「こどもまんなか」の真ん中へ~こども家庭庁インターン~
※内容に関して、配属課の方に許可をいただいています。
また、本記事は所属機関を代表するものではありません。
はじめに
先日、厚生労働省が開催する「医師・医学生向け夏の職場体験(インターン)」に参加しました!
配属先は、「こども家庭庁 母子保健課」。
「どうして厚労省のインターンでこども家庭庁?」となる方もいるかと思います。
実はこども家庭庁は、厚生労働省に置かれていた「こども家庭局」からできたものです。
今年4月にこども家庭庁が新設されたことに伴い、今年から「こども家庭庁」でのインターンという枠ができました。
なぜこども家庭庁でインターン?
医系技官という仕事を知っていますか?
医系技官とは、
とある通り、医師免許や歯科医師免許を持ちながら、行政の現場で働く方の事を指します。
医系技官のインターンを知ったのは大学の先輩、まっすーさんのnoteがきっかけです。
医学部を出た後のキャリアの一つとして、自分に合うか確かめたい。
高校生時代、英語ディベートで何度も調べた厚生労働省の中はどうなっているのか見てみたい。
行政の目線を持つ人の頭の中を覗いてみたい。
そんな思いで、サイトをクリックしました。
すると、受け入れ先に「こども家庭庁 母子保健課」の文字が。
小児・周産期医療に興味がある私にとって、まさに棚ボタでした。
こども家庭庁とは
公式HPの説明は以下の通り。
ニュースでもたびたび目にするこども家庭庁。
その母子保健課で、こどもと母親の健康・保健についてじっくり学ぶ機会はそうそう無い。
志望書を書き上げ、幸運にも選考を通過し参加させていただく運びとなりました。
参加まで
こども家庭庁や母子保健課について調べ、ドキュメントでまとめ、予習をしました。
HP、資料、論文、SNS、Youtube…
事前に知れるだけの情報は知っておこうと、ひたすらチェックしました。
そして、ちょうど直前の学期に公衆衛生学の授業で母子保健について学んでいたこともあり、浮かんだ疑問や仮説をひたすら書き出しました。
参加時
迎えた初日。
厚労省にて、医系技官の概要についてレクチャーを受けました。同時に、同じ期間活動を共にする医師・医学生の方との顔合わせでもありました。
質問が飛び交い、皆さんそれぞれ仮説や想いを持って臨んでいる事が伝わってきました。
このゾクゾクする感じ。好きです。
オリエンテーションの後は、各課に分かれて研修開始。
顔合わせ後、職員の方から一枚の紙をもらいました。
なんと、こども家庭庁は別の場所にあるとのこと。
一人厚労省を飛び出し、こども家庭庁が入るビルへと向かいました。
着いたのは、首が痛くなるほど高いビル。
「本当にこども家庭庁があるのか…?」と若干心配になりながらも、恐る恐る指定された階へ。
発見したのは、「こども家庭庁 成育局」の看板。
職員の方に案内され、オフィスへ入ります。
オフィスの中の写真はありませんが、とても開放感があり、明るく綺麗でした。一面ガラス張りで、窓からは東京のビル群が一望できます。
研修
母子保健課での活動が始まりました。
内容を細かには言えませんが、本当に広く、深く勉強させていただきました。
乳幼児健診、すこやか親子21、虐待、母子保健DX、新生児マススクリーニング、発達障害、入院付き添い…など。
他省庁、研究班、患者団体、コンサル企業、その他多くのステークホルダーとの議論の場に参加しました。
同時に課題をいただき、最終日のプレゼンに向けて資料を作りこみました。
課題は、
「乳幼児健診・妊婦検診等の母子保健情報を第三者利用したときに生み出す価値とは」
うーん、中々むずかしい。
もちろん休みなく働き続けたわけではありません。
お昼にはランチを食べに連れて行ってくださったり、コーヒーをいただいたり。
そして母子保健課のユニークな取り組み、「ランチョンセミナー」にも参加させていただきました。
モニターを囲み、議題について話し合いながらご飯を食べるというもの。
