食事制限の前にすべきこと
食べ物へのアプローチをしているのに、無気力、疲労感、むくみ、寒がり(手足の末端の冷え含む)、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘、ガスなどの症状が改善されない。そんな方も多いかと思います。
本気で慢性疾患を治したいと思っているなら、分子栄養学をきちんと学び、自分の体への正しいアプローチを知るのが一番早いです。個体差があるのですから、個人に合った、生体利用性を考慮したアプローチをしなければ、よくなるものも改善しないのは、当たり前ともいえます。ただ、一般書籍に書かれている事を実践しても、あなたに合った方法かは、わかりません。
高タンパク食、低糖ダイエット、メガビタミン、FODMAP食、16時間断食。。。
そんな書物は本屋に溢れています。一体何が正しいのか、途方に暮れた方もいるでしょう。
本当にあなたが今試しているその方法って、本当にあなたのカラダに合っているのでしょうか。
何を口に入れるのかが、健康にとって大切なのは言うまでもありません。でも、その前に、まず気にかけなければならないのは、あなたの身体がそれを始める準備が整っているかということ。
何を食べたとしても、自律神経が乱れており、消化吸収能力(胃酸、胆汁、消化酵素が働いているか)が落ちていれば、その効果は半減です。
女性に特に多いのが、①甲状腺機能の低下(それによる代謝の低下)、②胆汁へのアプローチが全くされていない。この二点が大切です。
いくら食べ物・薬・サプリで、表面だけ取り繕いでも、カラダの中の改善がされなければ、根本的には、解決に向かいません。
1.甲状腺機能の低下(代謝の低下)
甲状腺機能が低下しているということは、コレステロール(食べ物からのアセチル CoAが材料)の体内への取り込み能力が落ちているということ。胆汁酸も分泌されにくくなっている。SIBO(小腸内細菌増殖症)にもなりやすい。オーディ括約筋も閉じがち。
代謝が低下すれば、むくみ・冷え・疲労・髪の毛が抜ける・痩せない。。悪循環に陥ります。
この状態で、断食を敢行すれば、カラダは弱っていくばかりです。
2.胆汁へのアプローチ
高タンパク、FODMAP食、サプリ、ハーブ・・・。いえいえ、その前に消化能力です。
消化能力とは、①胃酸分泌 ②胆汁分泌 ③消化酵素 にしっかりアプローチするとういこと。しっかり咀嚼し唾液を加え食塊を作り、嚥下しやすくするのはもちろんですが、この3つの中で、自分はどこに問題があるのかを知り、自分にあったアプローチを探すことが肝要といえます。
①胃酸:クロールが材料。胃酸が中和されないよう、タンパク質を分解する消化酵素であるペプシンを活性化させる必要があります。胃酸が中和されると、殺菌力が低下して、イオン化がうまくいかない、つまりミネラルの吸収力が弱まります。
胃粘膜を回復させるには、ビタミンA,亜鉛,タンパク質が有効とされます。胃粘膜の血流は自律神経の影響を受けるため(消化機能全般を上げるためには副交感神経優位である必要があり)、交感神経優位の状況には気を配りましょう。交感神経が優位だと、粘膜代謝が低下し、唾液・胆汁分泌が下がり、消化が抑制されます。
食事の食べ始めに、梅干し、レモン、クエン酸などの酸っぱいもの、大根おろしを食べて胃の中のpH値を下げておくのも、今日からできる消化への有効なアプローチ。
②胆汁:そもそも胆汁とは何でしょうか。
胆汁は、「体内の下剤」と呼ばれ、重要な役割を果たします。(ちなみに肝臓のニックネームは「沈黙の臓器」。なんか響きがカッコいい)
胆汁はコレステロールを材料とし、①脂質を分解する消化酵素であるリパーゼの吸収サポート、②界面活性作用(腸管の洗浄)、③コレステロールの調整を行います。
上記①については、ラーメン、とんかつ、天ぷらを食べると下痢をする人は、脂肪分の消化がうまくいっていない、脂溶性ビタミン(A,D,D,K)の吸収が悪い状態で、解毒がうまくいっていない可能性があります。
上記③については、コレステロールの50%は胆汁酸に変換されます。腸肝循環という言葉がありますが、胆汁酸の95%は、再利用されます。(回腸末端から吸収されます。能動輸送)
胆汁酸を効率よく働かせるには、古い胆汁酸を排出する必要があります。
胆汁酸の排泄にはは、食物繊維に絡め取って便として排泄していくため、大麦・舞茸などのキノコ類・海藻・こんにゃく・杜仲茶が効果的です。
胆汁サポートに効果的な食材としては、熊胆・マリアアザミ・ダンデライオン・杜仲茶があります。
薬に頼った対症療法による健康を追い求めるのではなく、根本治療を求めるのならば、自分にあった食事法を見つけるべく、自らの血液検査を行い、分子栄養学を体系的に学ぶことをお勧めします。知識は一生ものです。