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リフレ派に関する連載ウォッチ#3

武田真彦教授の連載12回の第3回は、
“リフレ派が推奨してきた「量的緩和」とは何か、短期金利のコントロールを通じた伝統的な金融政策とどこが違うのか”(*1)
に関する記事だそうです。

(*1)金融政策における金利と量の役割 https://business.nikkei.com/atcl/seminar/20/00039/022400004/?n_cid=nbponb_twbn

金利ベースでの金融政策について詳述された後、量的緩和について、
“ 小規模の量的緩和は、QQE導入以前にも行われていたわけである。”(*1)

と、白川日銀時代にも量的緩和が行われていたことをファクトとして示されます。
これは、武田真彦教授が「学者」としての本分を発揮した点であると理解しています。
白川日銀時代の「包括緩和」という、コミットメントが弱く緩和規模が小さいながらも、古い金融政策を看板に掲げる古い日銀が、量的な部分で、緩和を余儀なくされ、なおかつ、日本経済には充分なプラスの効果を出せずにいたという事実は語らずにいられないでしょう。
仮に、僕が日銀に在籍したことがあり、日銀審議委員の候補になろうとするのであれば、日銀の残念な金融政策に触れることを避けた議論を展開していたと思います。

その後、フリードマン、マネタリズムなどについて言及されていますが、武田真彦教授の記事に書かれた内容は紙幅の都合などによるためか、薄い内容となっているようです。
リフレ派が量的なことに言及すると、「リフレ派はマネタリストだ」「マネタリズムだ」という言説が散見されます。
このような誤解を僕は「ジャムる」と命名しています。

貨幣量を増加させる金融政策手段は、米国はじめ、リーマンショック後の金融当局では、当たり前のように実施されていました。
ですので、
FRBがマネタリズム?
BOEがマネタリズム?
ECBがマネタリズム?
BOJがマネタリズム?
と、数々の疑問が湧いてきます。
(ンナ、コターナイ)

フリードマンとリフレ派の考え、日本経済については、残念な議論を見るよりも、2つの書籍を拝読されることをオススメします。

”金融政策の重視とはいっても 、マネタリストにおける本来のそれは 、 「マクロ安定化のために金融政策を積極的に活用する 」というケインジアン的な意味とはまったく異なっていたのである。“

野口 旭氏『世界は危機を克服する―ケインズ主義2.0』 
https://amzn.to/3kGLmfS


ミルトン・フリードマンの日本経済論 (柿埜 真吾,2019)
http://amzn.to/2riUPT1

2冊目の書籍を紹介した記事です。

【本】ミルトン・フリードマンの日本経済論 |おおしま 真 #note https://note.com/shinchanchi/n/ndf5847501fa8


武田氏の記事に戻ります。

“「経済主体は量ではなく価格に反応するはずではないのか」という疑問である”(*1)

という記述を見かけましたが、経済学では
希少性
インセンティブ
ノーフリーランチ
がキーワードだと思います。

希少性が高くなれば価格は上がり、その逆もまたしかり。

この辺りを理解するには、難しい理論などは必要なく、こちらのサイトが参考になります。

にちぎん⭐︎キッズ
https://www.boj.or.jp/z/kids/data/kids_26-35.pdf

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使い古された、金利操作による金融政策だけに固執するのではなく、にちぎん⭐︎キッズ に書かれた内容などで、先進国の標準レベルの金融政策については学んでおきたいところです。

白川方明さん(日銀総裁経験者と同姓同名です)は、論文のなかで、「為替レートの決定には現実の通貨供給量と並んで通貨供給量の予想も重要」(*2)と述べておられます。

第二次安倍政権以降に取られた金融政策は、それ以前の日銀に比べて、強力なコミットメントとそれを裏付ける大規模な金融政策があり、雇用環境などを大きく改善させました。

第二次安倍政権前のデフレ維持を結果としてもたらした、日本銀行の金融政策は残念ながら、第二次安倍政権以降の雇用環境など日本経済のパフォーマンスにプラスの寄与を与えていたかは、首を傾げざるを得ません。


金融政策の効果を否定したり、リフレ派の政策をマネタリズムだと混同させるかのような団体が日本にはあります。

共産主義系の政党の国会議員が2013年3月28日の財金委員会で次のような発言をしておられます。
「実は日銀の皆さんとはずっといろんな議論をして、恐らくこの後ろに座っていらっしゃる方ほとんどは私とまだ同じ考えじゃないかと実は思うんです。」
後ろには黒田東彦氏以外に雨宮理事(現日銀副総裁)など、デフレ維持に邁進し、金融政策でのデフレ脱却に否定的な人々が座っていらっしゃったようです。(参考人:黒田東彦、田中 洋樹、雨宮 正佳)

日本の共産主義系の方は金融政策に否定的です。イデオロギーに関わらず、日本銀行が子供向けに作成した、にちぎん⭐︎キッズ から学び、世界標準レベルの金融政策についての理解を深める一歩を勇気を持って踏み出す時ではないでしょうか。



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