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2023年第59回札幌記念・第58回北九州記念・ブリーダーズゴールドカップ

この記事は、2023年8月20日16時30分〜 芯力休憩所第61回 「北の祭典」からの文字起こしです。

https://twitter.com/shindikara2023/status/1693162567588585892?s=20

第59回札幌記念

蒼山サグ(以下、蒼):ゆたさんが欠席のため、回顧メモを紹介させていただききます。秋のG1戦線から間隔をとりたい有力馬が揃うレースとなった札幌記念。折しもここをステップに天皇賞を制したエアグルーヴ以来の連覇が期待されたジャックドールが1番人気となったが、今年は馬場状態の巧拙と展開が大きく結果に影響した結果となりました。

レースはジャックドールが好スタートからハナを伺うも、ユニコーンライオンがハナに、アフリカンゴールドも押して押して先行。ウインマリリンも前々で、ジャックドールは行きっぷりが今ひとつで1,2コーナーを通過。向こう正面に入ると先行馬3頭が後ろを離しての逃げ。離れてジャックドールトップナイフが内、シャフリヤールが並ぶ展開だったのだが、1000m手前からスッと上がっていったのがプログノーシス。ここからペースが上がると、体力勝負の展開で行きっぷりに各馬に大きな差が出る展開。内ラチ沿いを綺麗に回ったトップナイフが先頭に立つも、プログノーシスの手応えが圧倒的。直線に入ると突き放す一方の完勝。2着がトップナイフ、3着がしぶとく伸びたソーヴァリアントという結果になりました。

レースをラップ面から振り返ると、このメンバーにもかかわらず一度も11秒台がない12秒台が続く展開。少し緩んだ800mを過ぎたところで後ろの押しあげもあったので、とにかく馬場の巧拙と体力がどこまで残っていたが問われたレースだったと思います。勝ったプログノーシスは川田騎手がとにかく巧かった印象。スタートから出していけるタイプではなかったし、外枠。厳しい展開が予想されましたが、ペースが落ち着きかけたところでリズムを崩さずに、内ラチ沿いを進出。スタミナを無駄にせずに、かつ馬をスムーズに加速させたところが憎いほどの完璧なレースで、この馬は川田騎手あってこそなのを改めて感じさせられる結果となりました。今日の勝ちっぷりなら当然秋のG1も好勝負必至といいたくなるところではありますが、なにせ秋の天皇賞はメンバーが揃っています。今回は馬場が向いた面もあるし、硬さもあるので、秋の府中で同じレースができるかは未知数かなと。最大目標は香港になるのと想定しています。体質が弱い部分もあるので、残りのチャンスをどれだけ捕まえられるかが気になるところです。

2着のトップナイフは人気の盲点になりがちな馬だが勝ち馬同様に馬場と展開を読み切った見事な競馬だったと思います。横山典弘が乗っていたと言われてもおかしくない競馬で、横山家の血は強しということを改めて感じさせられました。3着のソーヴァリアントもルメールらしくバタバタしたレースで巧く脚を溜めた競馬。ダノンベルーガは手応えも悪かったし、ハマるところが難しい馬だとこちらも改めて思われました。一番人気のジャックドールは最後は流し気味での6着。スタートから今ひとつ手応えも悪くて、今日は馬場がとにかくあわなかったと思われますし、体力勝負のレースも向かなかったと思い余した。天皇賞秋は武豊から乗り変わるし、なかなか難しそうな印象があります。個人的にはマイルCSに絞って、距離短めに仕上げてほしいと思うところではあります。

以上、ゆたさんからのメモでした。こひさんいかがだったでしょうか?

こひ(以下、こ):そうですね、本当に全く同じ感想で、やっぱり馬場の状態がすごく影響したなという印象です。そして、内ラチ沿いをうまく使った馬が上手く活躍したなと感じました。トップナイフプログノーシスはパトロールを見ていますと、向こう正面で併走みたいな形に近いポジションを維持していました。やはりそういう適性がある馬を、距離ロスを大きくは取らないように、きっちりと位置取りをし、うまく回ってきたということで、ジョッキーの技術が存分に発揮されたレースだったと思います。逆にいうと、その選択ができる馬とできない馬の差が出たなと感じました。なので秋に向けてこの結果が直結するというわけではないかもしれませんが、非常にジョッキーテクニック的な観点でも、川田、横山和生が後ろにルメール、モレイラを従えて、非常に見どころの多いレースだったなと思います。

