「1dayアキュビューモイスト」実務経験と診断士観点からコンタクト批評
どうもこんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回はコンタクトレンズについて批評したいと思います。
コンタクトレンズ業界での実務経験と診断士の知識を掛け合わせることで、皆さんに良い情報を提供できると考えました。
今回はジョンソン&ジョンソンの「1dayアキュビューモイスト(近視用)」について書いていきます。
まずこのレンズがどういったレンズか簡単に申し上げると、
「原点にして至高」のコンタクトレンズ
ほとんどの方にとって問題ない「つけ心地」
倒乱視や斜乱視などの「手ごわい乱視でもOK」
といった感じです。
総合•要素別の評価は、
総合点 ★★★★★(5点)
1.つけ心地 ★★★★★(5点)
2.見え方 ★★★★★(5点)
3.安定性 ★★★★☆(4点)
4.取扱のしやすさ ★★★★☆(4点)
5.乾燥感 ★★★☆☆(3点)
ただし、コンタクトレンズのつけ心地や見え方などは個人差があります。
何万人も処方した統計的なデータと思って下さい(^^;)
まずはレンズのスペックから見ていきます。
1dayアキュビューモイスト(近視用)のスペック
ベースカーブ 9.0mm / 8.5mm
直径 14.2mm
度数
BC 9.0
+5.00~-12.00
BC 8.5
-0.50 ~-12.00
中心厚(-3.00Dの場合) 0.084mm
酸素透過率(Dk/L値) 33.3
含水率 58%
UVカット あり
レンズマーク 123”マーク
ソフトコンタクトレンズ分類 グループⅣ
スペックの見方については別のnoteで書きました。
一般的な見方を説明しておりますので、参考にしてください(^^)
ベースカーブ(レンズの丸み)は2種類あります。
最近のコンタクトレンズはベースカーブが1種類しかありませんので、眼に合わなければ種類を別のものに変えることが多いです。
コンベンショナルレンズ(使い捨てではない)が主流の時代にはいくつものベースカーブが用意されていました。
1dayアキュビューモイストは歴史のあるレンズなので、当時の名残が少し残っています。
直径は少し大きめです。
直径が大きいと吸着して乾燥しやすいと思われるかもしれませんが、極端に大木はありませんのでご安心ください。
直径が小さいレンズは安定が良くないこともありますので、直径にはそこまでこだわらないほうが良いです。
度数はプラスレンズ(遠視用)からマイナスレンズ(近視用)まで幅広いです。
最近のディスポーザブルレンズ(使い捨てレンズ)は‐10.00までしか製作されていないことが多いです。
強い近視の方で‐10.00を使っている人は「もっと悪くなったらどうしよう」と不安感を抱いています。
そんな方でも1dayアキュビューモイストであれば対応することができます。
ここはひとつ差別化ポイントです。
中心厚は普通ぐらいの厚みです。
酸素透過率は最近のコンタクトレンズと比較すると低いです。
眼にどれだけ酸素を届けることができるかを数値化しているのが「酸素透過率」です。
次世代素材のシリコンハイドロゲルではこの数値が100を超えます。
「眼の健康面は確保されるのか!?」
と思われるかもしれませんが、結論から申し上げますと「ほとんど問題ありません」
酸素が眼に届いているかを示すもう一つの指標に「酸素流量率」というのがあります。
裸眼を100%としたときにどれだけ違いがあるかを示します。
例えば酸素透過率が100ぐらいあるシリコンハイドロゲル素材のレンズであれば、酸素流量率はだいたい97%です。
1dayアキュビューモイストの酸素流量率はおよそ90%以上あります。
数値の見方によっては印象が変わりますね(^^)
含水率とは「素材に含まれている水分の量のこと」です。
50%未満を「低含水」50%以上を「高含水」と言います。
58%は高含水に位置します。
ソフトコンタクトレンズ分類のグループⅣは「高含水・イオン性」のコンタクトレンズです。
高含水は先ほど説明しました。
イオン性素材というのは、
「やや汚れを寄せ付けやすいが水になじみやすい素材」
です。
イオンという電荷を帯びているので汚れを寄せ付けやすい性質があります。
しかしイオン性素材は水と仲が良いので眼になじみやすいみずみずしいつけ心地を実現することができます。
他のメーカーは「非イオン性」という汚れを寄せ付けにくい素材で売り込んでいます。
しかし結果としてジョンソン&ジョンソンのレンズがヒットしました。
ヒットした理由は「つけ心地のよさ」です。
イオン性素材のメリットを生かした商品開発が顧客のニーズをとらえました。
ではここからは製品の評価をします。
製品の評価は5つで行います。
それぞれの評価ポイントは別のnoteでご覧ください。
1.つけ心地 ★★★★★(5点)
つけ心地に関しては満点です。
