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内前有利の高速決着を逆手に、ついにあの馬にチャンス到来か!?(第58回スプリンターズS展望)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.09.28 21:00~からの文字起こしです。


第58回スプリンターズS

くらみゆた:
スプリンターズステークスの注目点はまず天気。金曜日はそれほど雨が降らず、土曜日は良馬場で開催されました。明日も曇り予報という状況になっておりますので、絶好の馬場状態でタイムはかなり出るのではないかと思います。ただ、軽い馬場というよりは多少力のいる馬場でのレースという形になるかと思います。

良馬場の高速決着、内前が有利という前提で枠順と展開を見ていきたいと思います。まず逃げるのがビクターザウィナーピューロマジックかというところになるかと思います。ピューロマジックは非常にスタートが速いので、普通に考えれば逃げるのかと思うのですが、鞍上が今回横山典弘騎手というところになりました。巷では控える競馬を試すのではという話もありますが、ここがどうなるかは注目点です。ただ、かなりゲートが速い馬ですので、いけるのであれば普通に逃げるというのも十分あり得るのではないかと思います。

ただ2頭どちらが逃げるにしろ、今回展開の鍵を握るのは6枠12番に入ったサトノレーヴ・レーン騎手ではないかと考えています。去年のスプリンターズステークスを思い起こしますと、絶対に逃げたいしかし勝つには力が足りないジャスパークローネが行ききったことで逆にママコチャ、川田騎手が展開を読み切る競馬で押し切りました。しかし今回は一番人気なのが一鞍入魂という形のレーン騎手で、かなり気合が入っていると思われるところが一つ、さらに今回楽をさせたら逃げ残りも十分ありえるビクターザウィナー、モレイラ騎手が前にいる。となると、今回枠だけ見ると非常にこのサトノレーヴが、だからこそ少し早めに前を潰しにいくことによって紛れが生じるのではないかと考えています。

恐らくサトノレーヴのところをよく見て一呼吸待って狙っていくのが、普通に考えると今回内枠を引けたマッドクールママコチャ、この3頭がそれぞれレースを決めにいく競馬をするのではないか。この3頭は人気的には1、2、3番人気で、ある意味3強を形成しているような形にはなっているのですが、他の馬と比べて3強と言えるほど強いかというと、それぞれ隙があるのかという気がしています。レーン騎手も坂井瑠星騎手も強気に乗るのが持ち味です。そこの2人の騎手を楽させるような競馬はしない川田騎手というところがあると、この3頭はかなりストレスのかかる競馬になるのではないかと思います。もちろんこの3頭から買うというのが一番確率が高い選択肢になると思うのですが、今回に関して言うと、この3頭がやり合いすぎて1頭ぐらいハマって飛んでこないかという形で考えてみました。

ウイングレイテストあたりも内枠に入っていたら楽しみがあったのですが、外枠からはちょっと難しいのかと思います。素直に内枠から差せる馬を見ていくと、やはり気になるのはナムラクレアになるかと思います。この馬は何度も何度もここで取り上げられている通り、浜中騎手ではトライアルでしっかり脚を溜めて競馬ができても、G1では前を追い掛けすぎたり、ポジション取り損ねたりと下手に乗り続けてきて、もうG1勝てるチャンスはあるのかと言い続けてきたところではあったのですが、ここに来てまさかの本人のやらかしで横山武史騎手への乗り替わりという形になりました。横山武史騎手、ご存知の通り、ワンチャンス狙った腹を決めたレースができる騎手ですし、今回前の有力馬、特にママコチャマッドクールの後ろというのをしっかり取れるポジションですので、ここでしっかり脚を溜めて前の3頭が勝ちに行った後に1呼吸2呼吸溜めて末脚を繰り出せれば、キャリア最高の結果が出せるのではないかという可能性はあるのかと思います。

あとはもう1頭、オオバンブルマイです。こちらも枠順的に一枠というのは競馬がしづらく見えるところではあるのですが、キーンランドカップではいかにも脚を測って最後の直線で外に出して差してきたという形になったのですが、鞍上は武豊騎手。馬自体は実はもともと馬群を嫌がらないタイプと思いますので、もちろん前が詰まっておしまいという可能性もあるとは思うのですが、ハマれば上位人気馬を食える可能性はあるのではないかと思います。

あとは内枠で言うと、ポテンシャルが十分ありそうなのですが難しそうに見えるのはトウシンマカオかと思います。スムーズに競馬がすれば強いけど、スムーズに競馬ができないとなかなか勝ちきれない馬というところがありますので、この枠というのはちょっと歓迎しづらいところかと思います。先に挙げた2頭に比べると少しスイートスポットが狭いというところがありますので、よほどハマらないと難しいのかと思います。というわけで、馬券的には先ほど挙げた2頭ですね。ナムラクレアオオバンブルマイ、そこから上位3頭を絡めた馬券というのを買ってみたいかと思います。以上になります。ありがとうございました。

