コンタクトレンズのスペックについて
こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
私は長くコンタクトレンズの業界にいました。
今は転職してコンサルティング会社に勤めていますが、当時はのべ何万人の処方に関わってきました。
そこで診断士の知識とコンタクトレンズの実務経験をミックスすることで、皆さんに価値ある情報を提供できるのではないかと考えました。
今回はコンタクトレンズのスペックについて書いていきたいと思います。
コンタクトレンズの製品仕様にはいろんなことが書いていますので、どんな内容なのかを解説していきます。
製品仕様(スペック)の種類
レンズ使用にはたくさんの情報がかかれています。
ざっと上げると以下の通りです。
ベースカーブ
直径
パワー(D)
中心厚
酸素透過係数(Dk値)
酸素透過率(Dk/L値)
含水率
UVカット
レンズマーク
レンズ着色
材質
ソフトコンタクトレンズ分類
ベースカーブ(BC)
レンズの丸みのことです。
数値が大きくなるほどに連れて、丸みが平らになっていきます。
具体的な数値で比べるとベースカーブが8.7よりも9.0のほうが平らな丸みです。
一般的には丸みがきついほどに安定が良くなります。
逆に丸みが平らなほどコンタクトレンズが眼の中で動きやすくなります。
眼とレンズに涙が入りやすいので乾燥感を防ぐことができると言われます。
直径(DIA)
レンズの大きさのことです。DIA(ダイア)ともいいます。
レンズの直径は大きいほうが眼の中でしっかり安定します。
逆に小さいと動きやすいので、乾燥の対策になります。
パワー(D)
度数のことです。
近視の方はマイナス(-)、遠視の方はプラス(+)で矯正します。
数値が高いほうが強い度数です。
コンタクトレンズの種類によって製作範囲が違います。
同じ度数でもメーカーやレンズの種類によっては見え方が違うことがあります。
シリンダー(C)
乱視の度数のことです。
近視用と違って一定方向にだけ度数が入る仕組みです。
マイナス(ー)で矯正することが一般的です。
近視用のパワーと一緒で数値が高いほうが度数が強いです。
コンタクトレンズの場合はあまり強く入れないようにします。
コンタクトレンズはメガネよりも眼の中でレンズが動くため、シリンダーが強いと見え方が変化しやすいです。
AX(アクシス)
乱視の度数(シリンダー)がどの方向に入っているかを表しています。
直乱視の方は180°、倒乱視の方は90°方向に入れます。
乱視がある方の眼は一定方向にだけ強い度数が存在します。
そういった方に近視用で矯正すると全体的に度数が入ってしまうので、過矯正で疲れやすくなる恐れがあります。
乱視度数(シリンダー)を必要な方向(アクシス)に入れることで目に必要な分だけ度数が入るようにできます。
中心厚(CT)
中心厚とはレンズの厚みのことです。シーティーとも言いますが、「中心厚」と呼ぶことがほとんどでした。
レンズの厚みが薄いとつけ心地が楽と言われます。
逆に厚みのあるコンタクトレンズは軽度の乱視矯正に期待ができます。
近視用で安価にコンタクトレンズを買いたいといったご要望には、厚みのあるタイプをチョイスることもあります。
酸素透過係数(Dk値)
素材がどれだけ酸素を通すかを表す数値です。「でぃーけーち」と言います。
数値が多いほうがたくさん酸素を通します。
角膜はものを見るために透明になっています。
つまり欠陥が通っていません。
そのために大気中の酸素を涙を使って取り込んでいます。
コンタクトレンズをつけるとその機能が低下してしまいます。
酸素を十分に得ることができないと抵抗力が弱くなります。
また角膜の一番奥にある「角膜内皮細胞」はいったん減ると増えません。
レンズの性能が高い=酸素透過性が高いということです。
酸素透過率(Dk/L値)
素材がどれだけ酸素を通す値に、レンズの厚みを加味した「実際の酸素が通る値」です。
「でぃーけーおーばーえるち」と読みます。
レンズの性能を比較するなら酸素透過率で比較するほうがよいです。
レンズが薄くなればなるほど酸素透過率は上がります。
例えば
① 酸素透過係数(Dk直)20、中心厚0.1mm
② 酸素透過係数(Dk直)15、中心厚0.05mm
この2つのレンズを比較します。
①のほうが②よりも酸素透過係数が高いです。
しかし酸素透過率(DK/L値)で比較すると以下の通りです。
