消えたモスバーガー
最近ご飯がよく消えている。
食べていないということではない。
あの仕事やらなきゃなとか、洗濯しなきゃなとかあれこれ考えながら食べていると、いつの間にか目の前から消失しているのだ。
この前は、モスバーガーの照り焼きチキンが消えた。
レジ袋をうきうき振りながら帰ってきたのに消えた。
ほんとに僕が食べたのか?
すぐには信じられなったが、目の前でくしゃくしゃになっている照り焼きチキンの包み紙が確かな証拠だった。
人はついつい妄想の世界に迷い込んでしまいがちだ。
考えたくもない悩みを四六時中考えることに忙しい。
気づけばご飯も消失してしまう。
悩みがご飯を食べ、お風呂を食べ、睡眠を食べ、
いつか自分の生活は食べつくされる。
人生を味わうのは自分だ。悩みじゃない。
妄想からとっとと抜け出して、今この瞬間を味わうことが大切なのだ。
洗い物がたまっていようが、仕事でやることが積まれていようが、仲のいい友達とけんかしてようが、今だけはどうだっていい。
今は照り焼きチキンを味わう時間なのだ。
ありがとうモスバーガー。やっぱり照り焼きチキンは最高だったよ。
「子供のころから大好きだった照り焼きチキンはやっぱり最高だったなあ」と余韻に浸りながら、包み紙を丁寧に折りたたんだ。