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コード進行は勉強しといて損はない
コード進行を習得すると音楽制作がもっと楽しくなる
僕は音楽歴はけっこう長いのですが、ブランクがあったり独学だったりで、だいぶ中途半端で、あまりちゃんと勉強はしていない気がします。よく言われる「自分の好きなアーティストの曲をコピーして研究せよ」みたいなやつも、完コピという意味ではじつは恥ずかしながら一度もやったことがありません。
それでも遠回りしながらも続けてきたことで、自分なりのワークフローができあがり、早ければ数時間でそれなりのアレンジ込みで1曲仕上げることができるようにはなりました。(※歌詞があれば・笑)
まともな勉強はしてこなかったと言いましたが、ひとつ、大きな礎になっているかなと思うことがあるので、需要があるかどうかは分かりませんが今日はこれから作曲を始めたいという方に向けてそのお話をさせていただきます。
※本文でいう「作曲」とは歌モノのPOPミュージックの作曲のことを指します。
音楽の知識って必要?
音楽理論ってぶっちゃけ必要なの?という話題はSNSで定期的に目にします。個人的には、自分が楽しみたいだけだったらまったく必要ないと思います。極論鼻歌で思い浮かんだメロディを口ずさめばそれでもちゃんと音楽ですし、自分が気持ちいいと思うことができればそれで成立します。
でも、他人に聴かせて共感や評価を得たいとか、憧れのアーティストのような曲を作りたい、という前提ならば、ある程度は必要だと思います。
と言っても僕は楽譜が読めませんし、ちゃんと楽器が弾けるわけでもありません。作編曲もミックス/マスタリングなども独学でしたし、理論として説明できるような知識はそんなに持ち合わせていないと思います。
でも、これだけは僕でも言えます。
「コード進行は勉強しておいて損はない。」
と言っても難しい理屈を頭に叩き込む苦しい感じはありませんので。
コード進行。
「コード」は聞いたことあると思いますがいわゆるCとかAマイナーとかFメジャーセブンとか、そういう音を組み合わせた、和音のことです。
例えばCメジャーはドとミとソの3つの音で構成されています。
このコードを1小節ごとに変化させるとうまくいけば音楽っぽくなります。
例:| C | G | Am | F |
コードやコード進行は一見すると無限にあるように感じると思いますが、じつは人が聞いて気持ちいいと思える組み合わせはそれほど多くはありません。ヒット曲だからといって唯一無二の奇妙コードや奇天烈コード進行を使っている、ということではないのです。カラオケみたいにキーを上下させてみたらじつは同じコード進行(あるいはその応用・派生)だった、ということはよくあります。むしろ日本人のDNAに染み付いたド定番進行のほうが売れやすかったりもするかも。
例:キーが違うだけで同じ進行
| Gb | Db | Ebm | B | ▶ | C | G | Am | F |
※-6(半音)下げただけで同じ
僕のコード進行の習得法
音楽を始めた頃、僕がやってたのは、ヒット曲のコード譜を公開しているサービス(U-FRETなど)で好きな曲を表示させてキーをC(Am)に合わせ、これをキーボードで弾きながら歌うという作業でした。(ギターではなくキーボードでこれをやった、というところがポイント)
コード進行を学ぼうと思ってやったわけではなく、鍵盤で弾き語りがしたい、という気持ちでやってたので、苦ではなかったです。
これはギターでも同様のことができるのですが、僕の経験上、鍵盤のほうが音の組合せ、コードの仕組みなどがわかりやすいので、すでにギターに馴染みのある方でなければ絶対鍵盤がおすすめです。キーをC(Am)に合わせると、鍵盤上ではほぼ白鍵のみで弾けるようになり、弾きやすい上に、和音の構成がすごくわかりやすくなります。C(Am)キーの場合、白鍵を一つ飛ばしで押さえればコードだし、1個ずらせばメジャーがマイナーになり、一つ飛ばしを1個増やして4和音にすればテンションコードだし、みたいにわかりやすいです。(説明下手ですが、やってみればわかるはず笑)
正直ギターのスケールは僕には難解すぎます。
