能登半島災害ボランティアに行ってきた
能登半島および周辺地域での地震・水害で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々が一刻も早く日常を取り戻せるよう祈っております。
10月12日(土)に輪島市の水害ボランティアに参加してきました。
災害ボランティア参加は初めてのため、行く前は本当に私で役に立つのか緊張しきりでしたが、現場の雰囲気も明るく、行って良かった、また行こうと思える経験になりました。
災害ボランティアは気になるけど、どんなことするかわからなくて不安、という方向けに簡単に今回の流れを記録しておきたいと思います。
予約~参加
今回は石川県の災害ボランティア(ホーム - 令和6年(2024年)能登半島地震・石川県災害ボランティア情報特設サイト (jimdofree.com))に登録し、ボランティア参加しました。
登録するとボランティア募集情報がメールで送られてきます。
大体2週間前位から予約開始となります。今回は水害から間もなく、活動日が三連休ということもあってか、予約は瞬殺でした。
ちなみに、予約サイトは結構見づらいです。予約後、メールが届き予約内容が確認できるのですが、確認ページには持ち物や集合時間などは載っていません。
予約時の各活動詳細のページが一番必要な情報がまとまっているのですが、予約が満員になるとページが開けられなくなるため、予約時にスクリーンショットを取っておくことをお勧めします。
見づらいですがよく探せばHP内に必要な情報は点在しているのでスクショを撮り損ねた方も探してみてください。
金沢駅からボランティアバスが出ており、早朝駅に集合し各地のVC(ボランティアセンター)へ連れて行ってもらい、活動終了後バスで金沢駅まで送ってもらうというのが今回の一連の流れでした。自家用車があれば現地近くのベースキャンプ宿泊もできるようです。
集合時間は行先によりますが大抵6時台と早めなので遠方からの参加だと前泊しないと難しいかなぁと思います。
私は仕事後に金沢へ移動・前泊だと到着が深夜になってしまい、それは微妙だな…ということで夜行バスで移動することに。
帰りも解散が18時~19時頃だったため、すぐに電車に乗ってぎりぎり終電という時間。寄りたいところがあったので出発時間に余裕を持たせるため、行き・帰りともに夜行バスということに。活動よりもこの移動で体がバキバキになりました…。
ちなみに連泊での活動も視野に入れていたのですが、3連休ということで宿泊はどこも満室。安いドミトリーなどは空いておらず、宿泊可能なホテルは最低でも3万円~ということで泣く泣く諦めました。平日の方が安い宿泊を見つけやすいですし、ボランティア活動もやはり休日から予約が埋まるため、平日に休みを取る方が連泊での活動がしやすいかと思いました。
持ち物
活動場所によってアナウンスされている持ち物は違いますが、今回の輪島VCでの活動でアナウンスされていたのは以下の通り(以下予約サイトからの引用)。
・動きやすい服装(長靴・長袖・長ズボン)
・防塵ゴーグル
・防刃手袋
・マスク(防塵が望ましい)
・飲み物
・カッパ
・長靴
・安全靴
・着替え
・洗面・飲用水(2L程度)
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
・ご自身の食事
・保険証またはマイナンバーカード
・運転免許証
実際に活動で使うものもあれば、使わなかったものもあるので、ご参考までに記録します。
当日の服装
・長袖インナー
・モンベルのTシャツ
・夏山用登山ズボン
・登山用レインウェア上下
・登山用靴下
・長靴+踏み抜き防止インソール
・防塵手袋
・夏山用に買ったつば付きの帽子
・防塵マスク
登山用の服が丈夫で動きやすいため役に立ちました。ちなみに移動時も登山用の30Lのリュックサックです。もっと小さなリュックサックで参加している方も多く、あとから振り返ると荷物はもう少し減らせたかと思います。
持って行ったけど結局つかわなかったもの
・安全靴がわりの登山靴+踏み抜き防止インソール
・防塵ゴーグル
・洗面用・飲用水(2L程度)
・懐中電灯
・ヘッドライト
・携帯トイレ
・カッターナイフ
・救急セット
安全靴はホームセンターやワークマンを回っても女性用が全くみつからなかったので、ひとまず登山靴にインソールをいれて代用しようと思っていました。余談ですが、ワークマン女子ってアウトドアグッズが中心なので、結局現場で使う道具は置いていないんですよね…。現場で働く女性用のアイテムがなさすぎるとひしひしと感じました。
今回は使用するのが長靴なのか安全靴なのか分からなかったためインソールを1組買ってどちらでも使えるようにしました。結果、泥の掻きだし作業では安全靴は必要なかったので、今回は長靴だけで良かったです(状況は毎回変わるのでこの先はどうなるかわかりません。活動によっては内履きが必要なこともあるようです。)。
