阪神の二遊間問題
レギュラー二塁手の糸原健斗が有鉤骨骨折で離脱してから1ヶ月、未だ答えの出ない二遊間の組み合わせ。どうするべきかを頑張って考えます。
候補①:木浪聖也
成績
46試合 打率.229 2本11打点
出塁率.273 長打率.326 OPS.599 三振率.167
盗塁2 失策2
開幕から打撃成績が伸び悩んでいますが、最近は打撃内容にやや改善の兆しが見られます。現状はBABIPが.261と少し低いため今後打率はもう少し上がると予想されますが、現在のアプローチでは打率.250〜.260くらいが限界でしょうか。逆方向にも長打を放つことができるパンチ力を秘めているため、ここを伸ばせば更なる打撃成績の向上は見込めるでしょう。
守備面では昨年の773イニングで15失策から今季はここまで326イニングで2失策と大幅に改善され、またUZRで見ても昨年は大幅なマイナス数値を叩き出し最下位だったのが現在は微プラスで7位(セ3位)と改善されています。
まだ2年とプロ年数が浅いこと、1年目で打率.262、95本のヒットを放つなど一定の打撃力を発揮しパンチ力もあること、2年目で大幅に守備が改善されたこと、ショートだけでなくセカンドにも対応できるセンスの高さを鑑みても現状は外すことはできない選手です。
候補②:北條史也
成績
24試合 打率.167 1本5打点
出塁率.239 長打率.286 OPS.525 三振率.357
盗塁0 失策4
元来はショートとしては高めの打撃力に及第点の守備を持っておりレギュラーを獲得しているはずの選手ですが、今季はボール球に手を出す場面が目立ち、それに伴って三振率が急激に悪化しています。そのため持ち前の出塁率もあまり高くなく、全体として打撃成績が落ち込んでいます。また2018年の亜脱臼以降守備力にも不安があり、特に送球の不安定さから守備全体の動きが固くなりミスが頻発する状態に陥っています。現状は守備の不安を打撃でカバーすることもできておらず、スタメンとしての起用を思わずためらってしまう状態にあると言えます。
ちなみにセカンドの守備には2017年以降わずか1試合しかついておらず、近年の守備力の不安さからしても急にセカンドを守らせることは難しいと考えられます。したがって北條を起用する際には必然的に木浪をセカンドに回す必要が出てきます。しかし、現在の北條の立場からするとセカンドは守れた方が良いでしょう。練習する価値はあると思います。
候補③:植田海
成績
30試合 打率.178 0本3打点
出塁率.383 長打率.200 OPS.583 三振率.378
盗塁4 失策4
7月終わりから8月初めにかけてそれなりの打撃力を発揮し8番セカンドのスタメンを掴んでいましたが、ここ7試合、23打席連続してヒットが出ていないため、スタメンを外される試合が増えてきました。守備や走塁は高いセンスをもっており、打撃も年々確実に向上はしていますが、プレー全体としてうっかりミスを含む雑なプレーや最低限ができない点で信頼を掴みきれていない印象を受けます。
打撃面では粘りを発揮する打席が増えてきましたが、三振率が非常に高く、三振orフライでのアウトが打席の約7割を占めるなど勿体ないと感じてしまう打席が多くなっています。特に進塁打などの最低限を期待しにくいというのはこのようなタイプの打者にとっては痛いです。
相手にプレッシャーを与えられる足は信頼を得ているだけに、雑なプレーを減らすこと、打席で与えられた役割を最低限果たすことなどを積み重ねてスタメンとしての信頼を得ることが必要になると思います。
候補④:熊谷敬宥
成績
19試合 打率.333 0本2打点
出塁率.429 長打率.667 OPS1.095 三振率.500
盗塁2 失策3
体格の割に強い打球を放つ力があり、ツボに来れば長打もあるような打者ですが、一方で確実性には不安があります。足が速く、本職のショートをはじめとしてセカンド、サード、センターといろいろこなしますが、どこを守っても現状は不安があります。
