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シャーデーのレゲエカバー名曲

ロシアの格言に、スズメを撃つのに大砲を用いるな、というものがある。日本語で言う比例原則のことで、目的と手段のバランスが取れていない物事は非合理的であり、スズメを撃つのに大砲なんか使ってたらコストがいくらあっても足りないということだ。

たとえば300円の万引き犯に警察を出動させ、指紋を取り、DNA鑑定をして犯人を見つけ出し、逮捕する。犯人には被害者に300円を返させる。この場合もし仮に警察の労働力とその時間の人件費、指紋鑑定とDNA鑑定の費用が全部合わせて50万円かかったとすれば(数字は適当)、たとえ300円犯人から取り返したとしてもこの仕事は50万の損であり、50万円の赤字である。警察の仕事は社会の安全なので損得勘定だけでは判断できないと思うだろうが、それではこの50万円を誰が支払うかと考えたら、それは我々の税金である。そして日本はこれから数十年で数千万人の人口が減り、その分の税収が減る。日本の警察の検挙率は高いと思っている方も多くいるかもしれないが、実際には現在の軽犯罪の検挙率は3割で、7割は未解決事件ということになっている。つまりこれ以上税金を投入することができない日本の警察は、人が注目する重犯罪ばかりの検挙数を上げて体裁を保っているだけなんですよね。もう日本の警察は限界にきている。

作家の村上龍は、日本人は優先順位を決めるのが下手だ、と何かのエッセイに書いていた。それではここで大麻とアルコールのどちらが罪が重いのかを考えてみよう、と思ったのだが、アルコールと大麻を比べるのは非常に抽象的なので、もっと分かりやすく、家で大麻を吸うことと、アルコールを飲んで車を運転することとを比較してみよう。

まず大麻を家で吸って死ぬ人はいないだろう。そういう事例は見たことがないし、科学的学術論文では、大麻の致死量は人60キロに対して600グラムである。600グラムというのが多いのか、少ないのか分からないかもしれないが、大麻が合法のオランダでは、お客さんにひとり5グラム以上売ってはいけないという法律がある。そしてお店も500グラム以上の在庫を持ってはいけないので、実質的に600グラムの大麻をひとりで服用することは不可能だろう。

それに対して飲酒運転はどうだろうか。アルコールを飲んで車を運転したら事故を起こす可能性があり、自分が死ぬ可能性もある。それどころか他人をひき殺す可能性もある。もちろん事故を起こさない可能性も考えられるが、実際飲酒運転で人が死んだ事例はたくさんある。

それではその行為に対しての罰を考えてみる。家で大麻を吸っているのを現行犯逮捕された場合、実刑は5年以下の懲役である。そして飲酒運転の場合は3年以下の懲役、または50万円以下の罰金である。飲酒運転のほうが罪が軽いのだ。

ここで押さえておきたいポイントは、懲役というのはどこからかお金が降って湧いてきて受刑者を生活させることができるというわけではないことだ。

刑務所で受刑者が生活するのにいったいいくらかかるのか分からないが、刑務所の経済学という本には、日本の平成20年度の収容費が約536億円、ひとりあたりだいたい年間300万円かかるということなので月にひとりあたり約25万円といったところだろうか。

もし大麻で逮捕された人が3ヶ月の実刑判決を受けたらどうなるか。もちろん我々の税金で3ヶ月分の75万円を支払うことになる。そして平成29年度の逮捕者が3008人だったので単純に3ヶ月ぶん75万円を3000人で掛けたら計22億5000万円が収容代にかかる。

これは単純計算をしただけなので、正確な数字ではないのだけれど、今の大麻取締法というシステムでは警察が頑張れば頑張るほど予算が減り、警察の運営が立ち行かなくなるのが分かる。国民はそれを認識しといたほうがいい。それよりも罰金刑にして、逆に75万円もらって懲役なしにしてさっさと働いてもらったほうが、22億5000万もらえるわけだし、22億5000万の出費をやめて22億5000万を得たほうが計50億円もの差額の利益が出るので警察の運営的にもメリットがあるのではないか。しかも75万円の罰金だけだったらローンで月々2万円払えばだいたい3年で払い終わるので、毎月お金を払うことの後悔と、しかし実刑を受けてないので未来があり、自暴自棄にならずにまじめに更生する可能性があるのではないかとも思う(しかし優先順位というものを考えると、大麻が50万、飲酒運転が75万のほうが妥当ではないか、とも考えられる)。

極論を言う人は懲役にしてなおかつ罰金ももらえばいいじゃないかと言う人もいるかもしれないが、貯金を持っている人はいいけど、貯金を持ってない人が刑務所に入ったら実質罰金を支払うことは不可能で、社会に戻ったときに仕事を新しく見つけるのも困難な状態で借金を背負わされていたらそれこそ自暴自棄になる可能性が高く、社会の秩序を守るために法律が存在していることを考えるとそれはスズメに大砲を撃っていると言わざるを得ない。

そして世の中にはけしからん罪というものが存在し、もしけしからん罪に認定されると、何を言ってもどれだけ叩いてもいいという文化が存在する。大麻で捕まった芸能人はテレビで顔写真を晒され、コメンテーターはあれやこれやあることないこと言って断罪する。視聴者はドラマの役柄でイメージを決定し、まるで逮捕された人が極悪人だったかのように人間性を否定する。テクノロジーの発達で殺し方が変わっただけで、今でも魔女狩りは存在するのだ。中世だろうと令和だろうと人間の本質はあまり変わっていない。そしてこの魔女狩りは国によっても程度が違う。もちろん欧米のように成熟した社会ではこの程度の罪では魔女狩りは起こらないし、逆にシリアやイラクのような厳しい社会では何かけしからん罪に認定されると有無を言わさず首を切られ、生首が街のいたるとこにぶら下げられる。そして幼い子供はその生首を見て、お上には逆らわないようにと認識させられる。

そして魔女狩りにあっている小嶺麗奈を見ていると、地元が同じ僕としては、彼女は魔女ではないとここで声を大にして言いたい。普通の人間だ。彼女は動物好きで、自然が好きな環境意識の高い、みんなに優しい女の子である。ただ少し好奇心が強いだけだ。ゴシップ好きの魔女狩りが一刻も早く沈静化し、大砲を引き下げてくれることを願う。

さて、今日紹介したいレコードは、SABRINA RICHのSmooth Operatorです。これはシャーデーのSmooth Operatorのレゲエバージョンのカバーで、とても気持ちいい曲になっています。

https://youtu.be/fzh_t1fR-e4


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