あとはシャフリヤールですね。通過順を見ると、完全に置いて行かれてしまっていました。4コーナーのところではもうすでに後方に置かれてかかっていたところで、上がりも39秒というところで、これはもう馬場状態が影響した可能性が高いと思います。ちょっとこれだけで見限るには早いかなと思いつつ、しかしディープインパクト産駒でもあるので、一度成績が落ちるとなかなか元には戻らないタイプも多く、そうなったら、ちょっと心配かなというところもあります。

第58回北九州記念

蒼:こひさんの方から北九州記念の回顧をよろしくお願いします。

こ:はい北九州記念の方ですがこちらはもう本当にスタートとその後の並びで結構結果が決まってしまいました。開幕2週目で馬場が良い小倉らしいレースだったかなと思います。今回もレースでも改めて見直してみてもそうだったんですが、まずジャスパークローネが素晴らしいスタートを決めましたというところと、あと外のモズメイメイですね。前走の葵Sでもかなりのロケットスタートを決めていたんですが、今回も実は良いスタートは決めていたものの、モズメイメイの方が内のジャスパークローネが自分よりも良いスタートをしているのを見て競り掛けない形の選択をしたのかなというふうに見えました。そういった選択をしたことで、元々このレースはあとテイエムスパーダスティクスも含めて4頭逃げたい馬がいるような構成でペースがかなり上がってもおかしくない形には見えたんですが、ジャスパークローネがスタートを決めて、スタートも良かったモズメイメイがその番手を選択しに行ったというところで、他の行きたい組も控えることになりましてほぼほぼジャスパークローネの単騎逃げというのが確定した形のレースだったと思います。ラップタイムを見ましても始めが11秒6なんですが、その後10秒4、10秒9、11秒2、11秒3、11秒9というような形になっています馬場が良い小倉と思いますと割と気持ちの良い逃げのラップを刻んで自らレースを作って完勝したというような形になったかなと思います。ジャスパークローネは前走のCBC賞はもうちょっと恵まれた形のラップではあったかなと思っていまして、今回はそれより自分でラップを作っていったというところでの価値というのはあるかなと思います。多分この馬としてはスムーズに逃げてスムーズに逃げ切ったというような形のレースだったので馬場状態と展開含めてうまくハマったなというようなレースだったかなと。

2着に来ましたママコチャ。行きたかった組の後ろの集団の5番手の外を向いたんですが直線入る前もかなり唸るような手応えで進んできて、直線もかなり弾けて末脚を伸ばしてきました。ただ今回は、ハンデが異様に重かったんですよね。牝馬の55.5kgなので、実はこれ勝ったジャスパークローネと比べると0.5kgも重いハンデになっています。結果的にはこのハンデ差のところが結果に影響したなと。ジャスパークローネは前走でもG3を勝っている、こちらについてはオープンでしかない状態でありながら、なぜかこちらの方が重いハンデというような形で、そこが堪えた形ではありますが、スプリントへの適応力というのもきっちり見せましたし、シラユキヒメ牝系はメイケイエールなど短距離馬が出てくる一族ではありますので、この路線で今後重賞級の期待というのは十二分にできるかなと思いました。

あとは、その後ろですと、3着のストーンリッジは5番手集団から内枠を生かしてうまく立ち回ってきた形の結果かなというふうに見ております。その後ろの組は後方の組は、そもそもレースにあまり参加できないレースではありましたが、トップハンデでも最後方に近い集団からしっかり脚を伸ばしてきましたトゥラヴェスーラですね、これは秋に向けてのステップとしては良いステップを踏めているかなというふうに思いますし、あまり人気になりにくいタイプになりますので、そういったところで期待が持てそうだなというふうに思いました。

ブリーダーズゴールドカップ

蒼:ブリーダーズゴールドカップの方、こひさんの方から感想など聞かせていただければと思うんですが、よろしくお願いします。

こ:はい、よろしくお願いします。今週の木曜日ですね、門別で行われましたブリーダーズゴールドカップの方の回顧です。今回のレース、結果としましては勝ちましたテリオスベルの完勝というような内容になっていまして、3歳で参戦しましたパライバトルマリンが今後に結構つながる2着と確保したというような形のレースで、ちょっと新興勢力のところはこれら実績組に対してある程度歯が立たなかったなというようなレースだったかなと思います。今回のレースの個人的にレース前の見どころがなと思っていたのは、関東オークスの解説の時に触れたんですが、この3歳のパライバトルマリンが、関東オークスまでは逃げた競馬しかしたことがなくて関東オークスで初めて番手で競馬が我慢できましたと。今回はパライバトルマリンの方が内の枠で、外に必ず出遅れて必ずまくってくるキャラクターのテリオスベルがいるというシチュエーションになってまして、なかなか揉まれたくない馬からすると厳しい条件になるなというところがレース前から見えていたレースだったかなと思います。なので、そういったところで隊列が落ち着くまでをパライバトルマリンがうまくさばいて我慢できるかというところが鍵になったレースで、結果的には一定我慢が効いたので2着に残れたというようなレースだったかなと。レースとしましてはテリオスベルが今回も決してスタート早くはなかったんですが、いつもよりマシだったというところと、門別はコース的に1コーナーまでの直線が非常に長いので押して叩いてではありますが比較的すんなりと1コーナーを迎える前にハナに立ちきるというような形。この隊列がスムーズに固まったというところでほぼほぼテリオスベルが勝っていたというようなレースだったかなと思います。