元々は大和の流出を懸念して獲得された大卒ショートですが、鳴尾浜でもあまり結果は出せず、小幡・遠藤と高卒の二遊間が加入したことと一軍の二遊間に空きが出たことで一軍のチャンスを得ることになりました。そこで少ないチャンスでタイムリー2本の活躍を見せ、ライバルの状況と比較してスタメンのチャンスも得ましたが、ここでいきなりエラーを犯しバットでも結果が出せなかったのは非常に痛いところです。
候補⑤:上本博紀
一軍成績
11試合 打率.063 0本2打点
出塁率.095 長打率.105 OPS.201 三振率.211
盗塁2 失策0
二軍成績
13試合 打率.250 0本5打点
出塁率.319 長打率.300 OPS.619 三振率.100
盗塁2 失策3
かつてはセカンドのレギュラーを張っていたこともある中堅選手ですが、2018年のケガ以降打撃成績を急激に落とし、今季もここまで復活できずにいます。持ち前の粘り、ツボに来れば一発も打てるパンチ力どちらにも陰りが見られ、二軍でも三振は少ないもののここまで実力者ぶりを見せつけるような結果は残せておらず、苦しい状況にあります。かつてのレギュラーとしてなんとか今苦しいチームを救ってほしいところですが…
そういえば先日、二軍戦で腕を打撲するケガを負いましたが、現在は既に復帰しています。
候補⑥:荒木郁也
二軍成績
8試合 打率.296 0本1打点
出塁率.296 長打率.333 OPS.630 三振率.259
盗塁1 失策0
開幕一軍を掴んだ中堅選手。ユーティリティ性が持ち味でセカンドをはじめファースト、サード、外野と色々こなせますが、ファースト以外の守備力にはやや不安があるのとショートを守れないのが難点です。ショートが守れるなら一軍昇格していたのではないかと思いますが、ショートがこのまま木浪で確定するのであれば再昇格の可能性はあります。
ちなみについ先日まで約3週間ほど二軍戦にも出場していない期間がありましたが理由は不明です。現在は復帰しています。
候補⑦:板山祐太郎
二軍成績
27試合 打率.222 0本11打点
出塁率.260 長打率.289 OPS.549 三振率.133
盗塁0 失策1
本職は外野ですが今季は二軍でも主にファースト、サードなどの内野での出場が多く、セカンドやショートもこなすことができます。
年によって二軍レベルでも好不調の波が激しく、今季は8月に入って少し持ち直しましたが、ずっと絶不調を極めていました。二軍では年々ホームランを増やしていますが今季はまだ0本であり、スタメン出場の機会も多くもらっていますがアピール不足となっています。
候補⑧:小幡竜平
二軍成績
28試合 打率.264 0本2打点
出塁率.306 長打率.297 OPS.603 三振率.198
盗塁7 失策3
高卒2年目の守備型ショートで、二軍では圧倒的な守備力を発揮しています。特にスローイングの安定感が高く、三遊間でも二遊間でも難しい体勢でも正確なスローイングができます。一方で平凡なミスもまだ散見されたり、一軍経験はほぼないため一軍環境に適応できるかという点で課題があります。
打撃面では今季は打率が上昇し三振が減少するなど確かな成長を見せています。しかし、まだまだ二軍で高い打力を発揮するには至っておらず、一軍レベルに対応できるかと言われるとかなり不安が大きいです。
また、試合出場は問題なくこなしていますが、現在鼻骨を骨折している状況です。
以上のことから二軍でまだまだやるべきことが残っている選手であると言えるので、一軍経験を積むのは順位争いの真っ只中の今ではなく消化試合となってからで良いでしょう。
おわりに
以上の8選手が現段階での二遊間の候補選手となります(高卒ルーキーである遠藤選手はここではカウントしません)。第1候補である木浪でさえ打撃面には課題がある状況であり、その他の選手はそれ以上に何かしらの大きな課題を抱えている状況となっています。しっかりと期待に応えきれる選手がいるとは言い難いです。そのため、下位打線に置きながら打撃もしくは守備には目を瞑って起用していくしかないでしょう。どちらにも目を瞑るわけにはさすがにいかないので、候補選手各々が出場した際にはどちらか片方はちゃんとやってくれることを願いたいと思います。
長々と述べたわりに大した結論は導けていませんが、現状だとこれが限界です。読んでいただきありがとうございました。