奈良県 大規模広域防災拠点について
紀伊半島及び奈良盆地の地震の危険性
紀伊半島
南海トラフ巨大地震
紀伊半島は大部分が震度6以上である。
奈良県が出した被害想定を見ていこう。
東海地震・東南海地震同時発災の場合や東海地震・東南海地震・南海地震同時発生の場合は1200棟程度が、そうでない場合は500~700棟程度の住宅が全壊すると想定される。
これに半壊も加えると前者の場合は2400棟程度、後者の場合は1000~1300棟程度だ。
このほとんどが液状化現象によるものとされ、概算では2200棟程度が液状化により全半壊すると想定されている。
ただ、この数字から見るにそこまで被害がないと考えられる。
しかしながら、水道・ガスといったライフラインはSTOPすると考えられる。ただ、水道の場合は1週間で約半分の世帯が復旧する。
道路については国道169号・309号・425号が一部寸断されると考えられる。
紀伊半島全体に影響を及ぼすのは南海トラフ巨大地震のみではないかと考える。
奈良盆地
奈良盆地にはいくつもの断層がある。
代表的なものはこれらである。
奈良県は、これらに数個加えて計8つの断層を大規模地震を起こすと設定している。
①奈良盆地東縁断層帯
②中央構造線断層帯
③生駒断層帯
④木津川断層帯
⑤あやめ池撓曲-松尾山断層
⑥大和川断層帯
⑦千股断層
⑧名張断層
これらのうち、①奈良盆地東縁断層帯、②中央構造線断層帯(金剛山地東縁区間)③中央構造線断層帯(五條谷区間)④生駒断層帯、⑤木津川断層帯については、政府の地震調査委員会から長期評価が公表されている。
そして、今後 30 年以内の地震発生確率が
3%以上を「S ランク」
0.1~3%未満を「A ランク」
0.1%未満を「Z ランク」
(阪神淡路大震災は発生確率0.02~8%だった)
不明(すぐに地震が起きることが否定できない)を「X ランク」
とランク付けされています。地震後経過率が 0.7 以上については、ランクに*が付記されています。
①はS*
②はZ
③はX
④はA
⑤はZ
となっている。
ちなみに、地震後経過率というのは最新活動(地震発生)時期から評価時点までの経過時間を、平均活動間隔で割って求められています。
最新活動が100年前、平均活動間隔が70年の場合は0.7
最新活動が120年前、平均活動間隔が100年の場合は1.2となる。
今回はS*の奈良盆地東縁断層帯を取り上げる。
奈良盆地東縁断層帯
地震発生確率5%
県内において建物の全・半壊が約 20 万棟(うち 「揺れ」による全・半壊が約 19万棟)に達し、約 5,200 人の死者(うち「揺れ」による死者約 4,500 人)、約 19,000 人の負傷者が出ると想定しているそうです。
また、吉野町や大淀町、下市町では斜面崩壊が発生し、それぞれ500棟程度が全半壊すると想定されています。
火災における被害では、16000棟を超えると考えられています。
道路の被害においては
西名阪自動車道・第二阪奈・国道24号・25号・165・166・169等は震度7の地域を通っているため、通行不能となる可能性が高い。
そして、上記のうち、第二阪奈を除いて液状化の危険性が高い。(阪奈道路も液状化の危険性が高い。)
また、斜面崩落も想定されるため長期間通行不能だろう。
大久保駐屯地における被害
上の図で分かる通り大久保駐屯地がある宇治市から橿原市にかけて震度6強となっています。
大規模広域防災拠点の必要性
奈良盆地東縁断層帯が起こったとき、大久保駐屯地周辺は震度6強です。
この状態で大久保駐屯地は奈良県に災害派遣をしてくれるのでしょうか?