防塵ゴーグルは今回水を撒いて泥を掻き出す作業だったので必要ありませんでした。乾燥し砂塵が飛んでいる状況下であれば必要だと思います。
洗面用・飲用水についても、現地は普通に水道が動いてますし、特に必要になる場面はありませんでした。VCはショッピングセンターの駐車場だったのですが、周辺のお店も普通に営業していたので、昼食の調達も現地で可能のようでした。
飲み物も差し入れでなんだかんだ沢山いただいたので、今回は最低限で大丈夫でした。
懐中電灯以下はいざという時用にもっていったのですが、幸いにも使う機会はありませんでした。
トイレはVCにきれいな仮設トイレがあるので特に困りませんでした。
あるといいもの
・消毒スプレーやウェットティッシュ
・ゴミ袋(大・小)
・ゴム手袋
・行動時用のボディバッグ等
・替えの靴
トイレはありますが手を洗える場所はあまりないので、ウェットティッシュ等があると便利です。
ゴミ袋は食料の包装等を捨てられる小型のものと、活動後、泥だらけになったレインスーツや長靴を包める大型の物が、それぞれ数枚あると便利です。
ゴム手袋は、泥の掻き出しの際には丈の長いものがあると便利だと思いました。何度も活動してらっしゃる方は、ゴム手袋を洗濯ばさみに挟んでリュックからぶら下げていて使いやすそうでした。
私も山用の防水手袋は持ってきていたのですが、出すタイミングを損ねて防塵手袋のままべちょべちょになりながら泥水をさらっていました。
ボディバッグ等は、活動時は荷物が置きっぱなしになるので貴重品を携帯する用に、汚れても洗えるものがあるといいと思います。ポケットに貴重品を入れるのでも構いません。山に行くときもそうしているのですが、免許証等の最低限のカードと最低限のお金を小さな巾着などに入れておくと、財布を持ち歩くよりかさばりません。
泥だらけになるので活動後は靴を履き替えた方が、バスに乗る時申し訳ない気持ちにならないです。レインスーツ+長靴で全身をカバーし、それらを脱げば泥汚れはまとめて仕舞えるという風にしたら楽でした。
活動の様子
まず5時ごろに金沢駅に到着。早朝にもかかわらずかなり人が多いです。
持ってきたパンで朝ごはん等を済ませ、ベンチで荷物を整理しつつレインスーツ+長靴を着用。
金沢駅西口を右手に進んでいった団体バスの乗降場所に行くと、早い時間にも関わらず慣れた様子の方々がたくさん集まっていて頼もしい限り。
行先別に案内があり、名前を確認してバスに乗り込みます。バス内で諸注意が配られ、そこに記載されたQRコードから参加登録を行います。これで社会福祉協議会の方が、ボランティア活動保険加入の有無を確認するようです。
ちなみにボランティア活動保険は、現在特例でウェブでの申し込みが可能です。350円~から入ることができ、自身の怪我だけでなく、活動先のお宅での事故や器物破損も補償されるので、加入の上参加してください。
隣の席に座った方と話しつつ、夜行バス疲れで爆睡。年々4列シートの夜行バスがきつくなっていく…。
志賀町あたりから道路のゆがみや地割れが表れ始め、バスががったんがったん揺れるように。ニュースで見てはいましたが、ぺしゃんこにつぶれた家や崩落した崖、斜めに傾いているビルがあちこちにあり正月から時間が止まっていることにやるせなくなります。
アナキズムにかぶれてから、あまり国は当てにしてもしょうがないと感じているのですが、こうした広範囲にわたる道路・水道・電気などのインフラは、流石に国などの大きな対策がなけりゃそりゃ困るよなと思います。
巨大災害はたびたび起きていますが、少なくとも今の政府の対策では予防も支援も、まったく追い付いていないというのが現状だというのが、現地を見た印象です。
活動地の輪島VCはボランティアセンターといいつつ、ショッピングセンター(営業中)の駐車場を借り、そこにテントと資材置き場と仮設トイレ等を置いた簡易的なものです。
ボランティアセンターの募集で来た人だけでなく、団体や大学等からの参加者も多くかなり活気がありました。
最初に輪島市の社会福祉協議会の方から説明がありましたが、曰く人手が足りておらずボランティアは何百人でも来てほしいけど、多くのボランティアを捌くリソースも広い場所もないので、キャパシティが限られているとのこと。ボランティアを大量投入すると言うなら、その言葉が物議をかもそうがなんだろうが、行きたいからいくらでも行くよという方は多そうだと現場を見て感じました。しかし、社会福祉協議会の方も連日休みなしで働いておられるらしく、この余裕のない状況を改善して大量投入が可能な状況をまず整えて欲しいよなぁと思います。
