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200NL Zoom ハンドレビュー 2e geometric bet ケーススタディ

Twitterに200NL Zoomの1ハンドを載せたところ、対戦相手が有名なSaulo Costa先生かつ、(良く言えば)派手なプレイラインだったこともあり、反響があった。せっかくなので、GTOWを用いて簡単にレビューしてみる。


BTN vs BB 2BP (Probe 2e)

まずはハンド履歴の確認

Preflop
BTN:2.5bb Open-BB:Call (Pot:5.25bb)
Flop:7s Td 4d
BB-Check BTN:Check
Turn:Qh
BB-15bb bet (≃250%/pot), BTN-Call (Pot:34bb)
River:Kh
BB-86bb bet All-in(≃250%/pot), BTN-Call (Pot:201.1bb)
Hero:(AcJd)+100bb
Villain:(AdQs)-100bb

簡単に言えばBTN-BB 2BPでFlop Check-Checkで回ったあとTurnからポットの3倍程度の特大betを2発打ってAll-inまで行ったハンド。
カッコよく言えば2e geometricsizeを採用したprobe bet戦略が上手く行ったケース。

ブラジルのおっちゃん撃破

TurnにおけるBB側の均衡戦略の確認


Flop:Check-Check後におけるTurn BB側の戦略をGTOW(6max 500NL,標準,Open size:GTO,3 bet:GTO)で確認すると、レンジ全体のCheck頻度は70%程と高頻度。

EQチャートをみると、ボトムレンジのEQはBTN側の方がやや高いものの、全体としては概ねEQが拮抗しており、特段BB側にアドバンテージがあるボードではない。Turn BB側のレンジをみると、全ハンドにCheck頻度がある。

今回取り上げる状況におけるProbe過多はリークになり得る点はまず抑えておきたい。

画像1:Flopxx後のTurn EQ ChartとBB側Turn戦略
画像2:Flopxx後のBB側Turnレンジ

その上でProbe戦略をみると、33-250% betの頻度はそれぞれ5-8%程と低頻度ながら存在する。今回採用した250%betのレンジをみると、画像3のようになっている。

要約すると、
①セット,2 pair: 44, 77, 74s etc.
②コンボドロー: 5d3d, 8d6d, Jd9d
③Straight draw blocker付きのFlush draw: Ad6d,Ad3d, Kd3d, Kd5d
④FD blocker付きのStraight draw: AcJd, Jd9s

均衡解釈をすると、セット/2P+コンボドローといった高EQハンド群に加えて、Bluff rangeとして、Riverでナッツ級に発展するドローハンド、その中でも特にRiverで滑ったとしても、相手のvalueコンボを一部削れるStr/Flush draw Blocker付きのドローハンドを選択してレンジ構成。
③が分かりにくいので具体的に言うと、同じAx flush drawでもAd7dよりAd6dのbet頻度が高い。これはAd6dが5d6dをブロックしているのでriverでダイヤ以外のstraight完成カードが落ちた際にbluff成功確率が比較的高いためだと解釈できる。
*Ad8dも Ad6d同様にstr drawをブロックしているが、BTNのpreflop open rangeに入っている89oがBB側のturn-river betのfold targetとなっている(56oはpreflop fold)。fold targetの89oをブロックしてしまっているAd8dよりはAd6dの方がturn-riverのbluff EVを上げるために適切なbetハンドとして抽出されたと考えられる。

GTOWはRiverまでのValue,Bluff EVを極大化するようにTurn probe戦略を構築している。

BB Turn 250% probeに対するBTN defence rangeをみると、1-2 over got shot, Tヒット辺りまで概ねFold

RiverでKhが落ちた場合のBB側のJam rangeは綺麗な両極化レンジになっている。
・sdvがないstr blocker:Jd8d,9d6d,Jd2d etc.
・str:J9,AJ+setの一部:44,77

今回Heroが持っていたAcJdのTurn 250% Probe頻度は14%, 125%は11%とBet優先度は比較的高いハンドだった。
プレイ当時の思考過程をざっくり振り返ると、”レンジアドバンテージがあるボードではないが、AcJdを持っている。turn特大betで相手のヒットハンド等をfoldに追い込みつつ、riverでA以外のダイヤ、8、9等のドロー完成カードが落ちた場合にJdを抑えているのでBluffを成功させやすい+Kh/Ksが落ちた場合はナッツに昇格。気持ち良くValue All-inできる。bet優先度は高い“と判断して250% probeに回したと記憶している。riverは運良くKhが落ちたので、turn時点のプラン/均衡戦略通りにAll-in。

プレイ当時の思考過程と結果は、上述の均衡戦略とその背景にある論理と概ね整合的であり、合理的な判断ができていたと評価できるのではないか。

画像3: 250% Probe range


画像4: BB:Turn250% Probe に対するBTN defence range


画像5: BB:River Kh-Jam range

実戦にあたっての補足

今回は対戦相手がバランスの取れたレギュラーだったこともあり上手く行ったようだが、flopにおけるBTN側のcheck rangeやprobe bet sizeに対する相手の弾性/ディフェンス戦略等は均衡とは異なるケースが多いように思う。ここが均衡と異なれば、当然最適な戦略は均衡から乖離する。

今回取り上げたようなプレイライン/レンジ構成が本当に利益的かどうかは各々のプール、更に言えば目の前の対戦相手に依存する。実戦での応用を検討する際は、脳死で均衡戦略に従うのではなく、相手のスタッツや相手側から見た自分のスタッツに注意を払いながら利益的なプレイを追究することが重要だと思う。

以上

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