのゆたさんのお話もありました通り、ペプチドナイルの富田ジョッキーがやっちゃったレースではあったかなと思っていまして。ちょうど金曜日にデイリーか何かで富田騎手と武英智師との兄弟子タッグで重賞初制覇を狙うという記事が出てまして。そこで「これが最後じゃないからという英さんの言葉で楽になりました」という見事なフラグが立っておりましたのでぜひ探していただけたらなと思います。
あとは今回最後に大外から突っ込んできました道営のシルトプレですね。これが最後レースとしては非常に目立ったなと思っています。ちょうどセキフウと同じように後ろから大外一気で展開的に恵まれたところというのはありましたが、もともと道営で活躍して一時期大井にいって、また道営の方で北海優駿も勝ったまさに道営の雄がここでしっかりと掲示板を確保したというのは素晴らしいレースだったなと見ております。
第15回レパードS
蒼:では続きまして新潟11RレパードSの方に移りましょう。こちらまずこひさんの方からよろしくお願いします。
こ:はい、よろしくお願いいたします。今回のは戦前の見方からするとかなり混戦かつあまりレベルが高そうではないなという見られ方をしていたレースだったかなと思います。このレース自体がよくあるパターンとしましては、ジャパンダートダービーから転戦する組が結果を出すパターンと、あと古馬に混じった2勝クラスを勝ってきた馬みたいなのがそれなりに結果を出すというようなイメージのレースではありました。が、今年についてはJDDから来た馬が全くいないプラス、2勝クラスを勝って使ってきてましたのも、これ結果的には勝ち馬だったんですがライオットガール1頭のみで、その2勝クラスは牝馬限定なので何とも参考にしていいか微妙というような形で、非常にレース前からすると例年のからするとレベルがメンバー的には低いんじゃないのかなというようなところでありました。
結果的にはそういった状況もあってライオットガールがミラクルレジェンド以来約十何年ぶりというような形で牝馬の勝ち馬というような形になったのかなと思います。レースとしてもこれも結構特殊なレースをしていたなと。序盤のポジション争いですね、コーナーに入るところが速くなるのはそうなんですが、そこから後も結果的に単騎逃げの形になりましたルクスフロンティアが後続を離して逃げて、ペース自体が大体1000m1分ぐらいというような形でかなり早いペースでいきまして、離れた2番手のところにライオットガールやオメガギネス、エクロジャイトといった好位の馬が並んでいくというようなラップになっていきました。結構後続の馬がなし崩し的に脚を使わされまして、結果的には前に行けていなかったら勝負にならなかったというようなレースだったかなと思います。
その中では今回2番人気と人気の一角であったエクロジャイトですね。先ほど申しました先行馬の中では一番最初に脚が止まって4着になったんですが、この馬はちょっとスタートが安めで押して押して先行していく形で、しかも隊列としては先行場の中で一番外を回っていたというところで、結果的にはちょっとスタートが悪かったことが響きまして脚を使わされたというような印象でした。直線はルクスフロンティアが最後の2ハロンが12秒0、12秒4というような形で、若干3コーナーから4コーナーでペースが落ち着いたこともあるんですが、ペースが早く飛ばしていきながら最後まで止まりませんでした。結果、ちょっと後続なしすべなしというような形で必死逃げるルクスフロンティアのところをちょっと離れた番手から来たライオットガールが捕らえて、外から飛んでくるオメガギネスを抑え込んだというような形になりました。
今回勝ち馬のライオットガールですが、2勝クラスの牝馬限定戦を普通に完勝する形で、その後に中京で牡馬混合のマレーシアカップを使いまして、そこで4着という結果。この中京ダートでは比較的ロスがありそうなある形の外回しでありながら4着。準オープンでもいずれ勝ち負けだろうなというようなパフォーマンスは示していました。従って今回の相手の中では終わってみればある程度順当的に勝ったのかなというふうには見ております。何よりジョッキーが2番手をしっかり押さえていきまして、前の馬がハイラップで飛ばす時の離れた2番手で一番おいしいポジションを確保した。そういったテン乗りの岩田望来ジョッキーの良い騎乗もありまして、そういった積極策での勝利かなというふうに思います。