私が知る中でこれほどまで万人に合うコンタクトレンズはありません。
1dayアキュビューモイストが合わないと言っていた人はほとんどいませんでした。
快適なつけ心地を実現しているのは、イオン系素材が大きいです。
少し触れましたが、イオン系素材は汚れを寄せ付けやすい性質があります。
他のメーカーはそれを嫌い、非イオン系の素材を選んでいます。
ジョンソン&ジョンソンのはそれよりも顧客のつけ心地を優先して、あえてイオン系の素材を選択しています。
これは次世代素材のシリコンハイドロゲルレンズの登場まで貫いています。
さすがと思いました。
2.見え方 ★★★★★(5点)
見え方についても満点にしています。
近視用のコンタクトレンズなのですが、なかなか矯正が難しく乱視のタイプでも満足度の高い見え方を実現できます。
ちなみに乱視には3つのタイプがあります。
直乱視
約9割がこのタイプ
比較的矯正がしやすい
AX180°の乱視で矯正する
倒乱視
約1割くらいの方が該当
少ない数値でもブレが出やすい
比較的矯正がしやすい
AX90°の乱視で矯正する
斜乱視
少数派
少ない数値でもブレが出やすい
矯正しづらい
120°、45°など斜めの角度で矯正する
例えば倒乱視であれば乱視用で矯正することができますが、
「乱視用は高いからイヤ」
「乱視用レンズのつけ心地が合わなかった」
などの事情から拒否されるケースがあります。
このような場合に1dayアキュビューモイストは有効です。
また斜乱視はそもそもコンタクトレンズだと製作範囲に入っていないこともあります。
たとえあったとしても直乱視や倒乱視の方より視力が上がらないケースが多いです。
かえって乱視用にして見え方がブレてしまうこともあります。
そんな時にある程度満足のいく視力が出てくれることがあります。
もちろん近視の方であれば、ほぼ問題なく視力が出ます。
3.安定性 ★★★★☆(4点)
安定性はコンタクトレンズが目にしっかり収まるかどうかということです。
これに関しても、かなり評価は高いです。
眼とコンタクトレンズが合っているか「フィッティング確認」を行いますが、安定が悪くて不可になる方をほとんど見たことがありません。
また、コンタクトレンズは眼とレンズの隙間に涙が出入りするよう、上下に動くように設計されています。
動きが少ないと「タイト」なので乾燥の問題が出やすく、逆に大きいとを「ルーズ」なので視力の不安定さやつけ心地に影響します。
これに関しても、適度な動きで収まっていることが多いです。
処方側にとっても安心できるコンタクトレンズです。
4.取扱のしやすさ ★★★★☆(4点)
レンズのブリスターパッケージは一般的です。
そこまで薄型設計ではないので指に乗せる時に苦労することも少ないです。
ここで特に主張したいのが「はめはずしのしやすさ」です。
コンタクトレンズが初めての方でもレンズが眼になじみやすいので入れやすいです。
別のコンタクトレンズで練習しても眼に入らなかった人が、1dayアキュビューモイストに変えたら1発でできたこともあります。
こういうユーザーの負担が少ないところも支持されている要因ですね(^^)
5.乾燥感 ★★★☆☆(3点)
乾燥感は個人差が出やすいのでスペックからの一般論にします。
一般的に含水率(水分を含んでいるパーセント)は高い方が乾燥感が出やすくなります。
水分の量が多いと乾燥した時にレンズが縮むために眼を圧迫します。
1dayアキュビューモイストは含水率58%の高含水レンズです。
ですので、やや乾燥感を感じやすい仕様と言えます。
「うるおい成分入っているから乾燥に強いんじゃないの?」
そう思うかもしれません。
しかし最近のコンタクトレンズはうるおい成分が入っている製品ばかりです。
あまり優位性はありません。
もっと言うと、うるおいが入っていない「1dayアキュビュー」と比較してもさほど変わりありませんでした(^^;)
まとめ
今回は1dayアキュビューモイストの評価をしてみました。
ポイントとしては、
「原点にして至高」のコンタクトレンズ
ほとんどの方にとって問題ない「つけ心地」
倒乱視や斜乱視などの「手ごわい乱視でもOK」
です。
重点ポイントの評価は、
1.つけ心地 ★★★★★(5点)
2.見え方 ★★★★★(5点)
3.安定性 ★★★★☆(4点)
4.取扱のしやすさ ★★★★☆(4点)
5.乾燥感 ★★★☆☆(3点)
といった感じです。
最近は性能の高いコンタクトレンズが登場していますが、スペックを追い求めすぎて本当に顧客に必要な部分が抜けているような気がします。
だからこそいまだにユーザーがたくさんいるんだと思います。
あとは何度も言いますが、実際に合うかどうかは個人差があります。
インターネットで購入する前に眼科で合うかどうか処方してもらってください!
今後もnoteでコンタクトレンズのことを書きたいと思います。
また読んでください!