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空に想いを

私の母は大分出身で8人兄妹の末っ子。高校卒業後、意を決して憧れの東京に上京したそうです。東京に行った母を心配し姉の重子おばちゃんは、幾度となく東京に足を運び、私が産まれてからも何度もうちにやって来て一緒に遊んでくれる大好きなおばちゃんでした。

母は妹を妊娠中、腎臓の病気を患い出産してすぐ手術と治療を受けるため長期入院することになり、私は博多にある重子おばちゃんの家にあずけられることなりました。父母に会えない寂しさはあったけど心配かけたくない、おばちゃんに迷惑をかけないようにしなきゃと子どもながら強い気持ちを持って福岡に向かう飛行機に1人で乗ったことを今でも鮮明に覚えています。

重子おばちゃんは私にとって第2の母。
母にとっては8人兄妹のうち唯一残っている大切な姉。

そんな重子おばちゃんが今年の1月下旬、脳梗塞で倒れ、半身不随、意識はあるけど口もきけず寝たきりでいつ亡くなってもおかしくない聞いて、母と妹と3人予定を合わせ1泊で博多に向かいました。「重子おばちゃん会いに来たよ!」と手を握りながら声を掛るとうっすら笑みを浮かべて強く手を握り返してくれた。次の日も会いに行くと寂しそうな顔をしているおばちゃんに「また会いに来るからね!」と声を掛け東京に帰りました。

じわじわと迫って来ていたコロナ渦。その後、病院は面会することもできなくなり、緊急事態宣言。

母から「父ちゃんも母ちゃんも兄妹みんな天国行っちゃった」「だれもいなくなっちゃった」と連絡がきて重子おばちゃんが亡くなったことを知りました。

誰も会いに来ない病室でずっと天井を見つめたまま3ヶ月近くもの間、何を思って過ごしていたんだろう。きっと世界中がコロナウイルスと戦っているとは知らなかったんだろうな。ごめんね、会いに行けなくて…。

昨夜の雨と雷は悔しい気持ち、今朝の青空は感謝の気持ち、空を見上げ大好きな重子おばちゃんへの想い巡らせています。

いつも通り過ごせる平凡な毎日を取り戻したら、真っ先にカーネーションを届けに母と会いに行くからね。


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