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白瀬咲耶に落ちるまでの過程(妄想文章)

創作注意!こういった文章書くのは初めてなので大目に見てくださいね。

 わたしは東京都内でOLをしているごく普通の25歳。何の目標もなく与えられた仕事をこなすだけの毎日。お金には困らないけどこれからどうなりたいかなんて具体的な考えもないし自分を忘れて打ち込める趣味なんてものもない。
 とある日の昼休み。近くのコンビニで小さなサラダとおにぎりを買って会社へ帰る途中、小さな段差で足がもつれて転んでしまった。財布にしまわず手に持っていた小銭が散らばる音がした。タイツが少し破れてしまったが痛くはなかった。そこでふと後ろから声がした。
「大丈夫かい?」
転んだところを見られてしまった恥ずかしさから愛想の良くない声色で「だ、大丈夫です」と吐いてしまった。ふりかえるとそこには

めちゃくちゃイケメンな女子がしゃがみこんで心配そうな顔をしながらわたしの持っていた小銭を手渡そうとしていた。

「大事に握っておかなくてはダメだよ、怪我はなさそうだね。よかった」 
言葉が理解できなかった。この子顔が良い…。「あ、あぁ…」わたしの緩んだ返事は言葉になっていなかった。
謎のイケメン女子から小銭を受け取ると、わたしの手が急に握りしめられた。何事?!と思うと
「これで立てるかな?」
と手を貸してもらえた。とても長い時間座り込んでしまったと感じた。立って気づいたが、この子顔が良い上に背もとても高い。そして脚が長ーーーいしきれーーい。153cmのちんちくりんなわたしが彼女の隣に立つのはかなり恥ずかしい。じっと全身を見ていると
「どうかしたのかな?」
と言われハッとした。
「あ、ありがとう…ございました」
自分でも気持ち悪いくらいもじもじした声が出た。するとイケメン女子の表情がニコッとした。
「全然構わないよ、むしろこんなに綺麗なレディに手を貸すことができてこちらの方がお礼を言いたいよ。ありがとう。」
ズキューーーーーーーーーーーーーン!!!!!
 これまでの人生で綺麗だなんて言われたことがなかった。これほど人から褒められたこともなかったわたし。しかもこんなイケメン女子が、わたしのことを綺麗?何を言っているんだ?こんな性格も良くて顔も良くてスタイルの良い女の子が実在するはずがない。きっと幻聴だし幻だ。彼女は
「転ばないように気をつけてね。また会おう。」
と言い、去っていった。

 会社に戻ってからもあの子のことが忘れられなかった。衝撃的だった。あんな良い子がこの世に存在するなんて。それにしても顔が良いしすっごく良い匂いもした。お金を払いたい。何歳くらいなんだろうか。言葉遣いもしっかりしていたから育ちがいいんだろうな。今になっていろんな感情が湧き上がってきた。もう一度会ってちゃんとお礼を言いたい。そしてあの顔をもう一度見てみたい。

 今日の仕事は少し大変だったが、いつもより少し早く終わった。頑張ったご褒美にコンビニでお酒とおつまみを少し多めに買って帰った。広くはないリビングの床に座って適当にテレビを見ながらお酒を飲む時間が社会人になって唯一の安らぎだった。お酒の準備をしながらテレビのチャンネルを回していると一瞬目に映った映像に心臓が跳ねた。すぐにチャンネルを戻すとそこには、この前出会った謎のイケメン女子が映っていた。毎週放送されているクイズバラエティ番組に彼女は回答者として出演していた。周りにいる女の子よりも高い身長、綺麗な黒髪、そして整った顔。間違いない。わたしはかじりつくようにテレビを見た。名前が知りたい。なぜテレビに出演してるのだろうか。もっと声が聞きたい。彼女のことが知りたくてしょうがなかった。CMに入ると急いでスマホを手に取り、番組名を検索し今日の出演者を調べた。今日の内容は「アイドルvsインテリ芸人」らしく、出演者をスクロールするとアイドルチームに名前がいくつか載っていた。最近のアイドルはよくわからないが1人ずつ名前を検索して、顔を確認していった。
上から3番目の名前を調べると、あのイケメン女子の画像が表示された。
「白瀬咲耶」
なんという素敵な名前だろうか。字から気品が溢れている。彼女はアイドルだったのか。画像はたくさんあった。これはライブ衣装だろうか。ゴシックな感じの衣装で彼女の黒髪にとても似合っている。いろいろ調べているとよく一緒に写っている彼女と同じ衣装を着た女の子が4人。なるほど5人のユニットなのか。続けて彼女の事務所のプロフィールを調べた。「283プロダクション L'Antica 白瀬咲耶 18歳」最近人気急上昇中のアイドルユニットだという。謎のイケメン女子の正体が判明し、わたしはとんでもない経験をしたことに今になって気がついた。

 テレビで見かけたあの日からわたしの生活は変わっていった。咲耶さんはツイスタのアカウントがあった。プライベートなことはあまり投稿されないが、お仕事があると必ず自分の写真(アップと全身の映る2枚)と共演者さんたちとの写真に共演者さんやスタッフさんたちへの感謝とお仕事の感想を投稿していることに気がついた。すごく良くできた子だということがSNSを見ているだけでもわかった。過去の投稿を何度も見返して、その度に自分は咲耶さんと会って話したことがあるんだと思い返して心が躍っていた。彼女は人気急上昇中のユニットの一員で、18歳ということは学生だ。とても忙しいはずなのにどうしてあんなところにいたのだろうか。どうして街で転んだだけのわたしにあれほど親切にしてくれたのだろうか。冷静に考えられるようになってからいろんなことに思いを巡らせたが考えてもよくわからなかった。そうしてわたしの生活は白瀬咲耶のことでいっぱいになっていった。
 彼女の所属する283プロダクションは大きな会社ではないが、いくつかのユニットが所属するアイドル事務所らしい。そしてプロフィールを調べていたところ彼女はもともとモデルをしていたらしい。モデル時代の画像も検索するととてもたくさん出てきた。モデルからアイドルになるなんてわたしの住む世界とは違いすぎている。咲耶さんについて調べるにつれて自分が出会ったイケメン女子は本当に彼女だったのかと思えてきた。

