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自分の強みをより知るためのヒント
漠然とした将来への不安を抱えていたり、毎日モチベーションが上がらない、物事を継続できない自分にイライラしている。変わりたい、前進したと思っている人は多いのではないかと思います。
私自身、最近、仕事や人間関係でストレスを感じる事が多く、理由を考えてみると、どうやら自分が大切にしている価値観や考えと他者のそれに大きな乖離があるのではないか、と感じるに至りました。
私は外資企業の日本法人に勤めているのですが、海外本社(欧州某国)の技術者と意見や認識が合わない事が多く、
ふと自分はこの会社で何を成し遂げたいんだろう、この会社にずっといて大丈夫かな、自分の強みや性格、価値観を見直してみようと思うに至りました。
そこで目に留まったのが、本書「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう Strength Finder(ストレングス・ファインダー) 2.0」。真新しい本ではないが、多くの人に読まれたものであり、実際に試した感想を書いてみようと思います。
本書のコンセプトは明確です。
・社会は常に人々の短所に焦点をあてようとするが、「短所」ではなく「長所」「強み」を伸ばすことにエネルギーを注いだ方が、人は何倍もの成長を手にする事ができる。
・自分の強み、資質は年齢を経る毎に大きく変わるものではない。
・毎日「強み」に取り組む機会がある人は、ない人よりも6倍も意欲的かつ生産的に仕事に打ち込む傾向あり。総じて「生活の質が高い」と述べる傾向が3倍以上にのぼるという研究結果が出ている。
・弱点を克服するためだけに多くの時間を割くな、いばらの道を歩むな
と本書は指摘します。
オンラインアセスメントは次のような感じで行われます。
自分の性格、資質に関する二つの記述(例:「行動する前に可能な限り情報を集めるほうだ」「まずは行動する事を重視するほうだ」)が両サイドに書かれ、
(一つめの記述)「よくあてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「ややあてはまる」「よくあてはまる」(二つめの記述)の5つから回答を選ぶと、次の質問に進める形になっています。ひとつの設問への回答時間は20秒。
設問は600問近くはあるでしょうか。約30分程かかったと記憶しています。回答が終わると、自分専用の結果レポートが送られてきます。
34の資質の中から、特に自分の資質にあてはまるトップ5の資質を見ることができます。
私の5つの資質は、「最上思考」「自我」「慎重さ」「目標意欲」「達成欲」)でした。
レポートは下記の4項目が記載されています。
1.「その資質に関する記述」
2.「10項目の行動アイディア」
3.「その資質が高い人とのつきあい方(働き方)」
4.「その資質が高い人に関する声」
例:自我の項目でいうと、下記のような感じです。
1.「自我の資質」:
「あなた独自の持前の強みで人に知られ、評価されたいと思っています。
信頼でき、プロフェッショナルであり、そして成功している人として尊敬を受けたいと感じています。それと同じように信頼でき、プロフェッショナルで、成功している人と働きたいのです。独立心旺盛なあなたは、仕事を単なる業務ではなく、自分の生き方そのものにしたいと考えています。そして、その仕事を好きにやらせて欲しいし、自分のやり方でやるための余地を与えて欲しいのです。この情熱は非常に強く、それに突き動かされてあなたはこれらを実現しようとします。ですからあなたの人生は、強く求める目標や成果、資格であふれています。何を目標に定めているかは人によって異なります。しかしそれが何であれ、あなたの自我という資質は、平凡から優秀へとあなたを向上させ続けます。これがあなたをより向上させ続けている資質なのです。それと同じように信頼でき、プロフェッショナルで、成功している人と働きたいのです。独立心旺盛なあなたは、仕事を単なる業務ではなく、自分の生き方そのものにしたいと考えています。」
2.「行動アイディア」
・"課題や行動を自分で決められる仕事や役割を選びましょう。"
・"あなたにとって評価はとても重要です。どんな評価を受けたいのか、どう気を配ったらよいのかを細部に至るまで想定しよう。"
・"あなたの夢や目標を家族や親友、同僚と共有しましょう。あなたは彼らからの期待に応えようと目標を達成するでしょう。"
