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115、職場で巻き起こったコロナ騒ぎについての報告③

「新型コロナウィルスについて」より再掲。「あの全体主義に覆われた、多くの人が自由も権利もかなぐり捨てて個を失った時代に、それでも時代に抗った人が少数ながら存在していたのだ」――私は未来の日本人にこのようなメッセージを残せたら良いなと思いレジスタンスを続けているのだ! 2021年4月の作品。

【本文】
すいませんね、失礼いたしました。気持ちを切り替えていきましょう。

えーと――

「とうとう、この時が来たか……」

私はそう思い腹をくくった。

新型コロナウイルスの馬鹿騒ぎが始まってから一年以上が経つ。きっといつか、私の職場でもコロナの陽性者が出現したって何もおかしくない。その時、過剰な感染対策を講じるよう強制される事があるかもしれない。

――ここまで話しましたよね。職場のみんながフェイスシールドを着けている様子を見た私は、腹をくくったわけです。

もし、職場において過剰な感染対策を強いられる事があったなら、場合によってはそれを拒否し、クビも覚悟で徹底抗戦しよう――私はそう腹をくくっていたのだが、まさにその時が訪れたのだ。

そのうち部長が現れて我々社員が集められた。

曰く、「この部署でコロナの陽性者が出て、二人が入院した。さらなる感染対策が必要だ。社長からは、社員全員フェイスシールドを着けるよう指示が出ている。みんなフェイスシールドを着用するように」

――との事だった。

この段階でフェイスシールドを着用せずにいたのは私だけだった。――なぜ、誰もかれも素直に従うのだろうか? 私は当たり前な疑問を持った。

コロナの流行が始まってから一年以上経つが、この間に社員のみんなは何を考えて生きてきたのだろうか? 緊急事態宣言や、マスクに代表される科学的根拠の薄弱な感染対策の強制、そして宿泊施設や飲食店に対する偏った自粛要請……などなど、不必要な感染対策の為に、多くの人が自由や権利を奪われているにも関わらず、なぜ疑問を持たず反抗もせず、ダラダラと右へならえが出来てしまうのだろうか? 

なぜ、マスコミや都道府県知事、そして専門家や医師会や政治家の馬鹿野郎どもの、どいつもこいつも己の事だけしか考えていないヤツらの意見や政策に対して、どうして批判もせずに従う事ができるのだろうか?

そんな事を考えた私は怒りが沸点に達した。私は部長に言い放った。

「そんなものには従えない」

普段気さくな部長だが、他の社員が集まる中での私の発言に対して怒りを感じたのか、明らかに表情が変わった。

「その根拠は何?」

その部長の声色も普段とは違う強いものだった。

「フェイスシールドに、感染対策的に明確に根拠があるとする論文なりを私は見た事がありません」

「でも、根拠がないとする明確な根拠もないよね?」

私と部長は他の社員の前で言い合いになった。他の社員たちは口を挟まずに事の成り行きを見守っている。その表情は青ざめていたのだろうか? しかし、私は直情型なので怒りを感じると周囲が見えなくなる悪いところがあり、細かい様子は覚えていない。ほんの10日ほど前にも私は別の件で、他部署の上役に激しく突っかかったばかりだった。

「確かにそうですね」

私は一回、身を引いた。

フェイスシールドに感染対策上の根拠がないとする明確な根拠があるか――。ちきしょう、そうきたかたと思った私は、別の角度から部長を攻めてやる事にした。

「しかし、根拠があるのかないのか意見が分かれるようなものを、当たり前のように着用させるのはどうなのでしょうか? そのように意見の分かれるものならば、その着用は個人の自由に委ねるべきではないでしょうか?」

「これはトップの判断だ。白か黒か分からないものが存在する場合、組織においてはトップが白か黒か判断するしかない」

「しかし、我々個人にも権利や自由みたいなものがあります。トップの判断に全て従う事はできません。意味がある事ならば従います。しかし、意味のない事には従えません」

「それでは組織が成り立たない。それだとみんなバラバラの個人になってしまう。それに――トップが間違えるわけがない!!!」

この意見に私は愕然とした。これは完全にカルト宗教的な思考ではないか。教祖様が間違える筈がない。教祖様の言っている事は全て正しいのだ! そう信じ込んでしまっているようで恐怖すら感じてしまった。私は部長が「ハイル・ヒットラー!」と腕を上げて叫んでいるような錯覚すらしてしまったのだ。

(※いや、部長の名誉の為に言っておきたいのだが、彼は社長を盲目的に信用しているわけでは決してない。実は私は4月に昇進したばかりで、そこに集まった社員達の中では上のほうの立場になるのだ。部長は、そんな私が部下達の前で会社や社長の批判に繋がるような発言をして、組織を崩壊させかねない状況を危ぶんだだけなのだ。私みたいな個人主義の人間からすると、組織組織とうるせーヤツだなと思わなくもないが、とにもかくにも部長はナチスの親衛隊みたいに盲目的な馬鹿でないという事は伝えておきたい。彼は非常に優秀な男だ)

結局、その後保健所に確認したところ、マスクは着用しなければならないが、フェイスシールドは「使用する事が望ましいが、使用しなくても構わない」との事だったので、私だけはフェイスシールドを着用せずに仕事に臨んだ。

しばらくして部長に呼ばれた私は、「なんでもかんでもトップの判断が正しいとは自分も考えていないが、立場を考えたうえで発言をしてもらいたい。君には影響力があるから」――そんなような注意を受けたものの、一応和解? に至ったのだった。

まぁ、和解に至ったとはいえ、部長の私の評価は「超危険人物」と決定した事だろう。これは出世に大きく響く事でしょう。――まぁ、それはそれで面白いんだけどね。

「あの人だよ! みんなの前でフェイスシールドを拒否って左遷された馬鹿!」

こんなキャラクターに成り下がるのも私らしくて超面白いと思うんだけどなww まぁ、それはどうでも良いか。

私は仕事の際はマスクを着用している。私は科学的に考えてマスクに感染予防効果などないと考えているのだが、社の方針もあり仕方なく着用している。これだけでも大大譲歩しているのだ。にも関わらず、さらにフェイスシールドを着用しろなどと言われると、もう私はクビを覚悟で戦うしかないのだ。

私は「新型コロナウィルスについて」などという三文エッセイを発表してもいる。私などクソみたいなつまらん男なのだが、普段から偉そうな事を言っている手前、いざという時に私は戦わなければならないのだ。そうしなければ人間として嘘になってしまう。

それに私は、未来の日本人達に示さなければならないと思うのだ。

「あの全体主義に覆われた、多くの人が自由も権利もかなぐり捨てて個を失った時代に、それでも時代に抗った人が少数ながら存在していたのだ」

私は次の世代の日本人達に、そんな日本人も居たのだと思ってもらいたいのだ。

私なんてこの程度の人間だから、私個人の名を残すなんて大それた事はできないだろう。若干寂しいなと思うけれど、こればかりは仕方ない。頭も悪いし、素晴らしい計略でもって世に出て名を馳せる事はできないだろう。運が良ければもしかしたら、もしかしたら――いや、だめかな笑

でも、私は無名戦士になりたいのだ。名もなきレジスタンスになりたいのだ。ちっぽけな反抗に過ぎないし、ちっぽけなエッセイに過ぎないが、私は反抗した日本人の末席を汚したいのだ。それくらいなら私にもできそうではないか。

とりあえず今回はここまでにしておこう。別のテーマでもってもう少し話しを続けたいので、とりあえずまた次回。

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