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そこはまだ魔王がいない世界の物語。①
ここは平和でのんきな世界。魔法だって電気だってあるこの世界は今大発展を遂げていた。平和すぎて統治という概念がないこの世界には、王様や大統領がいないので、この世界に国境は存在しない。この世界自体が一つの大きな国なのだ。人々の交流は盛んで、言語の壁だって存在しない。しかし、このあきれ返るほど平和な世界に一つの脅威が迫っていることにいまだ誰も知る由もなかった。
神様の視点。
いやー。作ったなー。今までで一番の最高傑作だ!!これ以上はもう手の付けようがないね。よくやった私、うん。しっかし、今回は平和で何事もなかったから、スリルやはらはらドキドキの展開がなくて、ちょっとつまんなかったかも。うーん。そうだ!!この世界に魔王を召喚しよう!!きっと勇者とかでてきて胸熱な展開がお目にかかれるに違いない。早速取り掛かろう。
大仕事の予感(⋈◍>◡<◍)。✧♡
こんな感じかな?あとは核を入れれば完成だ!僕の魂と骨と血肉を少し分けてこねよう。よし、これを入れればっと、おっと、その前に僕の周りにもしもべを作っておこうか。魔王なんて野蛮な奴になるに違いないし。僕一人のオーラじゃどうにも納得させるのに苦労しそうだしね。まわりに家来がたくさんいたらきっと僕の言うことを聞いてくれるに違いない。大変だけど急がば回れだ。僕にもお話しできる人がいたらいいと思っていたところだし、人がたくさんいたら楽しそうだしね。ちょっと本気だそっと。こねこねと。
頑張りすぎちゃった。
よーっしいっぱい作ったぞ。こんなにいたら僕の生活にも潤いが生まれるに違いない。核は僕の血数的でいいか。こんなにあるし。ぽたぽたと、完成だ!!みんな僕の言うこと聞いてくれればいいけど。
神を神視点で見る
そうして張り切った神様はこれからしもべになるいまだ躯の人形たちをキラキラとした目で見ていた。次々に組みあがっていき、目に光が灯る人形に神様は高鳴る胸を押さえられません。やがて完全に完成した生命をもつそれらは神の前に膝まついて見せた。その数なんと、100体。神様は頑張ったかいがあったと満足げにしもべたちを見下ろしていた。
しもべっていうより友達になってよ
すっごーい!!大成功だ。みんな僕の言うことを聞いてくれるっぽい!!これであとは魔王を完成させるだけ。さっき作った核を入れて、完成!!さあどーなるかな?
急に作られたってね。準備ってもんがね。っていわれちゃうかな
神様が苦労のすえ完成させた魔王の躯は魂を宿し、目に光をともした。しかし、ここで神様の身体、いや心に急激な変化が訪れる。なんと魔王の身体に神様の精神が移ってしまったのである。どうにもわからない。魂は少ししか分けていなかったはずなのに。しかし、精神が移る基準は魂の核がどこに存在するかなので、そんな重要なことを忘れていた神様は魔王の身体に降り立ってしまったのだ。
これはこれでおもしろいかもね♬
うわあー。忘れてた!!精神の宿る先はいつだって核の位置によるモノなのに。うっかりさんだなあ。でもせっかく魔王になったことだし、僕がこの世界を支配しちゃおう!!勇者とも僕自身が戦う!!はーっはっはっは。これから先が楽しみである。
つづく。
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