見出し画像

Win-Rateが大幅に向上したケースの紹介

スタッツの変化と成績改善-ケーススタディ


以前、下記のツイートをしたところ、結構リアクションがあった。
ポーカーを本格的に始めてGTOWを契約。そこそこ稼働して均衡戦略の勉強もしてるけど、いまいち成績が上がらない。そんな方は少なくないと想像する。

また、最近はGG,PP,XといったHUDソフトを直接使えないフィールドをメインにしている方も多い。各サイト専用の簡易HUDでは、詳細なスタッツを確認できないし、収支線との関係性も把握しにくい。自身のリークに気付かないまま、なんとなく稼働し、気になったハンドだけちょっとレビュー…の繰り返しでいまいち収支が伸びないケースも少なくないように思う。

そこで、本稿ではスタッツの改善によってWin-rate(WR)が大幅に向上したケースを簡単に分析しながら成績向上の過程をイメージしてみる。

Stars マイクロステークス6max NLH 合計17万ハンドをこなしたプレイヤーAの例


画像1が前半90,000 hands, Win-rateは5.3bbだった。この時点でも十分良い成績ではある。赤線が下がっておらず、ハンドが入った時にはアグレッションをしっかりあげてチップを獲得できていたことが伺える。ただ、収支線の振れはやや大きく、最後の1万ハンドでは2000-3000bb程下山していた。

転じて画像2の後半80,000 hands をみると、収支線の振れが小さくなり、綺麗な右肩上がりの形状に変化している。WRは14.8bbと明確に成績が改善した。

画像1:Before (90k hands, WR:5.3bb)
画像2:After 80k hands WR:14.8bb)


Before-Afterで何が改善したのか?顕著に変化したスタッツを取り上げて改善点、戦略の変化をイメージしてみる。

画像3をみると、ポイントは4つ
①VPIP低下 PFR上昇
②Fold to 3betの上昇
③Fold to CBの低下
④OOP CB頻度の低下

画像3:プレイヤーAのスタッツの抜粋Before-After

①VPIP低下 PFR上昇


Before-afterでVPIPは24→22%と低下した一方で、PFRは17→18%とやや上昇。cold call(cc)頻度を減らし、3bet/foldの方向でプリフロップレンジを調整したことが伺える。
プリフロレンジを調整した理由はレーキ構造にある。Starsマイクロステークスのレーキは非常に高い。画像4をみると、例えば10NL:5%  10bb cap,25NL:4.5%,8bb capと高額。ただ、プリフロップでゲームが終わった場合はレーキはかからない。
2 bettorのレベル・スタイルに応じてccレンジを作った方が利益的なケースもあるかもしれないが、プレイヤーAはレーキ節約を重視した。

画像4:Stars rake structure

②Fold to 3betの上昇+③Fold to CBの低下


Fold to 3betの適正値は50%程だが、プレイヤーAの前半90,000 handsのFold to 3betは40%と適正値比で低かった。例えば、COでオープンしたA2s-A8s,Kxs,45s-T9s,T8s-J9s,〜22あたりをvs 3betで殆どcallに回していたイメージか。

加えて、マイクロステークスの3bet率は適正値より低く、均衡レンジよりlinearな傾向にある。基本的には3bettorのレンジが堅い分、2 bettorはFold to 3bet率を上げ、ディフェンスレンジもLinearレンジに抵抗しやすい形に変化させた方が利益的
Afterでは、Fold to 3betは55%と適正値を上回る水準まで上昇。プールの傾向に合わせてディフェンスレンジを変えたことが伺える。スタッツ全体をみる限り、Fold to 3 betの改善が最もWR上昇に寄与していると思う。

Fold to 3bet の上昇により、vs 3betのディフェンスレンジが強化された分、flop CBに対する抵抗力が上がった。結果として、ポイント③のFold to CBが適正値に近い39%程に低下したのは自然に見える。

④OOP CB頻度の低下


OOPのCB頻度は元々55%と高めだったが、適正値に近い35%まで大きく低下した。
どのようなシチュエーションでcbを減らしたか、考えてみる。
例えば、アーリーからオープンしてIPからccが入るケースはマイクロステークスで頻繁に起こる。beforeでは、このような2bp+OOPのケースでcbを打ち過ぎていたのではないか。“Kハイボードはポジションに関わらずとりあえずCB”みたいな雑なプレイが減った可能性がある。人間のCCレンジは均衡比でロー-ミドルポケットに偏りがあると想定すれば、OOPからの高頻度CBが肯定されるかもしれないが、プレイヤーAは均衡に寄せる形で戦略を変更したことが伺える。

他に発生頻度が高い例を考えてみると、SB(Hero,JsJd)vs BTN 3bp
Flop:7c 8c 4h
こんな感じのウェットボードでFlop bet Turn Jamのようなプロテクト過多なプレイラインも減ったのではないか。
xrをみると、xr率が11→15%に上がっており、OOPにおけるレンジチェック→xr戦略を上手く取り入れたとみられる。

まとめ

要約すると、vs linear 3betへのディフェンスレンジとOOPの戦略変化、cc低減によって成績が大きく改善した。

意外とスタッツと成績の連関について分析する記事が少ないように感じたため、本稿を書いてみた。

注:あくまで成績改善の一例であり、必ずしもプレイヤーAの真似をすれば成績が改善するわけではない。プレイヤーのリークはそれぞれだし、プールの傾向によってレンジ・戦略改善の方向性も異なる。均衡戦略、スタッツ適正値を軸にプールの偏りを探りながら改善させていく必要があると思う。

Stats、Hand historyに基づいた成績向上に興味がある方はDMください。


以上



いいなと思ったら応援しよう!