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視覚障害者用のナビは、むしろ自動搬送ロボットの技術だ。

 私はかれこれ8年間、毎日、音声ナビで歩いている。そして、「視覚障害者がココロ安らかに歩けるナビ」について考えてきた。今回は、それは「自動走行ロボットの技術の延長線上にある」ということについて述べる。

【自動倉庫の中を走る搬送ロボット】

製造工場には部品倉庫と組み立てラインがあり、倉庫で部品をピックアップしたロボットは所定の経路で組み立て地点に移送する。

倉庫には、通路をはさんで複数の部品棚が立っている。
従来は、ピッカーとよばれる作業員がワゴンをひいて部品を集めて、組み立て地点に運んでいた。
最近の自動倉庫などでは、自動搬送ロボットが活躍する。

この場合、通路にはペンキその他の方法で誘導ラインを描いておく。
・ロボットは光学センサーでこのラインを読み取り、外れないように走行する。
・またロボットには前方センサーがあり、障害物を検知すると停まったり、回避したりする。

このピッキング作業を人間のピッカーがやる場合、床のラインも前方センサーもいらない。目視して自分で判断できるからである。

【視覚障害者の移動誘導は、自動搬送ロボットに近い】

このような自動搬送ロボットを正しく機能させるためには、

① 正確な誘導ラインを用意する。
② ロボットは、誘導ラインがら外れないようにフィードバックをかけながら走行する。これは古くからある制御技術である。

このように、視覚障害者を誘導する手法は、晴眼者の案内とは大きくことなる。晴眼者の場合は、迷子を防げばいいだけだ。視覚障害者の移動誘導のしくみは、むしろ自動搬送ロボットに近い。

【視覚障害者用の歩行ナビの未達機能】

上に述べたように、視覚障害者の誘導には、正確な基準ラインと、そのラインに沿って走行させる制御技術が必要になる。だが、それに応えるようなナビは現存しない。

まず、基準ラインに相当する経路のデータ(緯度と経度)が不正確で、誤誘導が頻繁におきている。
正確な基準ラインをえるためには、実際に歩いて検分することであろうが、それは非現実的であり、Google など、外部地図データを転用して妥協する。
だが、既存の地図から作った歩行経路を歩く場合、往々にしてズレがおき、視覚障害者を困惑させる。
次に、進行方向や左右のズレについての案内が不十分 かつ 不正確であるという問題だ。
これに必要な制御技術は、従来のカーナビ、歩行ナビでは必要がなかった。つまり、技術分野が異なる。
さらに、晴眼の開発者には、この問題の重要性が理解しづらい。
たとえば、いつのまにか車道にはみだして怖い目にあったり、側溝に落ちてケガをしたりの恐怖は、経験してみないとわからない。

【まとめ】

筆者が友人と作った音声ナビ お散歩の友 では、上記の問題はかなりの程度、解決できている。
だが、依然として以下の問題が残っている。
まず、経路データは、自分で歩いて採録するか、Google Map から手動で慎重に抽出するしかなく、きわめて手間が掛かる。
つぎに、いまだ、2m 程度の横方向のズレを防止出来ない。
これらの問題の解決策については、今後整理して投稿します。
なお、前方の障害物を検知したり、それがどのような物体であるかの判別は生成AI を使った画像認識で解決ができる。これについては、レイバンメタのAIサングラスの投稿を参照されたい。


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