① 酸素透過率(DK/L値) 20÷0.1×0.1=20
② 酸素透過率(DK/L値) 15÷0.05×0.1=30
※中心厚は0.1mmで厚みの影響なしです。
このようにレンズの厚みが薄い②が①よりも実質は酸素をよく通すレンズということです。
この点をごっちゃにして説明する販売店もあります。
中心厚が0.1mmよりも分厚いと実質の酸素透過率であるDk/L値は下がります。
ハードレンズはDK値は非常に高い製品が多いですが、中心厚は0.1mm以上あるのでDK/L値は意外と低いです。
覚えておくと正しい判断ができますよ(^^)/
含水率
水分が含まれている比率です。
50%未満を「低含水」、50%以上は「高含水」といわれます。
高含水は水分がたっぷりなのでみずみずしいつけ心地です。
反面乾燥し始めると、レンズが縮んで眼を圧迫します。
低含水は乾燥に強いと言われます。
どちらが良いかは比較できません。
個人によって合うほうが分かれます。
UVカット
レンズの種類によってはUVカットが入っています。
ジョンソン&ジョンソンのレンズは全種類UVカットです。
他のメーカーは入っているものとは言っていないものが混じっているので、屋外で使用する予定の方は確認しておいてください。
例えはジョンソン&ジョンソンのレンズは
「紫外線B波を約97%以上、A波を約81%以上カット」
どこまで効果があるかは不明ですが(^^;)
紫外線を長く浴びることで眼病の原因になると言われています。
レンズマーク
レンズに刻印が入っていることがあります。
目的としては「レンズの裏表の判定」です。
ジョンソン&ジョンソンのレンズは「123」、シードの1dayピュアには「880、1pure」などが入っています。
また乱視用であれば「レンズが安定する方向」です。
一定の方向に強い度数が入っていますので、目の中で回転しないように工夫が施されています。
メニコンの「マンスウェアト―リック」には6時の方向に一本線が入っています。
ジョンソン&ジョンソンの「オアシス乱視用」あれば、3時9時の方向に線が入っています。
透明で見えにくいものが多いですが(^^;)
方向をきちんと向けてコンタクトレンズを眼につけると、最初から見え方が安定します。
レンズ着色
ほとんどのコンタクトレンズには色がついています。
色があると見つけやすいです。
レンズの着色が見え方に影響するかどうか質問を受けますが、ほとんど影響を受けません。
ただしカラータイプのコンタクトレンズはカラーゾーンが見え方を邪魔する恐れがあります。
材質
材質のことが書いていますが、詳しい素材名はよくわかりません(^^;)
ざっくりいうと
酸素を通す値は少ないが柔らかい「ハイドロゲルレンズ」
酸素をよく通すが少し硬い「シリコンハイドロゲルレンズ」
にわかれます。
製品仕様に書いてある内容はもっと詳しい個別の素材名です。
ここは私も解説できませんが、気にしなくても良いです。
ソフトコンタクトレンズ分類
コンタクトレンズにはグループがあります。
グループⅠ 低含水:非イオン性
グループⅡ 低含水:イオン性
グループⅢ 高含水:非イオン性
グループⅣ 高含水:イオン性
それぞれの内容は以下の通りです。
低含水 水分が50%未満、乾燥に比較的強い
高含水 水分が50%以上、みずみずしい
非イオン性 電荷を帯びていない、汚れを寄せ付けにくい
イオン性 電荷を帯びている、汚れを寄せ付けやすい
次世代素材のシリコンハイドロゲルが主流になるにつれて分類が難しくなってきています。
シリコンハイドロゲルは水分量を抑えたほうが酸素をよく通すので「低含水:非イオン性」の「グループⅠ」が多いです。
最後に
今回は製品仕様(スペック)について解説しました。
一般的なメリット・デメリットをお伝えしました。
最後に重要な点をお伝えします。
それは、
「コンタクトレンズの合う・合わないは個人差がある」
ということです。
どんなに性能が高いコンタクトレンズでも合わなければ使わないほうが良いです。
では合わないというのはどういうことでしょうか?
自覚症状でいうと
つけ心地が悪い
見え方がブレてしまう
レンズがずれる
乾燥感が強い
などです。
性能が高いレンズを進められてもつけ心地や見え方がしっくりこない場合は使わないほうが良いです。
ご自身の感覚を大事にして使ってください!
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