キーをCに合わせてしまうと自分の声のキーが合わなくなって歌えなくなってしまう、ということもあると思いますが、そこは安心してください。キーボードにはトランスポーズという機能があって、鍵盤は鍵盤でキーを調整することができるのです。つまり、コード譜上で表示されるコードはC(Am)→弾く鍵盤は白鍵中心→実際にスピーカーから出てくる音は自分の声のキーに合った音で出す、ということができてしまうのです。(ギターでいうカポのような機能です)
例:コード表記を変更して、トランスポーズで発音キーも変更する
コード譜で-6(半音)下げ
| Gb | Db | Ebm | B | ▶ | C | G | Am | F |
↓
トランスポーズ機能で+6(半音)上げ(元キーで歌いたい場合)
| C | G | Am | F | ▶ | Gb | Db | Ebm | B |
コード譜を公開しているサイト(例:U-FRET)
だから、これからDTMを始めたい方は、この点においてMIDIキーボードも用意することを強くおすすめします。無くても音楽は作れますがあったほうが絶対いいです。できればトランスポーズが手元のボタンでできるキーボード。(実際はDAWによってはトランスポーズはPCの操作でできますが少し分かりづらいかも)
チートな作曲法
たぶん、サンプルループミュージック以外でいちばんチートな作曲方法は、お気に入りの曲のコード進行をそのままパクってそのコード進行にオリジナルのメロディを乗せる、という方法だと思います。それもぜんぜんアリだと思います。なんせ先ほど言ったように、その曲も多くの場合コード進行は過去曲のどれかと少なからず被ってるから。だから、メロディには著作権があるけどコード進行には著作権はないのです。
メロディにコードがつけられるようになる
でも、前項のように、キーを合わせたコード譜を弾きながら歌うという作業を何度も繰り返していると、だんだん身体がコード進行を覚えていきます。コードの自然な流れが掴めてきて、最後はこのコードで終わったほうが曲が落ち着く、とか、ここでこのコードをぶっこむと曲が盛り上がる、とか、そういうのがわかってくるのです。そうなってくると今度は逆転現象で、メロディにコードを割り当てられるようになったりもします。適当に鼻歌で歌ったメロディが美メロだな、と思ったら、そのメロディのキーを探ってみてください。その時にはそれができるようになっているはず。キーが分かったらそのキーをトランスポーズで C(Am)に合わせてみる。そうするともうなんとなく進行が見えてきます。はい、もう作曲です。
コードは基本的に3つの音の組合せですが、4つめ、5つめの音を組み合わせると(いわゆるテンションコードとかそういうやつ)音の響きにぐっと深みがでます。ちょっとジャズっぽくなったりお洒落な曲になったりします。これもやってれば自然に身につきますが、こうなってくるとだいぶ楽しいですよ。
コード進行ができるとその先が見える
コード進行ができたら、そのコード(伴奏)の刻み方でノリを考えることができます。1小節ジャーンて伸ばすだけでなく、ジャジャジャーン、みたいな。それにアルペジオやリフも考えられるようになります。
あとコードができたらルート音(ベース)がわかるのでベースフレーズも考えられるようになります。各コードの最初はルート音にして、次のコードへ自然にシフトできるように音程を動かせば簡単なベースフレーズになります。それにベースのアクセント部分とシンクロするようにドラムのキックを鳴らして、2拍4拍にスネアを鳴らしてハイハットを刻めばドラムパターンも見えてきます。ドラム・ベース・伴奏・メロディが見えれば最低限の作編曲ができたと言えると思います。あとはフィルを入れたり遊び心でアレンジを展開していったり。
メロディを活かすも殺すもコード次第
歌モノPOPSの命はやはりメロディだと思うのです。そのメロディも、どんなコードをつけられるかで印象が全く変わってきます。メロディ単体で聞くとただ明るいだけメロディだったとしても、コードの付け方で少し切ない印象にすることもできます。コード進行はたしかにある程度パターンが決まっていますが、派生を含めると無数にあるので引き出しが増えていくと美メロがさらに輝いていくはずです。
というわけで。また長くなりましたが、音楽制作するならコード進行は勉強しておいて損はないというお話でした。というか歌モノJ-POPの制作をするならコード進行は不可避なので、どうやれば楽しく身につくか、というテーマにしたほうが良かったかもですね。
ここまで読んでくださりありがとうございます。