この馬は牝馬ですので、この後のダートグレード牝馬路線は関東オークスの勝ち馬だけではなくてレパードSの勝ち馬も3歳馬として入っているという非常に珍しい年になるかなと思います。賞金的には3勝してからレパードSが加算されているのでかなり強くて、ヴェラーデラルナ・グランブリッジ・テリオスベルという今の賞金的な3強の次のポジションになっておりまして、関東オークスの勝ち馬パライバトルマリンですとかこの間の名鉄杯を勝ったアーテルアストレアですとかより上いうことで当分賞金的にも困りませんし、3歳は斤量差もありますのでJBCレディスクラシックまでかなり期待ができそうだなというふうに見ております。ただでこの路線岩田望来ジョッキーの乗り馬が多いんですよね、ちょっと鞍上を含めた兼ね合いというところは気になりつつも、当然ながら準オープンを勝てるぐらいのパフォーマンスを示した上でここも勝ちましたので、ダートグレード路線でも勝負にはなるだろうなと見て問題ないかなと思います。
2着以降でございますが、オメガギネスですね、これ半年ぶりぐらいの競馬でしたが2月の中山でかなりいい内容で勝ってから久々のレースで、このハイラップに対応しているというところはなかなか能力的にも高いものは見せたんじゃないのかなと思います。中山1800でもともと新馬、1勝クラスと勝ってきていますので、そのあたりであればオープンでも通用するそういった下地はあるのではないかなと思います。逃げて3着のルクスフロンティアは自分でしっかりこの時計を作りましたので、この後条件戦に戻ると非常に楽しみな存在じゃないかなというふうに思います。
最後になりますが一番人気のミスティックロアですね、これは結構SNSの中でも触れられている方いらっしゃいましたが、パドックで結構イライラしていたというところが見えていたところと、あと1コーナーの入りのところで丁寧に外に出していったんですがそこでやや逸走をしておりまして、もうその時点でレースとしてはもう決着がついてしまったのかなという印象です。暑さから体調面なのかちょっとわからないんですが何事もないことをお願いしたいなという印象です。レパードSの方の回顧は以上になります。
蒼:ちょっと僕から本当に雑談的な話なんですけども、オメガの原さんは社台ファームから1200万で買った馬がまた好走してすごい引きが強いなというのと。あと岩田望来騎手フリーになってからリーディングを含めてちゃんと好調で良かったというかちゃんとしてますねと。ちょっとそこがちょっと軽く思ったところでございました。
こ:確かに普通に違和感なく乗られてますもんね、岩田望来騎手は。あとは先ほどのオメガギネスの話で言うと、ロゴタイプは先行していい感じのダート馬がやっぱり出ますね。そこもちょっと印象的だなと思いました。
新馬戦プチレビュー
土曜新潟5R芝1800m
ファーヴェント
12.8 - 12.0 - 12.7 - 13.3 - 13.7 - 12.7 - 11.3 - 10.9 - 11.4
新馬らしいスローペースの競馬で上がり4ハロンで脚を使い切る競馬。直線では前が壁になりかけたが、空いたところで追い出されるとスッと伸びての快勝。一瞬のキレ味は魅力だが、この時期から動くハーツをどこまで信用するか。
土曜新潟5R芝1600m
ニシノコマチムスメ
12.6 - 11.2 - 12.8 - 13.6 - 12.8 - 11.3 - 10.7 - 11.7
好スタートから3番手に控えたニシノコマチムスメが快勝。4コーナーからみんな吹かしていったので、最後はややバテあいの様相で着差が開いた形。サフィラは狭いところ突っ込んで行ってラチにぶつかる。まだ外を狙って脚を余した方がマシだった。
日曜新潟5R芝1600m
クリーンエア
12.7 - 11.4 - 12.2 - 12.8 - 12.5 - 11.5 - 10.9 - 11.7
内でじっくり溜めて、出入りの多い中でも動じず、残り200を切って大外に持ち出されると、しっかり目立った伸びでバテた馬たちを捉え切る。前日のフェーヴェントに続いて母父Street Cryのスピードが生きたか。
日曜札幌5R芝1800m
ガイアメンテ
13.2 - 12.0 - 13.0 - 12.6 - 12.3 - 12.4 - 12.6 - 12.0 - 12.3
道中は頭を上げるシーンがあるも鞍上が上手くなだめて、極悪馬場の体力勝負でもしっかりキレる脚を使う。ディープインパクトやハーツクライの上もポンポンと勝ったあとに伸び悩む傾向があっただけ、ドゥラメンテに変わってそのへんがどうか。あとは速い馬場への対応力がどうか。
日曜新潟6Rダ1800m
ライジンマル
13.1-11.7-13.3-13.5-12.7-12.5-12.8-12.6-12.6
アジアエクスプレス産駒の大型馬。後続を8馬身ぶっちぎる形でなかなか強い勝ちっぷり。 最後の1000mがずっと12.5秒ぐらいのラップが続いて、どんどんついてきた馬が振り落とされるような形のレース。自分でラップを刻んでこの時計で勝ち切ったというところは、かなり将来性が高い。新潟ダ1800はルヴァンスレーヴも勝った条件。