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広島にて、密林の守護神。

 皆さん、おはこんばんにちは。今回は、アフリカの熱帯雨林で最大の動物、マルミミゾウについて少し話してみようかと思います。是非最後までご覧ください。あと、アレの写真を流しますので、お食事前後の閲覧にはご注意ください。

1.マルミミゾウとは。

 現生するゾウは、大きく分けてアフリカゾウとアジアゾウの2種類が存在します。そのうちのアフリカゾウについては、主にサバンナに棲む大型のサバンナゾウと、主に密林に棲むシンリンゾウ=マルミミゾウの2つの亜種に分かれるとされてきました。

サバンナゾウとマルミミゾウが一緒に見られるのは、両者とも希少化した今では飼育下でも野生下でも滅多にないことです。

 両者の間には、身体の大きさや耳の形状、牙の生え方等に多少の違いがありますが、2亜種説が主流だった頃から、実は別の種ではないかと囁かれています。

サバンナゾウのオス、タカ。牙は横向きに伸びています。
マルミミゾウのメス、メイ。身体はタカよりずっと小さめで、牙は下向きに伸びています。耳はやや丸みを帯びていますが、写真ではわかりにくいかも…。

 そして、近年のDNAの解析等の結果、両者は全くの別種ということが判明しました。

2.安佐でしか見られない存在。

 さて、そんなマルミミゾウですが、動物園だと現在、国内では広島市は安佐北区の安佐動物公園にオスとメス各1頭ずつがいるだけ、そして海外でもアフリカの某国にオス1頭がいるだけの、超レアな存在です。

 1頭目は、オスのダイ。安佐に来たのは2022年。その前は山口県の秋吉台サファリランドにいましたが、元々いたのはアフリカのブルキナファソという国です。

片方だけの大きな象牙が、ダイのチャームポイントです。

 2頭目は、メスのメイ。2001年=平成13年にブルキナファソから来園しました。以前は2004年=平成16年に亡くなったオスのダンや、翌年に姫路セントラルパークから来園したタカ(現在もいる)との繁殖が待ち望まれていましたが、遺伝子分析の結果別の種だと判明し、以降直接の同居には至っていません。

メスのメイ。今安佐にいる3頭の中では、一番先に安佐に来園しました。
直接的な同居ができなくなっても、2頭の仲は今なお良い感じです。

 2頭とも、2000年=平成12年あたりに保護された個体で、推定20代半ば。決して繁殖不可能な年齢ではなく、国内では初となる飼育下2世の誕生が期待されています。

柵越しにお見合い中の2頭。見た感じでは、相性はそれほど悪くなさそうでした。

3.絶滅の危機。

 マルミミゾウは現在、野生下では絶滅が心配されていることをご存知でしょうか。
 その大きな要因としては、主に密猟と生息環境の破壊が挙げられます。

 マルミミゾウの象牙は俗にハード材と呼ばれ、印鑑や三味線の撥等の原料として大変重宝されています。日本はその一大輸入国のひとつであり、需要は未だ完全にはなくなっていません。また、現地では食肉(ブッシュミート)としても狙われています。

 また、開発や木材生産等のための過剰な森林伐採も、生息適地の分断・悪化、そして個体数減少に繋がっています。

立派な象牙。これが激減の1番の要因か…。

 減少のスピードは凄まじく、例えばアフリカのガボンという国では、2004〜2014年の10年間の間に80%以上も減少してしまったそうです。その他の国々でも減少は激しかったようで、数年前にマルミミゾウ単体でIUCNのRLが更新された際、CR=近絶滅種と絶滅の危険度が極度に達している種とされています。

手をこまねいていたら、100年、あるいは数10年も経たないうちに絶滅してしまう可能性だって大いにあります。

 しかしながら、彼等は本来排泄物に含んだ種子を森全体に満遍なく散布することで、豊かな森を作り出す役割を担っています。彼等がいなくなることは、すなわち森林生態系の崩壊に繋がっていくことなのかもしれません。

マルミミゾウの糞。ゾウに限らず、糞は生態系ではキーとなるモノです。

4.まとめ。

 野生下でも飼育下でも極めて貴重な存在、マルミミゾウ。日本から遠く離れたアフリカ大陸の奥地を原産としながらも、日本とは深い関わりを持っています。

 森林を育み、維持していくのに欠かせない存在であるマルミミゾウ。彼等がこれからも森林の守護神であり続けられるか否かは、まさに私たち1人1人の手にかかっています。

この巨獣、人間の都合のみで滅ぼすわけにはいかない。

 本当に象牙製でなければいけないのか、買い物の中で森林環境に配慮した物品をどれだけ見つけていけるか等、色々なことへの思考を常に巡らせつつ日々の行動に1つ1つ活かしていくことに意義があると思います。

私自身の行動も、マルミミゾウの明日に関わっている…、のかもしれない。

 そして、現在安佐にいる2頭は、アフリカの奥地と日本とを繋ぐ存在。広島訪問の機会があるならば、2頭を通じて原産地で起こっていることに思いを馳せてみるのも、きっと良い体験になるでしょう。

 今回は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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