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「孤独な魂」を見て思った事
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ベッドに寝そべりながら清宮質文の作品集を見ていたら、孤独な魂という作品が出てきた。
薄いやみの中、一つ目だけがぼんやり開いている。
白目の部分は褐色に濁り、黒目の部分は何かを見ているようでなにも見ていない。
あぁ、そういえばそうだと思った。
孤独とはこうなのだ。
誰とも真剣に関わる気が起きず、気づけば自意識だけが異形にふくれあがる。
全てが飽和され透明になってしまって、もはや他人から見て自分がまともな形を成してるのか、成していないのか、成していたところで本当に価値があるのかどうかも分からなくなってしまう。
そうなると、もう悲しむ事も怒る事も難しくなってしまう。自分にとって他者は不安なだけの存在で、自分だけ満たされていればそれでいいかと思えて、世界中が人をさみしくさせるような装置が溢れかえっている。そこら中、落とし穴だらけである。
そんな風に感じてしまう。
そしてそれからふと思い当たった。
しかし人は孤独にはなりえない。
ニコラテスラも世界を一つの共鳴伝導体だといったと、ジムジャームッシュもコーヒーアンドシガレッツという作品で役者に言わせている。
生きている限りその時々で、同じレベルの孤独を持つ人というのは必ずいて、あらゆるもので繋がる可能性がある。
表現者が表現を続ける事によって、誰も本当に独りぼっちになんかならない。
絵の力はすごい、歌の力も、写真も、小説も。
光の当たらないはずの場所に光を当てる事ができる。
この歌のすごいところの一つは、差別され、無視され、過酷な労働の中に消えていくはずだった黒人の湾岸労働者の声を確かに時代に刻みつけた事だと思う。
Look like nothing's gonna change
何も変わりゃしない
Everything still remains the same
何もかもが同じままだ
I can't do what ten people tell me to do
みんなが言うようになんてできないよ
So I guess I'll remain the same, yes
多分、オレはずっとこのままなんだ
絶望の先にもきっと光はある。
その人が手をのばし続ける限りは。
そう信じれなければ歩けない。