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ヴィレッジ岩屋顛末 第1章 三〇三号室 夕羽 プロローグ

東京都中野区 とあるマンション。
都会の片隅で普通に生きている人々に起こる怪異。
どうして私に、どうして僕に、 どうしてわたしが えらばれたのか

プロローグ

 大通りへ向かって走る。
 恐怖と夜気の冷たさで目に涙が溜まって前がぼやける。
 息が詰まって苦しい。首と背中に冷たい感触と重み。魚が腐った様な腐臭がすぐ後ろにあるが、振り向けば見えるモノを認識するのが怖くて振り向けない。

 人気のない路地を走り抜け、大通りへ向かう真っ直ぐな道に出ると、夜の都会の光が見えた。
口から悲鳴とも歓喜ともつかない叫声が漏れ出た。

(助けて)

 大通りへ向かって走る。一目散に。

(誰か助けて)

 背中のモノを引き剥がして。


<第一話へ続く>

#ホラー小説 #ミステリー小説

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