ジャニオタが2.5次元俳優にハマってその界隈の厳しさを知った話
今年に入ってから、ある2.5次元俳優のファンになった。もともと好きだったコンテンツの舞台を見たことがきっかけだった。目線や表情で感情を表すのがうまく、彼の虜になった。
私は長年ジャニオタで、かつて若手俳優を推していたこともあったが、2.5次元を中心に活躍している俳優を推すのは初めてだった。
彼のTwitterのフォロワー数は17万人程おり、とても人気がある方だと知った。彼のTwitterに反応している数を見てみると、2.5次元作品に関するツイートは非常に伸びていて、いいねが3万件近くついている。それ以外の彼の活動に関するツイートでも、いいね数は1万件くらいである。ゴールデンタイムのドラマなどには出ていないので、一般的な知名度は低いかもしれないが、2.5次元界隈では相当売れているんだなと思った。
先日、彼の生配信(有料)を視聴した。フォロワー17万人の男である。たくさんの視聴者がいるのだろうと期待した。しかし、リアルタイムで視聴していた人数は3500人程であった。
驚愕した。彼本人の活動に対してお金を払うファンが少ないことに。長年ジャニオタをやっていて感覚が麻痺していたのかもしれない。ファン数が万を超えているものだと思っていた。他の俳優の状況を知らないので、界隈では多い方なのかもしれないが、びっくりした。
Twitterに反応してる人全てが彼本人についているファン(お金を積極的に払ってでも応援するファン)ではないのだと思い知らされた。 確かに、Twitterはお金をかけずに見られるコンテンツであるため、気軽にフォローしていいねができる。これをファン数だと捉えるのは安直であるが、それでも少ないと感じた。生配信を見ていた数=彼のファン数というわけではないので、実数はもっと多いのかもしれないが、この界隈につくファンは限られているのかなと思った。
最近、彼が出演している映画を見に行った。2.5次元の人気俳優がたくさん出ている作品だ。私は地方に住んでいる。見に行ったのは平日だったので、映画館自体に来ている人も少なかった。(感染拡大している影響もあるかもしれない)地方の映画館でも公開されている作品なのだから、数人は見に来ているだろうと思っていた。
しかし、実際にその映画を見たのは私一人であった。貸切。滅多にない贅沢な状況である。私のためだけに上映される作品。推しの美しい顔と素晴らしい演技を大画面で堪能し、帰路に着く。
……悔しかった。映画の感想を述べられないほどに。 2.5次元ではない作品を見る人はこんなに少ないのだと。地方だからかもしれない。東京だったらもう少し見ている人がいるかも。それでも、悲しかった。2.5次元界隈の厳しさを痛感した瞬間だった。
もともとジャニオタである私は、ファン数についてそこまで考えることがなかったように思う。もちろん、推しているグループが売れていない時は不安に思っていたが、事務所が大きいため、そこそこ仕事があるし、ファンの母数が多いので、全国ツアーなども当たり前に行われていた。
しかし、彼を推してからはファン数の大事さを頻繁に考えるようになった。彼の所属する事務所は大手ではない。安定して大きな仕事を得るのは、彼の努力がない限り難しいのではないかと思う。(彼は上昇志向のある方だとお見受けするので、今後ますます売れると私は期待しているが)
また、この界隈の特殊性を鑑みると、俳優本人にファンがつくというのはなかなか難しいことなのかもしれないと思った。2.5次元作品を観劇する人には、俳優のファンもいるが、元々は原作が好きで見ている人が多いのだと思う。かくいう私もそうである。あのキャラを演じた人、すごく再現度高かった!と思っても、他の作品を見るまでに至らないことも多いのではないか。
アイドルは、本人に惹かれて応援して、彼らの他の仕事(バラエティやドラマ)を見ることに派生していく。アイドルのファンは、本人についているファンなのである。しかし、俳優は、演じたキャラクターや作品のファンが中心である。私自身、特に推していない俳優についても、演技を評価して複数の作品を見ることがあるが、俳優のパーソナルな部分を知りたいと思うことは少ない。私がそうなのだから、他の人もそうなのかもしれない。俳優という、演じる仕事を生業としている人間が、それだけで食べていくことの大変さを知った。
1人が100回舞台を見ることよりも、100人が1回舞台を見ることの方が難しいと私は思う。ファンを1人増やすことがどれだけ大変かということを、私は思い知った。彼は俳優という仕事をこれからも続けたいと言っている。自分の一般的な知名度が低いこともわかっていて、いろいろな仕事に挑戦しようとしているようだ。本当に努力家なのだと思う。だからこそ売れてほしい。彼が全国に名を轟かし、客席を満席にする日を夢見て、今日も彼の作品を見る。