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幸せになりたいなら「セルフ・コンパッション」を
「コンパッション」という言葉をご存じでしょうか?
またカタカナ言葉かーという気もしないのではないですが、まあ聞いてください。笑
日本語で「慈悲」や「思いやり」と訳されるそうで、「自分や他者への理解を深め、思いやりをもって寄り添うこと」を意味しています。
その心の持ち方を、自分にも向けたのが「セルフ・コンパッション」。その名の通りの本を見つけて、いま読んでいるところです。
この本によると、「セルフ・コンパッション」は、人生における感情的なウェルビーイングと満足感を獲得する上で、有効な方法であることが証明されているそう。
ただ、日本語で自分に対する「慈悲」や「思いやり」というと、「自己憐憫」のようなイメージが湧きませんか?
翻訳者による「まえがき」に、こんな説明があります。
(「セルフ・コンパッション」は、)思いやりのプロセスの後に、自分の人生をどう生きたいのか、行動を起こすように仕向ける動機づけの要素を含んでいます。
つまり、自分を哀れむだけでなく、自分を許し、一歩を踏み出すためのマインドと考えればよさそうです。
著者のクリスティーン・ネフは、セルフ・コンパッション研究の先駆者で、ほとんど先行研究のないところから禅や心理学研究をもとに研究を進め、構成要素や活用方法を紹介しています。
特に前半部分では、若かりし頃の不倫が、現在の自分にどう影響を与えているかについて赤裸々に語られていて、「実証研究」的な部分もあるんですよね。
そのせいでしょうか。読みながら、「自分を許したい過去の出来事」が次々に頭に浮かんできて、思わずラーメン事件について書いてしまったのでした。
「セルフ・コンパッション」という言葉は、わたしが所属しているトラストコーチングスクールの勉強会で知りました。
クライアントにコーチングを行なうコーチとして、「コンパッション」の概念は非常に大切なものだと思います。そこは直感的にそう感じたのだけれど。
本で紹介されているエクササイズが、「批判的な独り言に気づく」だったり、「マインドフルネス」だったりするので、今度は「セルフコーチング」とどう違うのかな?という疑問が生じてきたのです。
ポイントとなりそうなのは、「自尊心を中途半端に高めるだけでは、心の健康は得られない」ということ。
宮崎学さんの『「自己啓発病」社会』という本でも触れられていましたが、自己肯定感を高めることが必要なこともあるけれど、それが目的化してしまうのは、あまり健全ではありません。
周囲との関係性という視点がなくなり、「自“己”意識高い系」になってしまうからです。
84年にわたるハーバード大学の「幸せ研究」を紹介した本『グッド・ライフ』は、「他者との交流の頻度と質こそ、幸福の二大予測因子である」と明らかしました。
「グッド・ライフ」を送るための鍵とは?
それは「よい人間関係」です。
この、「よい人間関係」を築いていくために必要なのが「セルフ・コンパッション」であり、コーチングを活用すればより確かにしていけるのでは、というのがわたしの理解でした。
何もしなければ人間関係は細くなっていきます。「ソーシャル・フィットネス(健全な人間関係)」を保つためにも、「コンパッション」力を高めることが必要なのかもしれません。
グッド・ライフを目指すなら、いま幸せになりたいと感じているなら、まずは、自分への思いやりを意識してみませんか?
あなたの人生でただ1人、年中無休で思いやりと優しさを提供できる人物。それは、あなた自身に他ならない。