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【モヤカラ♪ 番外編2】人生を表す「一文字」

♪ お前のおかげで いい人生だったと
俺が言うから 必ず言うから

さだまさしさんの「関白宣言」は、発表された1981年当時、とても話題になりました。

亭主関白な夫が、最期の瞬間に妻に伝えたいひと言。

いま聴いてもジ~ンとくるのと同時に、自分ならなんて伝えるだろうと考えてしまいます。

人間は、いつか必ず死にます。親しい人とも、いけ好かない人とも、尊敬する人とも、苦手な人とも、愛する人とも、別れを迎える日がきます。

そのとき、どんな言葉を伝えたいですか?

そして、どんな言葉をもらいたいですか?

書籍『7つの習慣』の「第2の習慣」の章は、自分のお葬式を思い浮かべ、そこで

「あなた自身あるいはあなたの人生をどのように語ってほしいだろうか」

と問いかけるところから始まります。ドキッとする話ですよね……。

月2回配信している「モヤカラ♪」のパーソナリティ・むらけんさんは、先日お祖父さまを亡くされました。

祖父を見送り、葬儀の準備をしている間、この「第2の習慣」の言葉を思い浮かべていたそうです。

その中で、とてもシンプルな形で「自分の人生を語る」方法があることを知りました。

それが「戒名」です。

この記事では、「モヤカラ♪」番外編として、むらけんさんのお話をもとに、「自分の人生を語る」ことについて考えてみたいと思います。

「モヤカラ♪」vol.5の本編はこちら。音声へのリンクもあります。

ポッポヤじいちゃんとの別れ

むらけんさんのお祖父さまは、国鉄職員として働いたのち、引退。先日お亡くなりになりました。

日本で行われるお葬式の9割以上は、仏式で行なわれるそうで、むらけんさんのお祖父さまも仏式で見送られました。

宗派にもよるようですが、仏式の場合は「戒名」を付けていただくことができます。

戒名とは、お浄土の世界における仏弟子としての「新しい名前」のこと。戒名によく用いられる文字には、こういうものがあるそうです。

・ 俗名(生前の名前)から取った文字
・ 仏様の名前や経典から取った文字
・ 先祖代々受け継いでいる特定の文字
・ 故人様が尊敬していた方に関連する文字
・ 生前就いていた職業を連想させる文字

「お仏壇のはせがわ」サイトより

むらけんさんがお祖父さまの戒名を見ると、そこには「鉄」の文字が!

「生前就いていた職業を連想させる文字」を付けてくださったんですね。また、「鉄」には、他の語と一緒に使うことで「堅い・強い・正しい」という意味を付加する役割もあります。鉄則や鉄球なんかが、この意味です。

葬儀では、むらけんさんの叔父さんが弔辞を読まれたそうで、そこで語られたお祖父さまの姿は、「父は言葉数は少なかったけども、まじめだった」というものでした。

鉄道員としての人生。子どもたちにみせた生き様。

そんなお祖父さまを表す一文字が、「鉄」

むらけんさんにとって祖父母といえば、「祖母がマシンガントークしているのを、祖父はお酒を飲みながら聞いていて、たまに笑って、ちょっとツッコミを入れる」という、なんだかホームドラマそのままのような光景だそう。

これからは、お位牌の「鉄」を見ただけで、お祖父さまとお祖母さまの姿が目に浮かんでくるのかもしれないですね。

そこからきっと、ふたりに甘えた思い出、叱られたイタズラ、一緒に食べたスイカ、笑った顔、まじめな眼差し、手のシワ、履き古した靴……といった、たくさんの記憶が蘇る。

お話を伺っていて、「自分の人生を語る」には、こういう形もあったのかと、目を開かれる思いでした。

人生を表す「一文字」

『7つの習慣』の「第2の習慣」は、自分がどのように記憶されたいかを考えてみることを提案しています。

終わりを思い描くことから始めるというのは、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。

『7つの習慣』

「モヤカラ♪」vol.4のゲスト・まおさんは、ご自分のいまの名前を大切にできるようになったパラダイムシフト体験を紹介してくださいました。

「名前のとおりの人間になりたい」

これが、まおさんの目的地であり、立ち返るアンカーになっています。

いやいや、目的地を決めるのが大事なのは分かってるんだけど、毎日超忙しくて、時間に追われてばかりなんだもん。

そう言いたくなりますよね……。笑

でも目的地がハッキリしていないと、正しい方向に進んでいるのかどうかさえ分かりません

人生100年時代。キャリアの見直しを勧める話が増えているのも、こうしたことが背景にあるように感じます。

自分のことを、どんなふうに記憶してほしいか。

自分の人生を語る「一文字」を考えてみるのも、ひとつの方法かもしれないですね。

ところで。

わたしの義母(夫の母)のお葬式もやはり仏式でした。ただ、葬儀までがあまりにも忙しくて、当日は頭がボンヤリしてました。

一番覚えているのは、お坊さんの袈裟がとてもキレイだったこと……。すごく複雑な刺繍が施されていて、キラキラしている。読経の間は、ボーーっとそれを眺めていたのです。

キリスト教式だと、天使が迎えに来てくれるイメージがありませんか? これ、きっと「フランダースの犬」の影響ですね。笑

仏式だと、お線香の煙に乗って飛んで行くんだろうか? その道に、このキラキラが届いているといいなーなんてことを考えていたんだと思います。

壮絶な苦労をしてきた義母だったので、あの世への道行きくらいは明るく照らしてほしかったんです。

我が家では戒名をいただかなかったため、義母の位牌には生前の名前が刻まれています。

むらけんさんのお話を聞いた後、位牌を眺めながら、

「もっと話を聞いておけばよかったな……」

と、これまで何度となく抱えた後悔がこみ上げてきました。

“お前のおかげで いい人生だったと
俺が言うから 必ず言うから”

もし、明日、最期を迎えるなら。周囲の人へ、心からの感謝を伝えたいと思います。

そして。

あなたは、どんな言葉であなた自身を、あなたの人生を、語ってほしいですか?


「モヤモヤをカラッと♪」、略して「モヤカラ♪」は、毎月第1・第2月曜日の22時10分から配信しています。

次回は10月10日体育の日です。お楽しみにー!

これまでのまとめはこちらからどうぞ。


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