災害派遣要請をしたところで結局大久保駐屯地周辺の救助で精一杯となるのではないでしょうか。
もし、救助に来ていただけたとしても奈良市や生駒市などだけで手一杯ではないでしょうか。
南海トラフ巨大地震のときも然りです。
自衛隊が来たとしても県中南部は後回しとなるでしょう。
そのため、前知事は五條市に大規模広域防災拠点を作ろうとしたわけです。
このように、紀伊半島の中心たる五條市に滑走路をもつ大規模広域防災拠点をおくことで孤立地帯がうまれやすい紀伊半島全体をカバーするものです。
このように2000m級滑走路を有する大規模広域防災拠点を設置することでSTOL機(短距離離着陸能力がある航空機)が着陸できるわけです。
STOL能力は航空自衛隊が離島地域の滑走路でも自衛隊機を運用できるように輸送機が保有しています。
C-2輸送機やC-1輸送機ですね。
このC-2輸送機やC-1輸送機、C-130輸送機といったもので物資を大規模広域防災拠点まで運び、そこから陸自のオスプレイやチヌークで運搬するというのは南海トラフ巨大地震において非常に有効でしょう。
また、奈良盆地東縁断層帯地震が発災した際でもこちらに人員や物資を運搬してくる、ということができます。
そして、前知事が推進していた駐屯地の誘致ができれば(スタンドオフミサイルの基地といった使い方で誘致できるのでは?)
奈良県は盆地のため一部の道路が寸断されると救助にこれなくなります。
そのためこの大規模広域防災拠点は整備する必要があります。
大規模広域防災拠点にできれば自衛隊を・・・
大規模広域防災拠点が活躍するときの2つのシナリオを紹介しました。
このうち、奈良盆地が震源とするものの際は県中南部を救助するためには確実に陸自駐屯地が必要となってくるのではないでしょうか。
実際前知事も陸自駐屯地を誘致し続けてきましたが、防衛省からは良い返事が得られないままです。
そこで、今回防衛の観点から陸海空自衛隊の駐屯するべき理由を書いていこうと思います。
陸上自衛隊
スタンドオフミサイルの発射基地として誘致。
自衛隊の特科を置くことができるだろう。12式地対艦誘導弾改良型は、将来的に1500kmを射程とすると言われています。下の図は大規模広域防災拠点を円の中心とした半径1500kmの円です。北朝鮮やウラジオストク、中国沿岸部が範囲に入ります。
そのため、十分有事に対応できるのではないでしょうか。
そして、陸自の航空科も誘致できるのではないでしょうか。現在八尾駐屯地に駐屯していますが、こちらの方は2000mと滑走路が長い状況です。
現在八尾に駐屯しているのはUH-1とOH-1という回転翼機ですので、災害時のためということでも、関西圏の防衛面でもCH-47チヌーク(大型輸送ヘリ)を主力とする輸送ヘリ部隊や、偵察のため、LR-2連絡機を駐屯させることができるでしょう。
航空自衛隊
2000m級の滑走路を有するためSTOL能力のある機体なら確実に使用できます。
そのため、輸送航空隊であったり、航空機の整備を行う拠点をおいておき、戦闘機の飛来をさせることも可能ではないでしょうか。
(戦闘機部隊は、増やすことが必要なので設置場所の案の一つとして案外行けるかも?)
また、F-35A/Bは高性能なカメラを搭載しており、災害時の迅速な情報収集にあたれます。
そのため、燃料補給の基地としてだけでも活用できるようにするのもひとつではないでしょうか。
そして、航空救難団の駐屯もできるのではないでしょうか。
大阪湾近郊には航空救難団がありません。
航空救難団は山間部や海での事故、そして災害時に活躍します。
そのため航空救難団は誘致できるでしょう。
海上自衛隊
大阪湾に入ってくる船を監視する目的で哨戒機や、航空救難団と同じ理由で救難飛行隊を誘致することができるでしょう。
せっかく滑走路があるのですし。
このように、大規模広域防災拠点と自衛隊をぜひ設置し、奈良県の、そして紀伊半島の安全を図ろうではないでしょうか。
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