・"あなたの実績はその目標に適っているでしょうか。"
・"自己確信の資質が高くなければ、あなたは失敗を恐れるかもしれません。しかし恐怖心があるからといって優秀であろうとする事をやめないでください。"
・"代わりに失敗を恐れる気持ちを利用して自分の実績が求める水準に見合うようになるよう集中しましょう。"
3.「<自我>が高い人との働き方」
・"この人は自主性を必要とする人だ、ということを知っておいてください。この人のやり方に挑戦しなければならない時、後に対立が起こるかもしれない事を念頭に置いておきましょう。"
・"この人には自分で自由に戦略を立てて行動する余地を与えてください。しかし、決して無視してはいけません。"
いかがでしょうか。あ、これは私に当てはまると自覚出来る記述がある方もいると思います。
少し身につまされるような指摘も、実際に文章として読む事で、客観的に自分を見直す、自分の特性に気づける契機にすることができます。
また、すぐに当てはまらないと思う記述でも、記録しておけば数年後に気づく事もあるでしょう。
2. レポートから得られるもの、気づき
少々大げさに言えば、自分はどうありたいのかという根源的な問いへのヒントがあり、
自分の行動を実際に変えていくことで、より充実した毎日を生きられるようになるのではないかと感じました。
例えば私の場合、「目標志向」の傾向が強く、次のような記述は、あー、自分に当てはまるなと思わず苦笑いしてしまいました。
・行先がないと、あなたの生活や仕事はたちまち苛立たしいものになる可能性があります。
・遅れや障害に、本筋から外れる事にイライラするようになります。
そこで、「行動アイディア」に書かれていた次の記述を実際に行いました。
・目標設定をするときは、きちんとスケジュールを定めて進捗状況を確認出来るようにしましょう。節目節目で客観的に判断できるようになります。
・職場では必ず、あなたの中期的な目標と短期的な目標を上司に伝えましょう。そうすることで上司は安心して、あなたが必要とする機会や可能性を与えることができます。
実際に、今やっている作業について、全体の中の位置づけ(英会話のテキストをやっているなら、全体40章のうち今2章目で、1章終わるためには少し余裕見て3日かかるから、全部終わらせるのに80日かかるな等)を、実際にカレンダーの中に書き込んでみます。
この具体的な行動に移す事がとても大切なんだと思います。
長期的な目標と短期的な目標に関しては、実際に書いてみました。ただ仕事の目標を書くのではなく、一工夫してみて、目標はカテゴリー毎(仕事、家庭、趣味の3項目から目標を書き込んでみました。
すると、不思議とひとつ落ち着くんですよね。あー、こういうことなのかと実感することが出来ました。
このようにして、ストレングスファインダーで34ある中で自分の資質に当てはまると診断が出た5つの記述の一文一文が自分に役立っている、しっくりきているというのがわかる瞬間が必ずあると思います。
また、「その資質が高い人との働き方」の記述があるのは、人間関係にとても役立つと思いました。上司、部下、先輩、後輩、プライベートでのつきあい。社会で生きていくうえで他者との関係は避けられないもの。職場の同僚や仲の良い友人等、特に共に時間を過ごす時間が長い相手の資質、特性、性格を知っておくことはとても役に立つはずです。
あ、この人はこういう特性が高い人だったな、こう対応しておこう。例えば、目標思考が高い相手は、(言い方は悪いですが)予定通りに計画が進んでいないと我慢できないせっかちな上司だから、レスや進捗報告はこまめにやっておこう、と自分の行動を変える事ができます。
最後になりますが、自戒も込めてですが、「自分探し」に時間をかけるのはほどほどにと思います。
大事なのは行動を継続し続ける事であり、本当に毎日淡々とやるべきことを1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月と大きな成果がでなくてもやり続ける事。それこそが最も大切な事です。将来の自分を支えるであろう、自信の「石」はそう簡単には大きくならないのだと思います。行動を継続し続けて、諦めそうになりながらも踏ん張って継続して、初めてその先に光が見えて来る。途中でつまづきそうになったときに、こういった本を時間を決めて読んでみて、自分の行動の動機付けを上げるために、本書を使うのがよろしいかと思います。
是非、興味がある方は、新書を購入して(本書巻末にあるアクセスコードは1回しか使えない)試して頂きたいと思います。