偏見や誤解を減らしていきたい
私はトランスジェンダーとして生きています。
こういう生き方だと、比較的いろんな偏見や誤解にさらされる事があります。
例えば、
トランスジェンダー「だから」男性が好きだとか、
トランスジェンダー「だから」女風呂に入りたいんだとか、
あるいは、
トランスジェンダーって何だか気持ち悪いとか、
その他にも色々あります。
別に、私はどう思われても良いと思っています。
それはその人の考えであり、思考なので、私がそれを強制的にどうこうする事は出来ません。
ただ、思うのは、こういう偏見や誤解、他人の存在を認めないなど、そういった考え方がほとんどすべての争いごとの発端となるという事。
私は現在書籍を製作している最中ですが、その書籍は
「本当の多様性って何だろう?」
というものです。
多様性というのは、私はあらゆる考えや思想、想いを持った人を否定せず、受け止める、または、受け入れることだと考えています。
この多様性が本当の意味で社会に浸透すれば、様々な偏見や誤解が、ゼロには出来なかったとしても、大きく減らせるのではないかと思います。
例えば私に関係しそうな事柄だと、LGBT理解増進法の施行直後、一部の人が犯罪行為を行ったという報道がありました。
これによって、トランスジェンダーへの偏見や誤解が助長されてしまった面もあると思っています。
この事件によって、「これだからトランスジェンダーは」という、トランスジェンダーをひとまとめで全て犯罪者であるかの様に表現するネットの投稿も散見されました。
これは私にとっては、非常に悲しい出来事であり、残念な事でした。
実際には、こういった事件はごく一握りの人物が起こすものであり、ほとんどの人は平和的に社会との調和を考えながら、穏やかに暮らしています。
こういった事例を一般的な男性女性に置き換えて考えてみましょう。
例えば、電車で独身男性の会社員が痴漢をして逮捕されたとします。
それをもって、「これだから独身男性の会社員は」といわれたら、他の独身男性会社員の人はどんな気持ちになるでしょうか。
嬉しいでしょうか?
きっとそんな言われ方されたら嫌な気持ちになるし、非常に腹立たしいと思います。
「俺はそんな事しない!」
「そんな痴漢した奴と一緒にするな!」
と言いたくなるでしょう。
また例えば、既婚女性で会社員の方が上司と不倫をしたとします。
それをもって、「これだから既婚女性の会社員は」と言われたら、普通に頑張って仕事している既婚女性の会社員の方はどう思うでしょうか?
嬉しいでしょうか?
こちらもきっとそんな言われ方されたら嫌な気持ちになるし、非常に腹立たしいと思います。
「私はそんな事しない!」
「そんな不倫した人と一緒にしないで!」
と言いたくなるでしょう。
トランスジェンダーだって同じなのです。
一部の人が犯罪行為をしたからと言って、それをもって「これだからトランスジェンダーは」と言われるのは非常に心外なのです。
それはあくまでもその「人」がやったことであり、それが性別やセクシャリティ、ジェンダーアイデンティティで全ての人をひとまとめにする事は無理があり、出来ないものだと思うのです。
上記の例では明らかに、「人」を見ずに
「独身男性会社員全体」
「既婚女性会社員全体」
「トランスジェンダー全体」
という風にひとまとめにくくって捉えた見方であり、起きた事の本質を見誤っていると言えるのではないでしょうか。
こうやってひとまとめにして考えれば、楽ではあります。
なぜなら何も考えずに済むからです。
ただこれ自体が、既に偏見であり、誤解の元なのです。
そしてこういった偏見や誤解というのは、ものすごく視野を狭め、物事の本質の理解を阻害してしまいます。
私はこういった事が積み重なると、もっと大きなことに発展すると思っています。
つまり、戦争や紛争です。
世の中の戦争や紛争は、宗教対立、政治や主義主張の対立、民族対立などが多いですが、これらはお互いに相互理解があれば、未然に防げるでしょう。
私は世の中のほとんどの争いごと、個人の喧嘩から国家間の戦争に至るまで、ほとんどは誤解や偏見から生まれていると考えています。
こういった考えから、誤解や偏見を少しでも多く減らせれば、ゼロには出来なくとも喧嘩や戦争、紛争などの争いごとを減らしていけると信じています。
そしてまた、誤解や偏見を持たないように意識すると、今まで見えなかったものや知らなかったものが見えてくる様になり、あなた自身が見る事が出来る世界が拡がると思います。
そうなる事で、あなた自身の世界観が拡がり、より思考や想いに深みが出て、今まで以上に心が広くなって、ご自身の成長にもつながり、他人にも自分にも今まで以上に優しくなれると思います。
ぜひ、偏見や誤解を出来るだけ持たない様に意識して、あらゆることを可能な限りフラットに見るという意識を持ってみて下さい。
きっと世界が今まで以上に輝いて、楽しい世界に見えてくるのではないかと思います。