ジャムおじさんの血液がジャムでできているのには訳がある
アンパンマンはあんぱん、しょくぱんまんは食パン、カレーパンマンはカレーパンなのだとしたら、
ジャムおじさんの体はジャムでできているのだと想像します。
ジャムおじさんの身体中に張り巡らされた血管の中には、血液の代わりにジャムが流れているのでしょう。
通常、血液の細胞は骨の中心部分にある骨髄という場所で作られます。
血液ではなくジャムなら、イチゴなどの果実と砂糖、少しのレモン果汁を摂取して、ジャムおじさんの胃の中で煮詰めることができれば簡単にジャムが作れそうです。
胃内で形成されたジャムは、門脈という血管を介して肝臓に流れていき、肝臓で成分が調整されて心臓に戻り、そこから全身にジャムが送られるようになっています。
ジャムには糖分、食物繊維、ビタミンやミネラルも豊富に含まれているから、全身の細胞に必要な栄養素を即座に供給できるという利点があるでしょう。
しかし、あのドロッとしたとろみが血管の中でジャムの流れを阻害してしまわないか心配です。
血液がドロドロして粘り気が強くなると、過粘稠度症候群と呼ばれる様々な症状が懸念されます。何らかの理由で血液の流れ(血流)が滞ってしまうと、血管の中で血液が固まってしまう血栓症になりやすくなります。
ジャムおじさんは、体内でジャム流が滞ってジャム栓症になってしまうことはないのか。
一見不利に思える進化でも、生存に有利だったり何かの役割を果たしていることがあるかもしれない。
被毛をなくしたヒト、ユーカリしか食べないコアラ、上アゴの犬歯が額に突き刺さりそうな勢いで伸びるバビルサ、排泄のために数週間に一度命がけで木から降りるナマケモノ‥
ジャムおじさんの血管の中を流れるジャムも、ジャム栓症のリスクを超える利点が何かあるのでしょうか。
アンパンマンの世界で脅威となる存在は、何よりバイキンマンでしょう。バイキンマンがどれだけ悪さをしてきても、ジャムおじさんはアンパンマンの顔を毎日毎日作り続けなければなりません。
アンパンマンにとってだけでなく、ジャムおじさんにとってもバイキンマンは恐るべき存在です。
アンパンマンがいくらやっつけてもあの手この手で手法を変えて攻撃してくるバイキンマン。
免疫機能を凌駕するバイキンマンによるバクテリアの攻撃に、ついには血液への侵入を許し敗血症を引き起こしかねません。
バクテリアも生き物なので、生存や増殖のために水分が不可欠です。ところがジャムが流れているジャムおじさんの体内では、大量の糖が水分子を引き寄せてしまい、バクテリアが水を利用できないのです。
バクテリアが増殖しにくいジャムがなかなか腐らないように、ジャムおじさんの体も次々襲ってくるバクテリアに対して強固な対抗をしているのです。
ジャムおじさんの血管内でジャムの流れが滞ることがないように体調管理をすることが、バタコさんに課せられた役割なのでしょうか。
ジャムおじさんの顔色や体の色をよく観察すると、時には紫色あるいは黒っぽい色をして、チアノーゼではないかと思うことがあるかもしれません。
血液の流れが悪くなって血液中の酸素濃度が低下すると、チアノーゼが起こることがあります。
でもそんな時も心配は不要です。
ジャムおじさんの顔色が悪そうに見えるときに体内の血管を流れているのは、ブルーベリージャムだから。