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124、緊急事態宣言中らしいですが、居酒屋で酒を飲んできましたよ!

「新型コロナウィルスについて」より再掲。アルコールを求めて奔走する私。何だか馬鹿馬鹿しい回ですが、これも立派なレジスタンスだと思います。2021年5月の作品。

【本文】
東京でもアルコールを出している居酒屋は割とあるんですね。

先月の29日「昭和の日」、休日だった私はイライラとしていました。だって、東京の飲食店ではアルコールを提供してはならないなんていう、小池知事発案の「禁酒法」めいた通達がなされていたのですからね。私は休日だっていうのに店で酒を飲む事ができないんですよ? こんなふざけた話しありますか? 

こんな私でも普段はちゃんと(?)働いているんですよ? 

――そりゃ、私の能力なんて「釣りバカ日誌」の浜ちゃん程度のものかもしれませんよ? しかし、クビになる事はなく、なぜだか全く分かりませんが、他の社員の誰も望んでいやしないだろう「昇進」までしているのです。ですので、客観的に見ても一応最低限の働きはしている筈なのです。

だったら、休日くらい好きに過ごさせてくださいよ! なのに東京では禁酒法ですからね、イライラが募って仕方なかったのです!

とうとう私はスマホを取りまして、某グルメサイトを開きましたよ。そして私の住んでいる東京ではなく、隣りの神奈川県の居酒屋を検索し始めましたよ! 

神奈川では禁酒法が施行されていない筈ですからね。

それから私は、片っ端から神奈川の居酒屋に電話をかけ始めました。

店員さんが電話に出ると、私は開口一番――

「アルコールを提供していますか?!」

――そう、鋭い口調で、まるで親の仇にでも相対するかのように尋ねたのです。

「すいません、禁止されていますので」

どこの居酒屋もそう答えるんですよね。

――いやぁ、驚きましたね私は。私が馬鹿野郎で勉強不足だったのですが、神奈川でも4月28日から禁酒法が施行されていたんですね。

「ちっきしょ~~~~!!!」

そう「コウメ太夫」のように東京の青空に向かって叫びましたが、後に引きたくない私は

「神奈川なら何とかなるだろう。だって、黒岩だもん」

――そうした、相田みつを的な根拠のない希望を胸に電突を繰り返しました。

「アルコールを提供していますか?!」

「すいません、お食事のみなんです」

「アルコールを提供していますか?!」

「すいません、出すと怒られちゃうんで」

「アルコールを提供してないんですね?! 持ち込んでも構いませんが?!」

「すいません、それもナシで」

――そうした絶望的な戦いを、私は何十軒と繰り返し繰り返し行ったのです。

私は「昭和の日」という、昭和天皇のお誕生日を祝した日本人にとっては非常に大切な日にですね、

「鬼畜小池!」
「撃ちてし止まん!」
「欲しがりません、飲むまでは!」

――そうした、ある種の特攻精神でもって、東京の片隅で独り奮戦していたのです。しかし、アルコールを提供している居酒屋が全然見つからないんですね。

「よぉし、分かった。こうなりゃ敵の本陣に斬りこもう!」

そう実際に叫んだ私は、作戦を変更して東京の居酒屋に電突してやる事にしました。

「とりあえず東京の西部ならば小池の権力も及んでおらず、むしろ小池に反旗を翻そうとする反乱分子が多数終結している筈。だからアルコールを提供している居酒屋もある筈だ!」

私はそうした天才的な閃きと思い込みでもって、まるで「オルレアンの少女」――ジャンヌのダルクさんのようにですね、東京の「飲んだくれんの暴挙」として、東京西部の某地域の居酒屋に対して電突を開始しました。

「アルコールを提供していますか?!」

一軒目のある居酒屋に対して、私はその日何度発したか分からないセリフを浴びせました。

「……はい」

――何だか自身のなさそうな声をした男性店員さんが応対してくれたのだが、何やら今までの返事とは趣を異にしている。

……今、「はい」と答えちゃいませんでしたか?

私はもう一度尋ねました。

「ア、アルコールを提供しているんですか?!」

すると男性の店員さんは何やら言いづらいのか、小さな声色で私に言いましたよ。

「……しています」

「偉い、偉いぞ君! よくやった!」

思わず私は上から目線で叫びました。

――そうです、私はこの東京という小池百合子によって滅茶苦茶に破壊されてしまった都において、とうとうアルコールを提供している居酒屋を発見したのです! 

私はとうとう勝利の雄たけびを上げました。

「天皇陛下、万歳!」

――私は早速そのまま席を予約しまして、その店を訪れてたんまりお酒を飲んだ次第です。

いやぁ、アルコールを提供している居酒屋もあるもんですね。ちなみにその居酒屋の周囲では、他にもアルコールを提供している店が数軒ありました。こういう発見は、実際足を運んでみないと分からないところもあるのでしょうね。

正直、今回私が訪れた居酒屋は、酒も食事もあんまり美味しくなかったので、すぐに別のアルコールを提供している居酒屋に行ってしまいました。

しかし、こんな時期にも関わらず、ある種の抵抗を試みている居酒屋に対して、私は尊敬の念すら覚えます。

居酒屋をはじめ飲食店の皆さん、苦しい事ばかりかと思いますが、いつか状況が好転する日がくると思います。

――いや、そんな日がこなければならないのです! その日まで、可能であれば持ちこたえてみてください。とりあえず、死ぬことだけはやめてね。

アッシも頑張るから!

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