VCでの説明後、班に分かれて行動します。今回は参加者も多かったので1班15人前後の大きなグループに。初めてなのでそわそわしていましたが、すでに何度も来ているベテランの方が大半だったため、リーダー・サブリーダー(社会福祉協議会との連絡係)と軽トラ運転手(資材・ゴミ等運搬係)がスムーズに決まり、行先と活動内容の説明を受けました。
水害後なので今回はどの班も泥の掻き出しの依頼とのこと。
ブラシやらトンボワイパーやら土嚢袋やらを軽トラに詰めて出発。乗ってきたバスは帰るまで駐車場で待ってくれているので、使わない荷物はバスに置いておくことができました。
後は活動先のお宅までてくてく歩いて移動。道を歩くと橋が壊れていたり、水路が歪んで盛り上がっていたり、あちこちに地震と水害の爪痕が見えます。
活動先のお宅は目の前が川という立地で、床上まで浸水してしまったそうです。
すでに何度かボランティアが入っているようで、床板はすでに取り外されていました。屋内の家具等を外に運び出し、床板代わりのコンパネを一か所にまとめ、ホースと高圧洗浄機で水を流しながらデッキブラシでひたすら磨きます。
トンボワイパーで泥水を一か所に集めてポンプで吸い出し、残った水はひたすら掻き出して最後は雑巾でふき取って乾かします。
朝10時前~夕方15時頃までの活動で、12時~13時頃までVCに戻ってお昼休みですが、午前・午後の活動でもそれぞれ休憩があったので、それほど疲労困憊にはなりませんでした。
休憩のたびに活動先の方からお菓子やら飲み物やら差し入れていただき、ご苦労されている中、お気遣いがありがたい限りでした。
参加者はもう何度も来たことがある人が多いため、グループ内でも顔見知り同士の方が多かったようです。男女半数~女性多めで、私のような初めての参加者にも気軽に話しかけて下さり、みんなで和気あいあいとした雰囲気でした。
基本的にみんなやりたくて来ているので、汚れ仕事も重い物を持つ仕事も男女問わずどんどん率先してやっていき、仕事が早かったです。
15時前にコンパネを敷いて家具等を戻し、資材を片づけて活動終了。活動先の方からは泥まみれになった時は本当にどうすればいいか分からなかったけどボランティアを頼んで本当に良かったと言っていただき、感謝してもらう為に来たわけではないけれど、この笑顔を見ると来てよかったなぁとしみじみと感じました。
その後は資材を引き上げVCに戻り、片づけをしてバスに乗って帰ります。表紙の写真は帰りの千里浜あたりを走っている時に取った風景で、暮れゆく夕日がしみじみと美しかったです(それはそれとして帰りも疲れで爆睡しました)。
災害の種類や発生後のタイミングによって状況は千差万別ではありますが、私の活動は以上のようなものでした。
印象的だったのは現場に集まった参加者の多さと自発性で、おそらく全国各地どこで災害が起こっても、たとえ私自身が被災したとしてもこういう風に助けに来てくれる人たちは必ずいるだろうという希望を感じました。
以前ボランティアに行かれた方のコラムを読んで印象に残ったことですが、外からきている私のような者は活動が終われば快適な自分の居場所に変えることができます。でも被災された方は変わってしまったその中で生活を続けていかなくてはいけません。
単純な活動の印象は周囲がいい人ばかりで楽しかったという素朴なものなのですが、活動の背景にある生活を考える時、崩れた家や道路に囲まれて、決壊した川の目の前でそれでも続く暮らしを考えた時、被災地に住んでいない、でもいつ被災するかわからない自分がどう暮らしていくべきなのか、考えこんでしまいます。
最後に、帰り際に社会福祉協議会の方からPRしてください!といわれたのでご紹介です。
こうした被災地のボランティア拠点となるVCは、各地の社会福祉協議会により運営されています。
運営にあたって赤い羽根共同募金から活動資金が出るそうですが、支給される期間に限りがあり、災害の種類によるものの半年程度で支給が終わってしまうそうです。
災害支援は数年にわたり長期間続けられるので、その活動資金は寄付金などで賄わなくてはいけないとのこと。
よく募金箱等で集められている災害義援金は被災者に直接届けるお見舞い金であり、被災地で活動する社会福祉協議会をはじめとする団体の活動に充てられる支援金とはまた異なるそうです。
息の長い支援のため輪島社協(もちろん輪島以外の地域でも)への活動支援の協力をお願いしますとのことでした。
ボランティアにはいけないけど何かしたいと思っている方は以下のURLからぜひサイトをご覧ください。
令和6年能登半島地震輪島市災害ボランティア活動支援金 (washakyo.com)
この記事で誰かのボランティアに参加するハードルを下げられますように。
私もまたボランティアに参加しようと思いますし、もうボランティアが必要なくなった頃にもまた能登半島をゆっくり周辺を観光しに行きたいと思っています。
そういう日が一日も早く来ることを祈っています。