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「いわきの音楽の日」と大工のミュージシャン
神奈川県藤沢市にあるレストランMONKで4月17日(日)、「第2回いわきの音楽の会」が開催されました。
「いわき」といえば2011年から通ってる福島県。今回は2年前に出会った関野豊さんと再会しました。
福島県いわきのライブハウス
この日のライブは福島県いわき市にゆかりのある上野夫妻(鎌倉市在住)が企画し、同市のバンド3組の参加で実現したイベントでした。
最初に演奏したバンド「平凡ズ」のボーカルギターが関野さん。
2020年にいわき市で知り合い、「真っ暗なトンネルに入り込んだ」という、コロナ禍で奮闘するライブスタジオの経営者で、AERA.dotに紹介した方でした。
また、郷土に誇りを持つ「シビックプライド」をテーマに取材したこともありました。
3組のバンドの演奏
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関野さんは私を覚えていてくれて、いわきから同行した仲間に「あの時のことをYahooニュースに書いてくれた、ほら、あの記事の」と紹介してくれて、すぐにみんなが「あ、あの時の、あの記事の」と認知してくれたおかげで、いわきコミュニティに受け入れられたような感覚でライブに参加できました。
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ライブは関野さんらの「平凡ズ」のステージから始まりました。そこには、何度も瀬戸際に立ちながらライブスタジオの運営を続ける関野さんが、元気に楽しそうに演奏している姿がありました。
続く「三ヶ田とくにお」は会場のムードも高まり、演奏後の大喝采に本人たちが「拍手がすごい」と驚くほどでした。
そして最後は「ミーワムーラ」。
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釣り人や小さな町に佇む商店などをテーマに奏でるミーワムーラのギターと歌声は、次々と情景が移り変わる舞台を見ているようでした。
ジャンルなき演奏
スポットライトがパッと当たって静かに演技が始まる。ステージの後部にライトが当たると、暗闇の中から別の風景が浮かんでくる。いったいこれからどんな展開がまっているのだろうかと観客はワクワクする。繰り返すうちに舞台の全貌が見えてくる。
ミーワムーラの演奏は、確かに楽器を使ったステージではあるけれど、そんな舞台を楽しむようなライブあり、表現であり、「音楽って自由だなぁ」と感じさせてくれるものでした。
こういう音楽にジャンルがあるのでしょうか。興味が湧き、ステージ終了後にミワさんに訊ねました。
すると、首を傾げて「暮らしの風景とか…」と明確な答えは無し。型が先にない。私は「土着的音楽なんでしょうね」と返しました。
ミュージシャン兼大工というミーワムーラの魅力
話は変わって、最近私が関わる林業の世界に、さまざまな業種の人たちが参入しています。前にも記事に書いた通りですが、その中に日本の伝統工法で家を作る大工さんがいます。
感受性も高く、本来の素材の良さを活かした建築をしたいという考えを持つ人。家のリノベの相談をすると、型を押し付けることなく、その家の構造や住んでる人の暮らしを前提にしてアドバイスをしてくれます。
基礎はあっても、型が先にない。
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ミーワムーラに話を戻すと、彼らはミュージシャンでありながら、大工でもあるそうです。
きっと面白いものを作っているのだろうな。彼らのつくるものを見てみたいな。そう思うファンたちもいるのでは。音楽界と林業界がつながってみえていました。
ミーワムーラに想いを寄せる
長々と続きますが、彼らに触れたファンたち(それぞれが表現者でもある)が、その気持ちを文章に綴って寄せ合い、一冊の本「それぞれのミーワムーラ道」にまとめていました。
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「ミワさんが一声発したその瞬間から、気持ちをぎゅっと掴まれてしまった」という芳賀幸友さんは、同書でミーワムーラの魅力をこう語っています。
菅原ミワの紡ぐ言葉はとても視覚的で、それに呼応して聴き手の五感が研ぎ澄まされていく。まるで風や音や空気の匂いまで伝ってくるよう。…(中略)…。しっかり大地に立った生活者が紡ぐ言葉だと思った。
震災から通い始めた福島。2年前に訪れたいわき。書いた記事と撮った映像。そこからつながる今日のイベントと出会う人々。
五感が研ぎ澄まされる、まさにそんな一日でした。
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