![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159215996/rectangle_large_type_2_9ba42715cc497664d753a26dcb8144f0.png?width=1200)
ヴィレッジ岩屋顛末 第1章 三〇三号室 夕羽 プロローグ
東京都中野区 とあるマンション。
都会の片隅で普通に生きている人々に起こる怪異。
どうして私に、どうして僕に、 どうしてわたしが えらばれたのか
プロローグ
大通りへ向かって走る。
恐怖と夜気の冷たさで目に涙が溜まって前がぼやける。
息が詰まって苦しい。首と背中に冷たい感触と重み。魚が腐った様な腐臭がすぐ後ろにあるが、振り向けば見えるモノを認識するのが怖くて振り向けない。
人気のない路地を走り抜け、大通りへ向かう真っ直ぐな道に出ると、夜の都会の光が見えた。
口から悲鳴とも歓喜ともつかない叫声が漏れ出た。
(助けて)
大通りへ向かって走る。一目散に。
(誰か助けて)
背中のモノを引き剥がして。