蒼山サグ:
それでは、ゆたさんのコメントを一旦区切らせていただいて、続きましてこひさんの方からも展望をよろしくお願いいたします。

こひ:
展望といいますか、半分このレース、このメンバーとなるとナムラクレア論的な話になってしまいますね(笑)。この馬が出てきたときに今回は勝てる舞台かどうかみたいな話を毎回しているかと思います。今回もそういう意味ですと、先ほどゆたさんからもコメントがありましたように、ママコチャですとかマッドクールですとか強い馬の後ろに入れるポジションが取れそうであることというところと、ビクターザウィナーがいることによりまして、多分そんなに前が楽な競馬を最後まで続けるペースにはさすがにならないだろうというところ、そういった強い馬の後ろで競馬をしていって直線で自然とばらけるという競馬ですね。あまりG1の舞台でこの馬としてはそういう舞台設定これまで整ってきたことはなかったのですが、そういう舞台設定が割と自然に整ってきておかしくないそういう構成、枠の並びになったかと思います。横山武史騎手はよくも悪くもそんなにプレッシャーがない立場で乗れるかと思いますので、多分この馬の爆発力というものを信じて後ろに溜めていくと良い結果が出せる可能性というのは今回ちょっとある方の舞台設定かと思っています。高松宮記念では若干コース取りにしくじったところもありながら3着だったビクターザウィナーがモレイラ騎手で多分前に行くであろうというところで、それに加えて出方が分からないピューロマジックマッドクールは当然早めの競馬で行かないと勝ちきれないのは分かっているので一定早めで行きますし、多分それを川田騎手は簡単には前を残さないだろうと考えますと、中団から後ろのタイプでこの路線の中でしっかりと結果を出してきた馬にチャンスが来ておかしくない形かと思います。

ナムラクレア以外で言いますと、ウインマーベルが私個人的には一番面白い舞台が整っているかと思います。この馬自身、今年の高松宮記念では12着という形でしたが、これは完全に外枠で死んでしまった形でしたのでノーカウントと考えますと、阪神カップ阪急杯京王杯と僅差でありながら、立ち回りの上手さプラスインからの抜け出しというようなところも含めて、こういった枠から勝つパターンというのを明確に持っている馬だと見ています。ちょっと私情が入って盛り上がってしまわれるナムラクレアを除きますと、自分でストレートに馬券を買うのであればウインマーベルから買うだろうというところは思います。

あとは同じく後ろに控えていった時に、オオバンブルマイですとかトウシンマカオを無欲でこの枠に固執しないような競馬をしてくるとチャンスはあるのかというところと、あとは意外に前の方でみんな勝負していく馬が多いので、モズメイメイがこれまでと同じようにうまくインに潜り込めるシナリオもちょっとあるように見えます。この馬は非常に今年パフォーマンスを上げてきていますが、まだ人気的に言うと11番人気という形でまだ全然隠れている形ですので、この馬はしっかりケアをしていきたいと思います。

とはいえ、サトノレーヴが本当に桁違いであれば、こういった仮説も含めて全てなぎ倒されていくのだろうというところは同時に思っています。先ほど言いました対戦相手の中でサトノレーヴ、この馬自身はどちらかというと立ち回りの上手さみたいなものも含めてこれまで発揮してきましたが、今回ちょっと外目の枠を引いているというのはこの馬の真のポテンシャルというのが問われる舞台ではあるかと思います。なのでこの馬が本当にこのレースをきっちり勝ち切るようなことがありますと、しばらくはこの馬の時代になっていくのではないか、これまでのこの短距離路線のトップホースたちを寄せ付けない形になるのではないかと思います。こればかりはちょっとやってみなきゃわからないというところではありますが、そういったところをレーン騎手の一鞍入魂も含めて楽しみだと思っております。以上です。ありがとうございました。

蒼山サグ:
それではお二方からそれぞれコメントいただきましたが、お話を受けて付け足しなどございますか。

くらみゆた:
見ているところは大体同じような感じかと思います。あとは、出馬表を見ると改めて思うのですが、ノーザンファーム生産馬、社台ファーム生産馬が1頭ずつということで、だいぶ生産者がこの路線だとばらけるなというところがあります。サトノレーヴロードカナロア産駒で「サトノ」という名前ですが、ノーザンではない、けれど勝ち切るとすると、多分本当にレコードクラスの時計でスプリント路線を平定するという形になるのかと思いますので、そこも含めて楽しみにしたいと思います。

こひ:
そういう意味ですとルメール騎手はヴェントヴォーチェで12番人気なんですよね。先ほどのノーザン系が全然いないというような構図になると、ルメール騎手がこういう馬に乗るケースというのも出てくるのだなというのを改めて思ったところです。ちょっとこの外枠というのは厳しいと思いますが、シンプルに成績で見るとヴェントヴォーチェはルメールで2戦2勝。イメージ自体は意外といいかもしれません。という意味でもそこも楽しみにしたいですね。

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