『ドント・ルック・アップ』レビュー(※ネタバレ有り)
〜あらすじ〜
落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。
〜以下ネタバレ注意〜
専門家の言うことを軽視して、目先の富に目をくらませた権力者が「経済優先」と叫ぶ描写がコロナ禍の日本そのものだった。
国を統治する人物がこんなにも浅はかで、名声と富を優先しているとは考えたくないけれど、こんな会話が起きていたんじゃないかと考えると恐ろしい。
レビューを見ていて「笑えるけど、笑えない」と言う人が何人もいたのは、どう考えても人命を第一に考えているようには思えない日本のコロナ対策の場でも、こんなアホみたいな会話がなされていたんじゃないかという恐怖からだよね。分かる。
さらに彗星がレアメタルや希少な資源で構成されており、資源を採集できるかもしれないと分かった途端の大統領の掌の返っぷりたるや!もう見事!おもしろいほどに自分たちのことしか考えていない!!ここまでくると潔い!!!
計画の信頼性を疑うミンディ博士が査読された内容なのかと聞いても、目の前にチラついた莫大な富の前では誰も耳を貸さない。実業家のピーターに直接問い詰めても、トーンポリシングされて議論にもならない。「この構図って日本でも起きてない…?」と何度考えたか。
テレビ番組の司会の2人の薄っぺらい進行に、ミンディ博士とケイティが伝えたいことも深刻さも伝えられずに狼狽するシーンが印象的。報道番組の在り方や専門家の話を黙って聞く姿勢を問われていたように思う。
さらには女性司会者のブリーが、過去に大学院に通い修士課程で博士号を3つ(4つだったかな?うろ覚え)も取り優秀な人物だったにもかかわらず、露出が多くタイトな衣装にギラギラなメイクで視聴者に”ウケる”上澄みしか拾わない会話をしていることも皮肉のエッジが効きすぎていて卒倒しそうだった。いくら女性の社会進出を進めても、女性の立ち位置は所詮"お飾り"じゃないかと突き付けているんですよね。。
ケイティは徹頭徹尾、真っ当なことしか言っていないし、私は恐らくケイティと同じように行動したと思うので、家族に拒絶されるシーンは胸が痛んだ。家族だからって意見が同じとは限らないけれど、誰にも代え難い家族に一世一代の行動を否定される辛さたるや。
言っていることが明らかに中身スカスカでも、声がデカいと愚かな国民を簡単に騙し目を背けることができるということが、この映画の最大の皮肉でしたね。
特に大統領の息子で補佐官のジェイソンが、途中から小泉進次郎に見えてきてしまうくらい中身のないことを連発していて途中隣の人が引くくらい爆笑してしまいました。ジェイソンはフィクションだけど、小泉進次郎は現実に存在する日本の議員だから恐怖なんですけどね。
そしてなんと言ってもアリアナちゃんの贅沢使いよ。序盤ではおバカちゃんな役柄が際立っていて、なんでこんな役引き受けたんだろう?って思ったけど、ライブシーンが素晴らしかった。笑えるシーンなんだけど感動してしまった。アリアナちゃんは最高の歌姫。
DUNEのような神に選ばれし特別な存在から、田舎のヤンキーまでティモシーの振り幅の広さには脱帽です。
こんな豪華な俳優陣を使って、盛大な皮肉劇を見せてくれたアダム・マッケイ監督とは固い握手をしたい。ラストのおバカな結末も含めて最高でした!!!
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