イケイケな会社がやっているイメージでしたが、新鮮で楽しかったです。
組織として非常に心理的安全性があると感じました。
また、課の皆さんが本当にアットホームで、いつでもお話を聞ける環境にありました。どんな質問にも丁寧に分かりやすく解説いただき、その場で疑問が解消されたことでより理解が深まりました。
何より皆さんロジカルで、腹落ちしやすかったです。
前日買ったメモ帳に、とにかくメモ、メモ、メモ。
また、ちょうど「こども霞が関見学デー」と重なっていたこともあり、フロアにはこどもたちの姿も見えました。かわいい。
最終日
最終日には、各課での研修を終えた研修生が一堂に会し、その学びをプレゼンします。
職員さん・同期の研修生の方から多くのご意見・ご質問をいただき、最後の最後まで勉強になりました。
他の方のプレゼンも非常に濃く、興味深いものばかりでした。
そして、研修終了。
プレゼン資料は頑張って練り上げたので、課の職員の方にお褒めの言葉をいただいた時は本当に嬉しかったです。
今後の議論に少しでもお役立ちできていたら嬉しいな…
最後に
活動を終えて思うこと。
臨床医になりたい人。参加した方がいいです。
研究医になりたい人。参加した方がいいです。
ビジネスセクターに入りたい人。参加した方がいいです。
国際的に働きたい人。参加した方がいいです。
医療行政の現場を見たい方や公衆衛生に興味がある方、絶対参加した方がいいです。
確実に視座が高まります。
厚労省インターンでは、課室毎に守備範囲がある分、都道府県庁インターンなどと比べると経験できる領域の幅は狭いかもしれません。
しかし、少しでも興味ある分野がある人にとっては、その分野に関する社会の構図を覗き見ることが出来るまたとない機会です。
特に母子保健・周産期医療、小児医療に興味がある方。
こども家庭庁 母子保健課、おすすめです。
母子保健に対する解像度が、ぐんと上がります。
社会のペインは何が背景にあるのか。
今、母子保健の最前線で何が起きているのか。
今後の母子保健はどこへ向かうのか。
その一部を垣間見ることが出来ます。
新設されたばかりのこども家庭庁は、やはり職員皆さんお忙しく、大変そうに見える場面も正直ありました。
しかし、「母子保健課」の名の通り、(当たり前ですが)育休や子育てに対する理解があり、働き方は柔軟に感じました。
また、皆さんが母子保健に対する熱い想いを持っていらっしゃること。それが何より刺激的でした。
参加する前は、正直「絵に描いたお役人のような堅い方がほとんどなのかな…」と不安でした。
しかし、こどもと母親のためを想い、並々ならぬ覚悟を持って日々の業務に取り組まれている姿勢に、本当に感動しました。
こんな大人になりたい。
少子化が叫ばれている今だからこそ、ありったけの熱意をもってこどもと母性に向き合う必要がある。
そうでなければ、社会は変わらない。
改めて感じさせられた時間でした。
医系技官は大変な仕事です。
短い研修で全て分かったとは思いませんが、臨床の現場とは違う価値観が存在します。その狭間で悩む方もいらっしゃるとお聞きしました。
一方で、非常にやりがいのある仕事だとも感じました。
多種多様な立場の人と議論し、医学的見地を元にベストな解決策を提示する。現場で働いた医師の目線や肌感は必要不可欠です。
国を動かすということは、社会が変わるということ。多くの人のいのちを救う可能性があるということ。
そういった意味でも、医系技官には大きな魅力があると感じましたし、自分に合っている気がしました。
今後の自分のキャリアの中で挟むのも、面白いかな。
自分の中で大きく成長できた体験でした。
本研修に関わってくださった方々に心より感謝申し上げます。
長くなりましたが、この記事を読んで少しでも医系技官やこども家庭庁に興味を持ってくださる方がいらっしゃれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
小児・周産期医療、やっぱり魅力的。
また今日から頑張ろう。