75日目(惰眠)

お世話になっているバーの周年イベントが開催された。思えばご主人とのお付き合いも長くなったなと思うと、果たして「長い付き合い」のスパンが狂ってきた気がする。要は5年前からの知り合い、10年来の友達、20年を超える交友…この年になるとそんなこともザラである。その中には月一で会える人、10年近く交流はないが絶えたとは思ってない人、そして今はもう会うに会えない人も出てきたことは事実で。これが老いていくという感覚なのであろうか。こんなことを言えば、まだ若輩の身なので諸先輩方から怒られてしまいそうだが、その夜はそんなことをふ、と思った。
会社の同僚には「友人」という感覚を持たないように生きてきたが、それも随分と寂しい選択だったか、と思う。分け隔ててしまった、という自分の浅はかさか。それとも元来ある人見知りの性癖だろうか。
何かあったときに顔が見たくなる、その顔をいくつか思い浮かべてみると、羊を数えるよりも簡単に眠りに落ちてしまった。少しだけ、甘い夢を見れてよかった。

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