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R.I.P.
かわいくて、さわやかで、でもどこか寂し気な目をした彼が好きでした。
「やるせない」という気持ちを、もしかしたら人生で初めて明確に体験しているのかもしれません。
あの日以降、朝が来るたびに、「やっぱり夢じゃなかったか…」という現実を背負い直してから起き上がっています。
彼を知る人が紡ぐ言葉を見ていると、純粋でまっすぐで誠実な人柄を、痛いほど感じます。
彼は、本物の天使だったんじゃないかと、真面目に思ってしまうくらい。
天使が、天に帰っていった。
そんなファンタジーめいた思い込みをすることが、この出来事を自分の中で無理やりにでも解決するための、いまのわたしの唯一の方法になっています。
0か100か。
真面目でストイックな人ほど、自分の努力の度合いを極端に過小評価してしまいがちなものだけど、彼もそうだったのかな。
いくら周りから評価されても、成功を掴んで幸せそうに見えても、自分が掲げる真の理想を追い求め、完璧な100を目指し続けていたのかな。
他人に対して誠実であればあるほど、皮肉なことに、自分の心の声に対しては不誠実になることがあるようです。
逃げ出したいと思うほど追い込まれていても、自分に期待する周囲を裏切ることは、さらに自分を苦しめることになるのかもしれません。
もしかしたら、そんな状態が幾重にも重なり、ついには、最も選んではいけない道を選んでしまったのかもしれない。
そんなことを勝手に想像して、胸が張り裂けそうになっています。
訃報から数日経ってわたしの中に湧き上がってきたのは、「彼の魂が、いろんなしがらみから解放されて自由になったのだとしたら、その自由を祝福してあげたい」という気持ちでした。
「祝福」だなんて、自分でも不謹慎だと思います。
それに、自死を肯定する気はさらさらありません。
その道を選んでしまった彼に対し、怒りに似た感情さえあります。
でも。
誰にも本心を打ち明けることなく、長い間ずっとひとりで苦しみを抱えて生きていたのだとしたら。
ある日、プツンと何かがはじけてしまうのも、分からなくもありません。
本心を打ち明けられる人がいなかったわけではないと思います。
ただ、優しくて誠実で誰からも愛されていた彼だからこそ、本心を打ち明けることで、大切な人たちに心配をかけたりすることの方が耐えられなかったんじゃないか。
これもまた、わたしの勝手な想像ですが。
どこまで時間を巻き戻せば、今日も彼が笑っている世界になっていたのだろうか。
どこまで時間を巻き戻せば、彼が本当に生きたかった時間を取り戻してあげられるのだろうか。
そんなことを、ずっと考えています。
考えてもどうにもならないけれど、考えずにはいられないわたしがいます。
この悲しい出来事と彼が生きていた時間に想いを寄せ、そこから何を感じ、何を学び、何を生み出していけるのか。
その問いの答えを探しながら、生と死に向き合っていきたいと思います。
彼の魂が、駿馬のごとく自由に軽やかに駆け回り、晴れた春の日のように清々しくさわやかでいてくれることを祈りながら、わたしは「今日」を積み上げていきます。
R.I.P. Haruma Miura
I will continue to love you now and forever.
Shina
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