トランプ、プーチン FRBを潰してくれ
「通貨発行権という打ち出の小槌があるのだから、いくらでもお札を刷って(国債を発行して)国民のために使え!」
これは耳障りのいいセリフなのですが、市中銀行による通貨発行の仕組みや準備率の意味、中央銀行詐欺システムをよく知らない人が陥りやすい罠です。
以前、各章要約という形で紹介した「ザ・クリーチャー・フロム・ジキルアイランド」(和訳本はマネーを生みだす怪物)から、理解の助けとなる部分を引用していきます。もちろん怪物(クリーチャー)とは、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)などの不換紙幣を発行する中央銀行です。
インフレの一番の被害者がインフレの原因に気づいていない
15章 憲法が定めた真のドルより抜粋
<不換紙幣の洪水で経済は惨憺たる状態になったが、いちばんの被害者はその原因にまったく気づかなかった。一七七七年の庶民感情を代表していたのは、愛国的な老婦人の次のような言葉だった。「議会にはいくらでもマネーをつくりだす力があるというのに、貧しい兵士を困らせたままでおくなんて、恥を知りなさい」>
脚注は<この素朴な婦人はユーモラスかもしれないが、しかし、いまのアメリカ人は少しでも賢くなっているだろうか? この婦人は、貧者や失業者の苦しみを和らげるためのプロジェクトに連邦準備制度の不換紙幣を注ぎ込めと議員に要求する現在の選挙民に、おおいに共感するのではないか。>
冒頭のセリフは独立戦争時の庶民感情と同じで、インフレの一番の被害者がインフレの原因に気づいていないということです。
銀行という阿漕な商売
今も100万円を銀行窓口から引き出そうとしたら、かなり待たされます。事前に言ってくれと言われるかもしれません。それは銀行にはお金がないからです。市中銀行は預金の大半を融資に利用するからです。
そんなことは知ってるよ、と言う方に本書からこんな例えが理解の助けとなります。
8章 金のように見えるものより抜粋
<ポーカーで銀行役のチャーリーに二〇ドルずつ預ける。ポーカーのチップを二〇枚ずつ配る。そこへチャーリーの義弟のラリーが現れ、借金を求める。参加者六人の箱の中には一二〇ドル。この「遊んでいる」金はラリーに貸すことができるか。チャーリーも参加者にもそのマネーを貸してやる権利はない。貸してしまったらチップに価値はなくなる。>
銀行とは、権利もないのに第三者の預託金の大半を貸し出し、利子を取るという阿漕な商売なのです。
インフレの物価高の側面にばかり目が行きがちですが、購買力の減価について説明します。
株の世界では、例えばある会社の株式を大量保有するベンチャーキャピタルが利益確保のために市場に大量放出することを、「希薄化」と言います。その会社株が市場に大量に売り出されて出回った結果、株価は薄くなって下がるわけです。
日本銀行券(日銀券)には一万円や五千円や定額がしっかり表示されているために、世の中での総量もはっきりしないために、出回り過ぎるとどんどん価値が薄まっていくという感覚を持ちにくいのです。いつまでも同じ値打ちに思いがちです。
英語で現金はcurrency(カレンシー)と言いますが、これは現在のcurren(カレン)に状態や性質を意味して名詞をつくる接尾辞-cyとの組み合わせです。現物の現金ではなく、お金の時価と考えた方が良さそうです。
特定の会社の株式なら発行済みのうち何パーセントは大株主が持っていて、何パーセントが社員の持つストックオプションで、何パーセントが市場で流動性のある株式かがわかります。
しかし、日本円を希薄化するのは日銀が発行した日銀券と政府が発行した国債だけでなく、例えばウクライナ復興支援費など海外援助費や、国債を担保にして市中銀行が発行する日銀券など内外のあらゆる借金マネーが日本円を希薄化していきます。これは購買力の減価という名のインフレです。
以前のnoteで
元連邦準備制度理事会(FRB)議長のアラン・グリーンスパン氏がリーマンショックの原因、サブプライムローンという超バブル政策を主導する30年前には、バブル政策とは真逆の金本位制の熱烈な支持者であったことを書きました。
外交問題評議会に取り込まれる前のグリースパン氏は「金本位制がなければ、インフレによる没収から貯蓄を守る方法はない」と述べていたのです。これは主軸通貨ドルのアメリカに限らず、同じく不換紙幣の中央銀行システム下にある日本でも同様です。
借金マネーの膨張は、タンス貯金も銀行の定期預金も将来受け取る予定の年金もあらゆる資産から購買力を収奪します。
トランプ、プーチン FRBを潰してくれ
アメリカ・テキサス州やロシア・ルーブルの100%金本位制のデジタル通貨は、デジタルばかりに話題が集まりますが、100%金本位制が重要なのです。ここにトランプ・プーチンの「FRBを潰すぞ」という明確な意思が見て取れるわけです。
なぜ中央銀行を潰さなければならないか。
政治家と銀行家の共謀による国民への反逆行為であり、戦争を生み出す源泉だからです。
10章 魔法のメカニズムより抜粋
<印刷という芸当ではなく会計という芸当を使うおかげで幻想が生まれる。要は議会と銀行カルテルがパートナーを組み、カルテルは無から創出したマネーの金利を稼ぐ特権を手にしたということだ。銀行は全世界に存在する米ドルのすべてから金利という歩合を吸い上げる。いっぽう議会はインフレのプロセスを通じて、有権者に増税だと言わずに無限の資金を引き出すことができる。ここまでの文章が理解できれば、FRS(※連邦準備制度)は理解できたということだ。>
11章 ロスチャイルド・フォーミュラより抜粋
<戦争が恒常化したのは、中央銀行と不換紙幣を通じて軍資金が簡単に調達できるようになってからだ。…
イングランド銀行の発足直後から、アウグスブルグ同盟戦争、スペイン継承戦争、ジェンキンズの耳戦争、オーストリア継承戦争、フレンチ・インディアン戦争、革命フランスに対する戦争、ナポレオン戦争
ほかにアメリカ独立戦争、一八一二年戦争
英国は一六八九年から一八一五年までの一二六年間のうち六三年間、戦争していた。>
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