人の記憶をも操る玄関まわりの印象

私の家の外壁はシャンパンゴールドの金属サイディングです。光沢のある、ベージュに近い明るい色。
ところが、私の家を訪れたことのある人が私の家について説明するとき、必ずこう言います。

「黒い家だよね」

シャンパンゴールドですから、黒いわけがありません。むしろ、白に近いです。
それなのに、なぜみんな私の家を“黒い家”と認識していたのでしょうか。
さらに言うなら、私自身、自分の家に対する“黒い家”というイメージを捨てきれない。
「黒い家だよね」といわれて「うん、そう」と返事をしたことも一度や二度ではありません。
もしかすると、10人のうち9人…いえ、ひょっとすると10人いたら10人全員が、私の家を“黒い家”と認識しているのではないでしょうか。
そんなことあるのでしょうか。なぜ、そのようなことが起きてしまうのでしょうか？

実は、私の家は全体を見ればシャンパンゴールドですが、玄関まわりだけ黒っぽい金属サイディングが張られています。
なおかつ、玄関ドアも黒。
この玄関まわりの黒っぽい色が、建物全体のシャンパンゴールドを打ち負かしているんですね。
それほど、玄関まわりの印象は家全体の印象を左右するのです。

せっかく家を建てる、あるいはリノベーションするのですから、やっぱり外観にはこだわりたいもの。
だけど、家づくりには『予算』という高い壁があります。すべてが思いどおりにはいかないこともあるでしょう。
塗り壁や板張りを諦めて、サイディングに変更しなければならないこともあるかもしれません。
そんなときは建物全体をつくり込むのではなく、玄関まわりにポイントをしぼってみてはいかがでしょうか？

最近ではアンティークなデザインのポストやポーチライトをチョイスして、玄関まわりを可愛らしく仕上げている家もよく見かけます。
部分的に杉板やタイルを張ったり、建具を造作したりして、上質なイメージをつくり上げてみるのもよいでしょう。

多くの人が訪れ、多くの人が目にする場所。玄関。
「〇〇さんの家って素敵」といってもらえるよう、品よくおしゃれに仕上げたいものです。

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