 昼休み、ツイスタの白瀬咲耶公式アカウントが更新されているかを確認することが日課になっていた。今日は更新が、来ている!事務所のアカウントにも更新があった。そこにはなんと「L'Antica CD発売握手会イベント」の情報が公開されていた。ついに咲耶さんに会える時が来た。わたしは絶対に行きたい。そして咲耶さんにお礼が言いたい。街で偶然出会っただけのわたしのことはもう忘れているかもしれないけど、それでも絶対に会ってもう一度お話がしたい。

 握手会当日、わたしは人生で初めてこんなに気合を入れて化粧をしたかもしれない。咲耶さんに会うのにだらしない格好で行っては失礼だ。はじめは何を話そうかな。あの時出会った時の話をしていたら時間がなくなったりしないかな。憧れの人に会う女の子の気持ちが初めて理解できた。恋愛とは縁のない人生を送ってきたわたしにとって人と会うだけなのにこれほど緊張したことはなかった。道中何回も鏡を見た。最低限の身だしなみしか気にかけてこなかった自分がこれほど鏡を見ることになるとは。

 会場は多くの人がいた。わたしは迷わず咲耶さんの列に並んだ。
始まって15分ほどで握手会スペースが見えた。あの中に咲耶さんがいるんだ…。そう思うと緊張がさらに高まってしまう。もう一度何を話すか整理しておかないと…。そんなことを考えているととうとう出番が来てしまった。このカーテンをくぐると咲耶さんがいる…鏡もう一回見ておけばよかった。
 カーテンの向こうにはあの咲耶さんがいた。あの時より少し背が高い。CDジャケットの衣装を着ている。何を話そうか忘れてしまったことを思い出した瞬間、咲耶さんから声をかけてきた。「あなたはこの前の、来てくれたんだね!ありがとう!」わたしはこの言葉を聞いた瞬間何もかも忘れてしまった。街でたまたま出会っただけの何の特徴もないわたしの顔を、あの咲耶さんが覚えていてくれているなんて。咲耶さんはわたしの想像なんか遥かに超えてきた。わたしは涙を流してしまっていた。「どうしたんだい?綺麗なあなたが涙を流す理由教えてもらってもいいかな。 」
きちんと話せていただろうか。涙ぐみながらこの前のお礼とその後咲耶さんを知ったこと、出会ってからのことを全部伝えた。咲耶さんはわたしのぐちゃぐちゃな話を頷きながら笑顔で聴いてくれた。話し終えると咲耶さんは顔を隠すわたしの手を取って強く握ってくれた。あの時の手だ…。
「わたしを見つけてくれてありがとう。偶然出会ったあなたにこうしてもう一度会うことができてとても嬉しいよ。これからもわたしのことを支えてくれるともっと嬉しいな。」
「は、はい!がんばってください咲耶さん!」
スペースを出る最後まで咲耶さんはこちらを向いて笑顔で見送ってくれた。
 自分は咲耶さんを支えることができているだろうか。会場を出てから咲耶さんの言ってくれたことを何回も頭の中で再生して噛み締めた。もう一度会ってわかったが咲耶さんには隙がなかった。本当に心からの言葉をわたしにかけてくれたと今日で確信した。今日のことは絶対に忘れない。

 咲耶さんに出会ってからわたしの人生は変わった。まさかこの歳になってアイドルに夢中になるとは思っていなかった。咲耶さんを支えるために仕事に一層力を入れたし、また会ったときに驚いてもらえるように、綺麗って言葉を自信を持って受け入れられるように化粧やファッションのこともたくさん勉強し始めた。生きる目的も楽しみもなかったわたしにも咲耶さんは優しく接してくれたからわたしは変わることができた。咲耶さんはすごいアイドルだから咲耶さんに会っても恥ずかしくないようにもっと自分に自信をつけようと思った。もう転んでも大丈夫。咲耶さんはわたしのことを見てくれている。そう思えるだけで自分はとても幸せだった。


 いかがでしたでしょうか。咲耶に落ちるファンの気持ちになって書きました。衝動的に書いたのでストーリーも書きながら思いついては埋めるって感じでした。
 咲耶はこうだったらいいなーみたいな妄想からこの物語を書くことを決めました。SNSは個人じゃなくて公式アカウントで管理してそうだなーとか、絶対に仕事の後に共演者と写真撮ってるだろうなとか、街で偶然出会った人の顔をしっかり覚えてそうだなとか、シャニマスではあまり描かれてないところをファン目線で妄想しました。冬優子が咲耶は他の人のSNSの映り込みで表情を変えると言っていたので、自分のアカウントではかっこいい咲耶を表現しているのかなといった公式からのヒントも活用しました。摩美々の投稿に笑顔で映る咲耶とか良いですよね。プロデューサー目線から見る咲耶もファンから見える咲耶も好きだなーと改めて思いました。まあわたしの妄想なんですけど。

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