レースが終わった後にいろんな記事諸々読んで知った話を補足しますと、もともとこのテリオスベルというのは非常にパワー型の馬で、どちらかというと良馬場の重たいパサパサの方のダートの方がいいタイプの馬で。で、今回門別のコースの砂が真っ白になっていて、今年からオーストラリア産の砂に変えたそうですが、これが去年の船橋でちょうどテリオスベルが勝ったクイーン賞の船橋の方と全く同じ砂だという情報がありました。やはりこういったいろんな地方のダート、それぞれのダートの特性はありますし、特にこの馬ですとパワーを要する馬であるのというところと、できる限り早く楽にマクリたいみたいというところで、コーナーまでの距離がスタートから1コーナーまでの距離が長いという、いろんな条件が揃うと走る馬だなというところを改めて思いました。ですので、今後レディースプレリュードを使って、そのままJBCレディースクラシックという去年と同じローテででしょうが、両方とも今年この2レース、舞台は大井ですが、あの1コーナーまでの距離は本番の方が200m長いはずですので、レディースプレリュードよりも本番のレディースクラシックの方で多く買ってみて、ちょっとそういう強弱をつけて買ってみると面白いなと個人的に思っております。

あとは2着に来ましたパライバトルマリンですね、これも1コーナー手前でやはり外からテリオスベルが来て嫌そうな素振りは見せてはいたんですが、その後にテリオスベルの番手を狙うような馬がいると結構苦しい状態になるかなと思ったんですが、今回少頭数というところもそういった馬もおらず、ダメージは比較的少なかったいうような形ではありますが、ここ二戦で結構気性的な成長というものをしっかり示してきながら課題をこなしながらも賞金がちゃんと詰めているというところがすごくこの前にとっては良い2戦だったというふうに見ております。この路線の賞金のところで言いますと、今回のブリーダーズゴールドカップの2着賞金の430万円は結構今後効いてきそうな数字でもありまして、そういう意味でもすごく負けたんですが収穫が大きいレースだったかと思います。

あとは新興勢力ですね。準オープンを勝って参戦しましたカラフルキューブがいましたが、他の2頭と比べると斤量も軽かった状態ではあり、本来であればパライバトルマリンが苦しい競馬にはなっており、差せそうなところで差し切れなかったので、ちょっと若干力負けかなというような印象ではあります。陣営の方から距離が長いかもみたいなコメントも出ていました。あとはもう一頭プリティーチャンスですね。今回富田ジョッキーで、これまでの地方で乗っていたジョッキーとは違うジョッキーになって、脚の使いどころにメリハリがなくて、だらだら使ってしまっていたなぁというような形でのちょっと可哀想な競馬になってしまいました。この馬去年のレディースプレリュードを勝ってるんですが、そこから1年賞金詰めていないので、多分今年のレディースプレリュードはこれで枠に入れないほぼほぼ決まってしまったことになりまして。今後のキャリア的にももう来年の春に引退かもなというようなとしてはありますが、今後の路線選択というのが難しい状況ですね。

賞金の話をすると今回パライバトルマリンが、先ほどの関東オークスに続いてここでもしっかり賞金を詰めていて、かなり3歳でありながら直近1年3000万以上という形のかなり強いポジションに立ちました。レパードステークスの方でライオットガールが勝ったことを触れた時にも、あの馬も3500万を直近1年持ってるということで、まあのいわゆる出走枠の中の直近1年の収得賞金順の1位2位がほぼこの2頭で確定してしまうという状況が出来上がって、秋に向かっていくという形になりますので、アーテルアストリアといった4歳できっちりと春に賞金加算してきた組すら出走がレディースプリリード危ういかもしれないというような状況.。ちょっと空前のボーダーの高さで、今後準オープン勝ち上がってくる馬にはなかなかちょっと門戸が開かないなと、そんな印象です。


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