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横浜のイトゥリの森。神秘の獣の母娘。

 皆さん、おはこんばんにちは。今回は、先月から公開が始まった、世界三大珍獣の1つであるあの動物の赤ちゃんを見に行ったことを中心に、アフリカの熱帯雨林エリアについてのお話をしたいと思います。

1.ズーラシアとは。

 横浜市の西の方にあり、起伏の多い土地である旭区。その一角に、よこはま動物園ズーラシアという所があります。開園したのは今から25年前。アフリカのサバンナエリアまで全面オープンしたのは今から9年前です。
 
 生息域を模した、ゆとりのある展示場が多く、そこでのびのびと暮らす動物たちの姿を堪能できることが大きな魅力で、日本でここにしかいない、或いはあまり見られない種類も少なくありません。

アジアの森をイメージした空間でのんびり休むはインドライオン。現在、国内ではズーラシアに行かないと見られません。
ボルネオ島のジャングルが元の棲家のテングザル。こちらも国内ではズーラシアにしかいない存在です。
園内屈指の人気者、ニューギニア島に棲むセスジキノボリカンガルー。これまた国内ではズーラシアのみです。

2.アフリカの熱帯雨林エリア。

 アフリカ大陸中央部に広がる熱帯雨林。その中でも、コンゴ民主共和国という国の東部には、イトゥリと呼ばれる地域があります。その地域の熱帯雨林を模したのが、ズーラシアのアフリカの熱帯雨林エリアです。

 今から21年前、オカピの展示場がオープンし、その4年後にはアカカワイノシシ、そのまた2年後にはチンパンジーの展示場がオープンしたことで今の形になっています。

アカカワイノシシ。
チンパンジー。

3.オカピたちのいる所へ。

 アマゾンの密林エリアを抜けてしばらく歩くと、線路と鉄橋が見えてきますが、鉄橋を過ぎると線路は途切れます。

横浜のイトゥリへと続く道。
オカピが欧人に発見された20世紀初頭は、欧人によるコンゴの支配を円滑化するための一環として、鉄道の建設が進められていた時代でした。

 そこからさらに行くと、いよいよ本格的に熱帯雨林に入り込みます。そして、右手にはアフリカタテガミヤマアラシの展示場が、左手にはオカピの展示場が見えてきます。

左側はオカピの、右側はヤマアラシの居場所です。
ヤマアラシの展示場。
雨降る中、雨宿り中のアフリカタテガミヤマアラシ。

 広い展示場は草木に覆われ、どのあたりにいるのかとついつい目を凝らしてしまいます。

屋外展示場。単独生活かつ広い行動圏を有するオカピの生態を考慮した、ゆとりある空間です。
屋外に出るは、21年前にアフリカの熱帯雨林エリアの一部オープンと前後して米国からやってきた、オスのホダーリ。スワヒリ語で「強い」という意味です。

4.ジャングルキャンプ。

 オカピの屋外展示場を抜けると、密林の中に立つキャンプ場を模した建物が見えてきます。それがジャングルキャンプです。内部はオカピ及び爬虫類の室内展示場になっています。

ジャングルキャンプの出入口。
ジャグルキャンプの内部の光景。ほんのりと薄暗くなっています。
爬虫類たちのコーナー。
ボールニシキヘビ。

 オカピの室内展示場は、主に寒い日や暑過ぎる日、雨の日等用の展示場となっている他、小さな赤ちゃん用の展示場としても機能しています。

室内展示場もそこそこゆとりある空間になっていて、ちょっとばかし走り回っても大丈夫なようになっています。

 その他、オカピや熱帯雨林について学ぶことができる掲示や、小さな休憩場もあるため、広大な園内を歩き疲れたら、ここでゆっくりしていくのも良いかも。

ちょっとした休憩スペースで、ひと息。
熱帯雨林について知ることができるコーナー。こういう所も、目が離せません。

 また、季節によっては、カエルが鳴いてたり、はたまた虫が鳴いてたりします。彼等の声が、熱帯雨林にいるかのような臨場感をさらに高めてくれます。

5.10年ぶりの奇跡。

 ジャイアントパンダ・コビトカバと並び立つ世界三大珍獣の一角であり、キリンの仲間であるオカピ。今年夏、そのオカピの赤ちゃんが生まれました。母親は10年前の冬、ズーラシアで生を受けたララ。父親は5年前に米国から来日したバカーリです。

ララ。スワヒリ語で「眠る」を意味します。
バカーリ。スワヒリ語で「有望」という意味を持ちます。

 ララが生まれて以降、ズーラシアでは暫くの間繁殖には至っておらず、個体の死亡も続く中、気づけば国内のメスはララだけに。そんな中での出産でした。生まれたのはメスで、投票によってフラハと名付けられました。その意味は、スワヒリ語で「幸福」。みんなが笑顔になるような、ひとつの尊い命です。

フラハ。首筋に生える鬣は、大人になると消失します。

 実は、ララは以前出産したことがありましたが、死産だったという辛い過去があります。そのことも相まってか、元気に育っているフラハの姿を見ていると、何か感慨深いものを感じたり、優しい心になれたような気がしました。

母と娘のスキンシップ。

6.最後に。

 オカピは世界的な珍獣であると同時に、本来の生息域ではその存続が脅かされつつあります。その美しい毛皮や肉を狙った密猟、鉱山開発等による生息環境の悪化、政情不安による保護活動の鈍化等がその主たる理由です。

オカピを取り巻く現実は、複雑かつ厳しいものです。

 そして、コンゴから遠い日本に暮らす私たちにとっても、オカピたちが置かれている現実とは決して無縁ではありません。というのも、スマホやPC等に使用されるレアメタルの採掘のために、森が荒らされ、密猟者も奥地に侵入しやすくなっているからです。

屋外展示場のララ。私ももしかしたら彼等が本来生きる森の破壊を助長してるかもしれないなんて…。

 私たちはスマホやPCを普段から何気なく使用していますが、その裏には複雑な現実があります。少なくとも、それを忘れてはいけないでしょう。今回、オカピの母娘の平和なひと時を見て、改めてそんな思いにさせられた気がしました。

こんな幸せ溢れる光景が、2度と見られないような世が来ないために、必要なこととは…?

 今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。



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