勇気と思いやりのバランス
『7つの習慣』のうち、第4から第6の習慣は「公的成功」と呼ばれています。周囲の人と関わるときの「コミュニケーション習慣」と考えればいいでしょうか。
「公的成功」の前に第1から第3の習慣として「私的成功」があるところがミソだなーと、何度読んでも感じます。まず自分を知り、自分を信頼するところから始まるんですよね、すべてのことって。
ちなみに、「私的成功」は、「自分だけを最優先して、自分だけよければいいし、自分だけが成功できればいい」という意味ではないのでご注意を。
そして、「公的成功」の最初に登場するのが、第4の習慣「Win-Winを考える」です。
いぜん勤めていた会社では、よくこの「Win-Win」が飛び交っていました。「Win-Winになれるのそれで?」「この条件でWin-Winにってムリすぎじゃない!?」みたいな感じで、ウィンウィンと……。
この言葉が紹介された本こそ『7つの習慣』なんだよねーと言ったら、少しは読む気になってくれるかしら……なんてことを思ったりもしておりましたね。
閑話休題。
「Win-Win」は、自分にも相手にもメリットがある状態を指します。これ、日本語だと近い概念としては、こんな言葉でしょうか。
言葉のイメージとは違って、「Win-Win」は「勝ち」をめざすことではないんですよね。
日常生活、特に仕事をしていると、必ず「Win-Win」の状態になるということはあまりないかもしれません。だから「画に描いた餅」的な扱いを受けることもあるようですが、コヴィー博士が説いているのは、もっと高次元の「Win」を、しかも「考える」ことなのです。
Win-Winの人間関係を構築するポイントは、
・誠実
・成熟
・豊かさマインド
です。
自分の「Win」を得るためには、自分の価値観を明確にして伝える勇気が必要です。そこには、相手の考え方に配慮する思いやりも必要。
自分の「Win」だけを考えてゴリ押ししていたら、長期的な関係を築くのは難しくなるでしょう。一方で、相手の気持ちを“忖度”して、自分の意見や主張をきちんと伝えられなければ自己犠牲を払うことになります。
コヴィー博士が第4の習慣を「勇気と思いやりの習慣」とも呼んでおられる理由がここにあります。
常に「Win-Win」であるべき、ではなく、状況によっては「Lose-Win」を選ぶこともあるかもしれません。長い目で見ればそのことが「Win-Win」に至る、という展開になることもあります。
ですが、決して「自己犠牲」であってはならないのです。犠牲になるくらいなら、「No Deal=交渉を白紙に戻す」にしたほうがいい。
いやー、そっちの方が勇気が必要な気がする……。
いまお返事待ちの案件がいくつかあり、催促したいけどできない気持ちの底には何があるんだろうと考えていて、わたしはまだ「勇気と思いやりのバランス」がとれていないのだなと気が付いたのでした。
「Win-Winを考える」とは、言葉以上に深いメッセージがありますね。
「勇気と思いやりのバランス」とれていますか?