![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41491067/rectangle_large_type_2_7f818aba24e935bb0d7c67dfc3232560.jpg?width=1200)
12月23日
ものすごく首が痒く湿疹ができ失神したくなるくらいひどかったので皮膚科にいく。行きつけの皮膚科が定休日(休診日)だったので別の皮膚科にいくとまあなんてことでしょうっていいたくなるくらいに混雑しておりウゲーとなるも痒いし気にもなるので待つことにした。なんでこんなに人がいるの? イベントか? と見紛うほどの混雑ぶりには密もありゃしないと心の中で毒づく。小さな子ども達のわがまま放題やりたい放題にそのママたちは皆一様に怒りの声を荒げついでに途方に暮れた顔をしている。ぎゃーぎゃーと耳にうるさい。わたしってもしかして子ども嫌い? 子育てが終わり果ててすっかり独身に戻ったわたしはどうやら子ども嫌いだったと今さら気づく。黒いサングラスに黒いマスク。黒いセーターに黒いジーパン。子どもの方に顔を向けるとひどく怯え「ママぁ〜、ねぇママぁ〜」と絶対に泣きつくのでつい意地悪をし何人かの子どもたちをおびやかし時間を潰す。「こわいよぉ〜、ママぁ〜」本気をだし目の奥で威嚇をした子は本気で泣き出しその場をスーッと離れた。ごめんねぇ。特に意味はないんだよね〜。わたしは口の中で平謝りの言葉を転がす。
「誰々さん〜」
甘ったるい声のアナウンスはまるでAV女優の喘ぎ声に聞こえつい笑いを噛み殺し、はーいと間延びの返事をして診察室に入る。
演歌歌手みたいな女医さんだった。あーだーこーだと説明を受け、はい、そうなんですぅと適当な相槌をうってあっけなく終わる。院内処方ではないため横の処方箋に行き塗り薬と飲み薬をもらい終わるともう13時過ぎだった。
彼の家に化粧道具一式を忘れていったので取りに行こうと決め皮膚科の近くのモスバーガーに行きコーヒーシェイクとオニポテを買う。寒いけれどいい天気だ。ドライブ日和。車をフィアット500にしてから車の運転が好きになった。
彼のうちに着き化粧道具一式を探すと果たして布団の下に無造作に置いてあった。これじゃあ彼も気がつかないなぁとおもいつつ部屋の汚さにぎょっとなる。掃除をしようとしてやめる。来たことを知らせていなかったからまあやめておいた。パソコンが急にウィーンとなり画面が明るくなる。何かの拍子に起動したのだろう。彼のパソコンはパスワードを設定していないため観れてしまう。何気なく画面をみるとアダルトビデオの画面が静止画で映っていた。それもかなーりマニアックなやつ。それも朝の6時とか7時に。ん〜なんだろうなぁ。つい観覧履歴をみるといつもアダルトや風俗のサイトを観ていてぎょっとなった。彼も男だったんだなぁと落胆よりも安堵をした。さほど性的なことに興味希薄だとおもっていたしもう彼は性的なことに対して食傷気味だと勝手に決め込んでいた。
「抱いて」そういえば抱いてはくれる。けれども以前のよう上になり腰などは滅多にふらない。
「ダメ……、息が上がって無理……」
もうあの頃のようわたしを求めなくなり動かなくなり「出して」と平然と当たり前のよう注文をつけるようになった。けれどわたしはまずもって『プロ』なのでその技を使いすぐに出せてしまう。
「う、うまい」
いつもいわれいつも感心される。まあね。だってその道のプロだもんね。などとはいえるわけがない。
それでも彼はまだ風俗サイトを閲覧している。まあ男だしなぁとおもうしかない。男はだいたい飽き性なのだし新しいものを好み新鮮さを好むのだ。そんなものいたいほどわかっている。わたしはそうゆう現場にいるのだから。帰りにスーパーに寄りまた子どもを威嚇し何人か泣かして車に乗ると前の職場の営業のおじさんと偶然にあい喫茶店にいく。
「まあ暇だしね」
本当に暇そうだった。喧嘩してやめたおじさん。もう怒ってなかった。
「まあ元気そうで何より。あ。メリークリスマス」
え? 今日ってもうイブだっけ? わたしはけれど、同じ言葉を返した。
「あ、違うわ。明日がイブだった」
はははと笑いアイスカフェラテをズズズと啜るおじさんはなんだか老けてみえた。とゆうか老けていた。
「あんたじき誕生日じゃなかった?」
「うん」
いくつになったのと嫌なことを聞いてきたのでいくつとこたえるとへえまだそんな歳だっけといわれてまあそうっすねと切り返す。
「またどっか就職するの?」
その問いには言葉を濁した。わからない。4月まではまだ動けないし。
「じゃあ良いお年を」
おじさんは一気にクリスマスと正月の挨拶を残し帰っていった。喫茶店に残ったわたしはそういえば空腹だったのでトーストを頼みコーヒーをお代わりした。おもてはもう真っ暗だった。けれどまだ橙色した部分が残っていてその部分だけがひどく寒そうにみえ喫茶店から出るのが嫌になっていた。カラスがいやにたくさん舞っていた。