プロPMが見る「プロジェクトマネージャー」と「プロダクトマネージャー」の違い
プロダクトマネージャーをやっていると必ず一度は耳にするこの質問。
「PMってプロダクトマネージャーですか?プロジェクトマネージャーですか?」
この質問が後をたたないのは、まだ採用市場においてプロダクトマネージャーの認知があいまいであることの現れです。会社によってもプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーを一緒に扱ったり、違うものとして暑かったりと差があるのが実情です。
そこで一般的にプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーは本来何が違うのか?について1つの定義をしてみたいと思います。この記事では便宜上、2つを以下のように表現します。
プロジェクトマネージャー:PjM
プロダクトマネージャー:PdM
プロジェクトマネージャー(PjM)の定義と仕事内容
プロジェクトとは「期限付きのプロダクト」のこと
まず前提として、プロジェクトとはそもそも何でしょうか。プロジェクトをググるとこんな定義になっています。
要するに目標を達成するためのチームとしての取り組みのことを指しています。プロダクトとの最大の違いは「締切がある」という点で、あらゆるプロジェクトは基本的に締切があり、そこに向かって成果物を作っていきます。
プロジェクトとは何か?を定義しないとプロダクトマネージャーとの違いがイメージしにくいので、まずここをおさえておきましょう。
一般的なプロジェクトマネージャーは「QCDの調整役」
企業でプロジェクトマネージャーという仕事をしている人のメイン業務は「QCDの調整役」であることが多いです。QCDとはQuality(品質)、Cost(予算)、Delivery(納品)のことを指すプロジェクトマネジメント用語です。
このQCDを含めて、以下の項目の調整役になりやすいのがプロジェクトマネージャーの特徴です。
スケジュール
工数
予算
ステークホルダーの合意形成
事業計画の修正
こういったプロジェクトを進めるための数字や合意形成のために調整をすることが多く、プロダクトの方向性を決めるという業務に関わることは少ないのが一般的です。そのプロダクトの方向性を決めるのは、事業開発やマネジメントレイヤーの人間であることが多く、多くの大手企業ではこのようなチーム構成になっています。
IT企業の場合は、組織が大きくなるとエンジニアチームやビジネスチームなどとの調整役になることも多く、こちらもメインは調整になります。プロジェクトマネージャーが憎まれ役になりやすかったり、ストレスを抱えやすいと言われる理由もここにあります。調整役になるので、現場メンバーからの不平不満を直接耳にする機会が他のポジションより多いのです。
具体的に、任天堂のプロジェクトマネージャーの募集内容は以下のようになっています。
このように、調整役がメインであることがよく分かります。プロダクトそのものの意思決定をするよりは、プロダクトに関するプロジェクトを上手に回すことが求められます。
また、これは感覚値ですが、プロジェクトマネージャーの人がプロダクトマネージャーになりたいとキャリアを小ピボットすることも増えています。ただ調整役するだけでなく、プロダクトの意思決定をするプロダクトマネージャーになりたいと思う人が多くなっています。
プロダクトマネージャー(PdM)の定義と仕事内容
プロダクトマネージャーは「プロダクトの方向性を決める役割」を担う人
さて、一方プロダクトマネージャーは何をする人なのか?について考えてみましょう。一言で表現すると「プロダクトの方向性を決める人」です。そのために、主な業務は一般的に以下になります。
ユーザーヒアリング
ユーザーの課題特定
開発する機能と優先順位の決定
開発ロードマップ作成
継続した改善PDCA
このように、主に「意思決定」がメインの仕事になるのがプロダクトマネージャーの特徴です。プロダクトそのものを良くし、ユーザーの課題を解決できるために選択と集中をする仕事です。そのため、プロダクトマネージャーはなることが難しく、かつなれると市場価値が上がり面白い仕事ができるのも特徴です。
PjM的な調整役も含められることが多いので注意
決めることがメイン業務なプロダクトマネージャーですが、会社によっては調整役を含んだ業務を期待されることも多くあります。ここはよく確認しないと、
「プロダクトマネージャーとして転職したのにやっていることはプロジェクトマネージャーじゃん…」
こういうミスマッチを起こし辞めてしまう人も一定います。調整役の仕事が好きか嫌いかは完全に個人によるので、キャリアとして適正として、具体的にどんな業務をしたいのかしっかり確認すると仕事が楽しくなりやすいでしょう。
ちなみに私個人は、調整役をすることも多く実質的にプロジェクトマネージャーの動きをすることも多かったのですが、あまり業務としては好きではありません(笑)個人的には、どうしても調整役よりは意思決定の方が楽しいと思っているのも事実です。
プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違いまとめ
2つの仕事の違いを簡単にまとめると、このようになります。
このように、プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーは全く業務性質が異なるものなのですが、一般的には混同されやすいのも特徴です。採用する企業側ですら認識が違っていることが多いので、自分がどちらの仕事をしたいのかしっかり確認しておくことをおすすめします。
プロジェクトマネージャーからプロダクトマネージャーになりたい人がするべきこと
PjM→PdMへキャリアチェンジしたいという相談は多くありますが、先述したとおりそもそも全く異なる性質の仕事なので、当然必要なスキルも異なります。
プロジェクトマネージャーが不足しがちなスキルの特徴としては、以下になります。
意思決定の量と質
ユーザーの課題の見極め
プロダクトの戦略構築
ただ、こういったスキルは、実際にプロダクトマネージャーとして仕事をしなければ磨かれません。実際に仕事をしなければ身につかないことが多いのはどんな仕事でも同じですが、プロダクトマネージャーではそれが特に顕著です。
プロジェクトマネージャー経験がある方は、まずアソシエイト・プロダクトマネージャーとして採用してくれる企業に入り、スキルを磨くと良いでしょう。プロダクトマネージャーの階級については、こちらの記事で解説しています。
おわりに:PdMもPjMもどちらも大事な仕事
プロダクトマネージャーであってもプロジェクトマネージャーであっても、どちらも重要なポジションです。ただ、企業によって何をするか認識が変わりやすいのも特徴なので、自分でしっかり認識を持っておかないと、なんとなく依頼された仕事が本来望んでいたものと違う、という悲劇になりかねません。
極端を言えば、PdMもPjMも両方のスキルを身につけていると長期的には市場価値が上がり、楽しく仕事がしやすいでしょう。プロダクト作りは楽しいので、ぜひ頑張ってみてください!
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