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東京からパプリカが消えた日。


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 ジャン・ポール・ゴルチエがスタイリングしたシリーズ。モデルは小夜子さんと外人モデル以外はヘアーメークの辰巳さん、スタジオの守衛さん、通りかかった子供など全て当日に決めている。というより全くコンテなし各見開きごとにバックを変えていて黒バックをセットすると「Gomi、なんか足りないよね?」と言う、言われてみればその通りだ、ゴーチエがオレンジ色のペンキ掛けるか?と言うので「パプリカの方がいいんじゃネ〜」のと言ったら「グッドアイデアだ」と言うことで六本木の明治屋に行ったが2瓶しかなく、編集者とアシスタントで手分けして都内にあるパプリカを買い占めた。
 大量に集められたパプリカを誰がバックに掛けるかと言うことになった。ゴルチエは手の平で僕の方を見て「s'il vous plaît」、シルブプレと言われても一発勝負、失敗したら一巻の終わり。そこで、「ムッシュー・ゴルチエ、とても光栄なことですがこれはあなたの作品なのですからあなたにお任せします。」と切り返した。スタジオではジャン・ポールと名前で話していたがあえてムッシュー・ゴルチエと呼んだのだ。彼も一発勝負と知っていたのか一度深呼吸してから手に持った大量のパプリカを投げかけた。さすが、世界に知られたファッションデザイナー、お見事でした。
子供はスタジオの前を歩いている親子に頼んで出演してもらった。みんんだで相談しながら臨機応変に撮影するパリ風の撮影でした。流行通信 1986年

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