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リフレ派に関する連載ウォッチ#7

武田真彦教授の連載12回の第7回は「日銀が金融資本市場に大規模に介入し、市場価格を事実上支配することの是非について考える」(*1)そうです。

武田真彦教授は連載の1回目で“ 本連載の対象は金融政策の方法論なので、政策判断の是非には立ち入らない”と仰っていましたが、本記事では“ 日銀が金融資本市場に大規模に介入し、市場価格を事実上支配することの是非について考える”とあります。
経済学を修めていない僕には理解しかねるのですが、本連載では、政策判断の是非には立ち入らないが、金融政策手段の是非には立ち入る、という理解で良いのでしょうか?
そうであるならば、QQEが行われる以前の日本銀行(旧日銀)の金融政策手段の是非にも言及すべきではないでしょうか?
旧日銀は、世界の先進国で唯一無二の「20年あまりのデフレ」という実績を残しています。グローバル化や人口減少など様々なデフレの原因が言われましたが、他の先進国でもグローバル化や人口減少はしていますが、デフレがこれだけ続いている先進国(それ以外でも?)は、日本銀行がある国を除いては存在していません。このファクトを、どのように評価され、その間の旧日銀の金融政策手段について、どの様に評価なさっているのか非常に気になります。紙幅の関係で言及が難しいとは思いますが、是非、経済学の叡智を活かしたご評価をお願いしたいものです。

武田氏は、ワルラス法則や貨幣数量説には批判的ですが、QQEは効果があったと認め、その効果があったのは質的な側面(買入資産がリスク性の高い資産に及んだこと)によるとしています。リフレ派が主張し、旧日銀とは、異なる黒田東彦日銀で掲げたQQEの柱とする「物価目標達成のコミットメント」と、それを裏付ける具体的な金融政策としての「量的・質的緩和」という文脈から乖離した議論を続けておられます。

そして、武田氏は“中央銀行の伝統的な政策思想”(*1)として、旧日銀の「思想」を慮るかのような解説をなさっています。
経済学の素人の僕ですが、恐れながら申し上げます。旧日銀は、先進国でも唯一無二である20年余りもデフレを続けた中央銀行であって、その政策思想を「先進国一般の政策思想」のように語ってしまうことは、デフレ維持の実績を残しつつ「中央銀行」というタイトルの書籍を世に出された白川方明氏(将来の貨幣量の重要性をご理解された、マネタリー・アプローチに関する論文を書かれた方と同姓同名の方)と酷似した印象を受けます。本連載を「中立的な立場からリフレ派批判」をなさっている連載、と受け止めていましたが、再考を余儀なくされそうです。

武田氏は、中央銀行は市場への介入を極力避けるべき、と取れる内容を書かれています。しかしながら、FRBなど世界の一般的な中央銀行が目指す「物価安定」や「雇用最大化」のためであれば、中央銀行の「手段の独立性」に介入するかのような言説は、いかがなものでしょうか。
そもそも、デフレによって、リスク性の高い資産購入を余儀なくされたのであれば、その原因であるデフレに陥ることがないように金融政策を行うべきではないか、と思うのは僕だけでしょうか?

本連載は、僕のような一般向けの連載と思っていましたが、一般人には理解し難い内容、論理展開があり、先々の記事を拝読するのが不安になってきました。

武田真彦氏の経歴が素晴らしいだけに。
https://www1.econ.hit-u.ac.jp/hokoku/information_disclosure/2019/pdf/PU_takeda.pdf

(*1) 日銀による「大規模な金融資本市場介入」の是非 https://business.nikkei.com/atcl/seminar/20/00039/030200008/?n_cid=nbponb_twbn


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