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赤いプジョーの日記 【19】Saint Jean の宿

 4泊するニースの宿はどこにしようか。これは大きな問題である。列車なら駅前がいい。だが、今回は車だ。

 初日は、空港のホテルにした。夜到着する3人を迎えなければならないからである。ホテルはシャトルをだしてくれる。このホテルは高くないけど、バスタブとテレビがそろったアメリカスタイルだ。たまにはお湯たっぷりの風呂に入ってくつろがなくては。それに、20時からFrance2のニュースが見れることが重要だ。

 次からの3日は海辺がいい。さらに、安いのがいい。というので、出発前からガイドブックで Saint Jean の La Fregate というのをマークだけしておいたのでした。

 さて、空港のホテルをチェックアウトして、荷物を積み込んで、Promenade des Anglais を東進だ。 なかなかのラッシュだ。花市場にちかづいたので、「パルキングをさがせ」と私がさけぶ。あいていた有料スペースにとめて、金を払っておく。

 車に気を付けて、道をわたって、花市場へ入る。あれ? 花がない。ハとりあえず、レストランに入って外の席で朝食。フランス素人の妹とKさんは、とにかくはしゃいで写真をとりまくっている。わたしは恥ずかしくなってしまう。

 お店の人に、「どうして花を売ってないの?」とたずねる。「毎朝花市だけど、月曜日だけ休みです」

 ああ、きょうは月曜。またしても花市はおあずけか。(昨年は、日曜の午後にいったので終っていたのでした)そう、花市がお休みの月曜朝は、骨董市が立っています。

 さて、そろそろ Saint Jean へ行って、今晩の宿を決めようじゃないか。岬をぐるっと回って Villefranche でちょっと休んで、フェラ岬に入る。そこを左に曲がって坂をくだって、ほら港が見える。お、このパン屋さん、いいねえ。

 というわけで、港に車を止めて、パンを買いに戻る。ただのパン屋さんなのに、フランスの素人さん達ははしゃいで、店内で写真をとりまくる。ああ、恥ずかし。

 そのパンやパイやピザやオレンジをもって港のベンチでお昼にしよう。このベンチ、クジラのしっぽの形をしているんだ。

 さて、めあての La Fregate はどれだろ? あった、レストランだ。その上が客室になっている。よくある形態だ。

 「こんにちは、今晩あいてますか?」
   「どうぞ」
  「部屋、見せてください。海が見えるといいんですが」
  「どの部屋からも海が見えますよ」

 ご主人がシーズンにむけて、内装をリフレッシュ作業中であった。3階の1部屋を妹母子が、その隣をKさんが選ぶ。2階のトイレなしを私がとった。これが一番安い。床に穴があいていて、くぼんでいる。テレビの音量調節がきかず、本をあてて音を塞ぐ。古いベッドがばかでかい。扉のたてつけがわるくてめっぽう固い。パック旅行では絶対に泊まれないホテルだぞ!

 このホテルが気にいらなかったのかって? そうではないですよ。若い経営者夫婦はまじめで口数のすくない人たちでした。3つ位の女の子とあとは妊娠6ヶ月、というところかな。

 2日目の夜、ブイヤベースを頼んだんだけど、2人で一生懸命に盛り付けをしてくれました。レストランホテルというのは、食後の移動が楽でいいですね(・・;)。

 それから、窓からは港がばっちり。一晩じゅうナトリウムライトがついて、きれいなのです。日の出が遅いので、朝起きてもついています。港の向こうには、エズ方面の集落と山腹をいく道路の照明がまたきれい。ま、港のはずれには3倍ほどの料金の高級ホテルもあるけど、きりないからね。

 というわけで、宿を変えるのも面倒なので、都合3泊してしまいました。


グレース王妃通りの展望台から見た Villefranche-sur-Mer の港


8年ぶりに訪れたそのホテル

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